第50話 ビビエルのとっておき兵器!! そして現れる、炎の魔法少女、リリィ・フレイミー!
ニーナはまたしても何も答えなかった。
「まあ、そうだよね~♡ ニーナちゃんがそんな簡単に教えてくれるわけはないって分かってたから、ちゃ~んと準備してたんだよね~」
「何?」
「さあ、入って入って~」
リリィが手を叩くと、扉が開いて5人の生徒たちが部屋の中へ入ってきた。
彼らは皆リリィが配った指輪をはめており、サイファーに操られているようだ。
そしてリリィの命令も全て聞くように洗脳されているらしい。
彼らは無言のまま5人横一列に並んで立った。
「ねえねえ、今から何が始まると思う?」
リリィがニーナに聞いた。
「分からない」
「そっか~、分かんないか~。じゃあ、ヒントを上げるよ。ヒントは、これっ」
リリィはナイフを取り出してニーナに見せた。
彼女はそのナイフを生徒の中の一人に近づけて言った。
「ニーナちゃんがどうしてもオーブの場所を言えないって言うのなら、私はこの子たちを順番に殺していきます♡ ちょっとかわいそうだけど、ニーナちゃんが教えてくれないのが悪いんだから」
そう言ってリリィは躊躇なく1人の首をナイフで切った。
「……っ!!」
ニーナは止めようと動いたが、椅子に拘束されて動けない。
首を切られた生徒はそのまま血を流して倒れた。
「ほらほら~♡ 早くしないと、どんどん死んじゃうよ?」
リリィはもう1人の首を切った。
さすがのニーナもそれには声を挙げた。
「待って……」
彼女はとにかく時間を稼ごうと考えた。
「シナプスを動かしてた黒幕は私じゃない……」
「そうなの? じゃあ誰?」
「アンナ・ブラックウォール」
「ああ~。知ってるよ。アンナ。ただ彼女がシナプスの黒幕だったとはね~。それは新情報」
「私は彼女の命令を聞いて動いていただけ。だからオーブの場所は彼女に聞いて……」
「は~? そんなので私が納得するわけないよね? 私は誰よりもあなたの事をずっと見てきたんだよ? 人の言う事だけを聞いて従順に働くような子じゃないって知ってるんだから♡」
「それでも、私は知らない……」
ニーナは小さな声で言った。
「残念でした♡ 時間切れ~」
リリィはもう1人の生徒も殺してしまった。
「さあ、全員死ぬまであとどれくらいかかるかな~?」
リリィは不敵な笑みを浮かべて言った。
◇
その頃、オフィスを出たビビエルはニーナが捕らえられている警備棟に向かっていた。
学園内はサイファーによって洗脳された生徒や警備員達で溢れており、彼らは洗脳されていない生徒を探してどこかへと連行していた。
ビビエルは夜の闇に紛れながら移動していたが、警備棟への通り道はかなり人が多く、見つからずに移動することは困難だ。
彼女は物陰に隠れて様子をうかがっていた。
「どうしよう……そこら中敵だらけだよ……」
彼女は腰につけていた麻酔銃を取り出し、安全装置を解除した。
「よし……いくぞ」
ビビエルは覚悟を決めて一気に表に出た。
生徒達はビビエルに気付き、一斉にビビエルの方へと向かって来るが、ビビエルは麻酔銃で彼らを次々撃ち倒していく。
「ごめんね! みんな眠ってて!」
ビビエルはそう言いながら駆け抜けた。
だが生徒達は思っていた以上に数が多く、ビビエルは必死に逃げた。
「多すぎだよ~!!」
警備棟の建物が見えてきたが、正面からも生徒たちが迫ってきており、一旦退却せざるを得ない。
ビビエルは逃げようとしたが、四方八方からやってくる生徒達に囲まれ、完全に逃げ場を失ってしまった。
「万事休すだね……」
生徒たちはビビエルを囲み、彼女に向かって攻撃態勢を取った。
言う事を聞かなければ攻撃をすると言わんばかりに全員ビビエルを睨みつけた。
