第64話 リンカ vs サイファー
サイファーはリンカを思い切り突き飛ばした。
リンカは地面に叩きつけられてしまう。
リンカが立ち上がろうとしたがサイファーはすかさず近くの自動車を浮かせてリンカに向かって投げつけてきた。
リンカが自動車を受け止めると、サイファーは次々に周りのものを浮かせて投げつけてきた。
道路の表札なども彼の力で無理矢理引っこ抜かれて飛んできた。
「ハハハハハハッ! いい気味だ!! 避けろ避けろ!!」
リンカはサイファーに笑われながらも必死に避ける。
彼女はサイファーが飛ばしてきた瓦礫を足場にして飛び移りながらサイファーの元へと近づいた。
「近づきさえすればっ……。私だってっ!!」
リンカはそう言いながら飛び上がった。
彼女は強く拳を握りしめて力を込めた。
「甘いっ!!」
だが、彼女は空中で固まってしまった。
「うああっ!!」
サイファーの力でリンカ自身の体を制御されてそのまま投げ飛ばされた。
「木崎リンカァ……。あのジジイと同じ目に合わせてやるよ……」
サイファーはそう言いながら宙に浮かび上がった。
「と、飛んだっ」
そして彼はそのままリンカ目掛けて飛んできた。
「うわっ!!!!」
サイファーはリンカの首を捕まえて地面の上で引きずった。
リンカはサイファーの腕を掴んで投げ飛ばし,逆転を試みる。
「おじいちゃんを……バカにするな……」
リンカはそう言って拳を握るとサイファーを思い切り殴り飛ばした。
そしてそのまま飛びかかって数発の蹴りを浴びせた。
「ほう……。なかなかやるな……。だがこれはどうだ?」
サイファーは襲いかかってくるリンカに向かって杖を突き出した。
リンカはサイファーに殴りかかるが自分の腕を制御できずに自分自身を殴ってしまった。
「ど、どうなってるの……」
困惑するリンカをよそに、サイファーはオーブの力でリンカの体を操って何度も自分を殴らせた。
「リンカちゃん!!」
ミルが叫ぶが、リンカは返事をする余裕もなかった。
「どうだ? 自分に殺される気分はぁ。アハハハハァ」
サイファーは笑い声を上げながらリンカを痛ぶった。
しばらくするとサイファーは飽きたのか、そのままリンカを投げ飛ばした。
「うっ……」
リンカは歯を食いしばりながら必死に立ち上がろうとしたが、あまりのダメージにすぐに倒れてしまった。
「そうとう効いたようだな。死にたくなったら言ってくれ? すぐに殺してやるよ」
「私はっ……。私は負けませんから……。おじいちゃんの敵……絶対にとるから……」
リンカはそう言ってゆっくりと立ち上がった。
「まだ立ち上がる気力が残っていたとはなあ……。見直したぞ」
「リンカちゃんもういいよ!! 一緒に逃げよう!!」
「あ? 何ってんだ? 誰が逃すかよ……」
サイファーはそう呟いて大きく両手を広げた。
すると辺りが地震のように揺れ始めた。
「こ、こんどは何……?」
リンカが辺りを見回すが何が起きているのか分からない。
「リンカちゃん!! ビルが!!」
ミルが叫んで指を指した方向を見ると、ビルがぐらぐらと揺れているのが分かった。
それもリンカの立っている通りに面している両サイドのビルが揺れていた。
「どういうこと……?」
「今にわかるさ……。今度こそ終わりだな……。死ねええ!! 木崎リンカァアア!!!!」
サイファーがそう言うと揺れていたビルが突然リンカの元へと迫ってきた。
通りに面した全てビルが通りを塞ぐように両側から迫ってきている。
通りに居たサイファーの軍団や逃げ遅れた住民達が悲鳴を上げながら逃げていく。
リンカはダメージを受けた体でその場から動くことすらできず、そのまま倒れてしまう。
「リンカちゃん!!!!」
ミルはそう叫びながらリンカの元へと駆け寄る。
「だめ!!!! 来ないで!!!!」
リンカはうつ伏せに倒れたまま言った。
だがミルは言うことを聞かずにリンカの元へと駆けてくる。
「私はもう友達を失いたくないからっ……」
ミルはそう言いながら走ってきた。
だがリンカも呟いた。
「その気持ちは私も同じだから…………。ごめんっ」
リンカはそう言いながらミルに向かってエネルギー波を放った。
ミルはそのまま吹き飛ばされて倒れた。
「ダメ!!!! リンカちゃああああああああああああああん!!!!」
リンカはそのまま迫ってくるビルに挟まれた。
ビルとビルがぶつかった衝撃で窓ガラスが割れる音が通りに響き渡る。
「そ、そんなっ……」
ミルは涙の大粒を地面に落とした。
「ハァハァハァ……。終わった……か?」
さすがのサイファーも息を切らしている。
そんなサイファーに通信が入った。
「ああ。分かった。すぐ行く」
彼はそう言ってそのままどこかへと去っていってしまった。
ミルは涙を流しながら瓦礫の中へと駆け込んだ。
空からはミルの気持ちを汲んだかのように大粒の雨が降ってきていた。
◇
そんな雨の中、ニーナは城の裏で様子を伺っていた。
城の中では大勢の人間が慌ただしく動いており、捕まえた住人達を連れ込む姿も見られた。
ニーナが目指すのは城の地下格納庫。
そこには王室用に用意された飛行機が数台格納されている。
彼女はそれを奪ってアランの元へと向かうつもりだ。
「おーい。女と子供を1人ずつ捕まえてきたぞ〜」
そんなことを言いながら大男が城に向かって歩いてきた。
ニーナはすぐに身を隠して様子を伺った。
「大丈夫、大丈夫だからね」
捕まった女性は泣き喚く子供に向かって必死に声をかけていた。
「おー! よくやったよくやった」
そんなことを言いながら城の中からは数人の男達が出てきた。
そして女性は1人の男に掴まれて子供と引き離された。
「ちょ、ちょっとやめてください!!」
女性は叫ぶが男達は無視して城の中へと連れ込もうとする。
子供は母親と引き離されたことでさらに泣き叫ぶ。
「うるせえなあ。とって食われたいか?」
男は子供に向かってそんな脅し文句を言って掴みかかろうとしたが突然その場に倒れた。
「なんだっ!?」
そんな驚きの声を上げる男達の元にニーナが現れた。
男が倒れたのはニーナの麻酔銃のせいだった。
ニーナは続いて女性を掴んでいた男も麻酔銃で撃ち抜くと、他の男達がニーナに向かって襲いかかってきた。
「このガキめ!!」
ニーナは殴りかかってきた男の拳を受け止めると逆に彼の顔面を殴り、後ろから襲ってきた男を後ろ足で蹴飛ばした。
そのまま他の2人も麻酔銃で倒れさせると、女性に言った。
「逃げて」
女性は子供を連れてそのまま森の中へと逃げていった。
ニーナは銃をリロードして、ゆっくりと城に近づいた。
倒れた男達に気づいた城の中の人間が外に出てきてニーナに襲いかかるが、ニーナは彼らを次々拳銃で倒していった。
そしてニーナはそのまま入り口に向かって手榴弾を投げ込んで爆破させると、そこに開いた大きな穴から地下へと潜り込んだ。