「いつもの私だったらここで負けてる。でも今日は違うから! とっておきがあるんだ」
彼女はそう言って筒状の機械を地面に突き刺した。
そして彼女はガスマスクを被った。
地面に突き刺した機械からはガスが噴出し、辺りは一気にガスで覆われた。
生徒達は咳き込みながら次々と倒れていく。
「ビビエル特製のどこでもねむりガスだ! 参ったか!!」
ビビエルはねむってしまった生徒達に囲まれながらピースをした。
彼女は彼らが眠っている間に抜け出して、ついに警備棟の前までたどり着いた。
警備棟はまるで砦のような建造物で、学園の中ではかなり大きく古い建物だ。
塔のような建物が中心にあり、その周りを壁が囲っている。
普段は警備隊や風紀委員会が使っている建物だが、今は全く人の気配がない。
ビビエルは大きなアーチ状の入り口をくぐって壁の向こう側へと通り抜けた。
そこには広場があり、警備隊が使っている車両が何台か並べられていた。
そして、その奥にニーナが閉じ込められているであろう塔が建っていた。
だが不思議なことに中に入ってもにはビビエル以外の人の気配がない。
先ほどまでは大勢いた生徒や警備員達だが、ここでは全く見当たらなかった。
ビビエルはそのあまりの静かさに恐怖を感じていた。
「なんで誰もいないの……? どういうこと……」
次第にビビエルはここにニーナが居るという情報は嘘だったのではないかと思い始める。
彼女は一度外に出ようと思い入り口まで戻った。
だが、その時突然入り口に柵が降り、彼女は外に出られなくなってしまった。
「な、なんで!?」
ビビエルが必死に柵を開けようとしていると、どこからか笑い声が聞こえた。
「フフフ……」
リリィの笑い声だ。
ビビエルが振り返ると、塔の一番上の窓が開いて部屋の中に誰が居るのが見えた。
「お姉ちゃん!!」
ビビエルが叫んだ。
部屋の中に居たのはニーナだった。
「待ってて!! 今助けるから!!」
ビビエルがそう言った途端、砦を照らしていた明かりが消え、辺りが暗くなった。
開いていたニーナの部屋の窓もいつの間にか閉まり、大音量で音楽が流れ始めた。
「たった一人の姉を助ける為、勇敢にも1人で敵の要塞に乗り込んだ妹。う~ん、かっこいい♡」
リリィの声がどこからか聞こえる。
「リリィ!! どこにいるの!! でてきなさい!」
ビビエルが叫んだがリリィの姿は見えない。
「でもそんな彼女にど~しようもなく強い敵が立ちはだかります♡」
リリィが言った。
ビビエルは銃を構えてビビエルの襲来に備えた。
「その名は……森山リリィ!!」
リリィが叫んだ瞬間、ライトが塔の天辺を照らした。
そこに立っていたのはリリィだった。
「……っ!!」
ビビエルはすかさず光線銃で彼女を撃った。
だが全く効いていないどころか、リリィは飛び上がってそのまま地上へと降りてきた。
「サイファーの邪魔をするものは絶対に許さない! この私が成敗してやる!」
リリィはビビエルを指さしながら言った。
そして彼女は音楽に合わせて踊り始めた。
「リリィ!! お姉ちゃんを返せ!!」
ビビエルは光線銃を数発撃ったがリリィは何事もなかったかのように踊り続けた。
リリィは踊りながら炎を放ち、その炎は次第に彼女の体を包み込んでいった。
そして彼女は全身が炎に包まれた所で言った。
「大いなる力よ! 我がの肉体に炎の力を……。アクセス!!」
彼女を包んだ炎はその言葉と共に周りに大きく広がった後消えていき、姿を現したリリィは魔法少女に変身していた。
「炎の魔法少女、リリィ・フレイミー! 再び参上~♡」
リリィは長いステッキをくるくると綺麗に回しながら言った。




