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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第二章 学園
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第48話 ロンド海賊団はまだまだ続く!! ビビエルさんは何作ってるの?

「お前達……。すまなかった……」


 ロンドはピッカーやクリス達に謝った。


「なんで謝るんですか!」


 ピッカーが言った。


「俺は海賊団の掟を破った。もはやキャプテンをやっている資格はない。だからピッカー、俺はお前にキャプテンを任せようと思っている」


「そんな事言わないでください! 今までずっと一緒にやって来たじゃないですか! これからもキャプテンやってくださいよ!!」


「そうですよ!!」


 フォックスも言った。


「だがな、いつも掟は絶対だと言っていた俺が掟を破ってしまって、お前たちに示しがつかないんだよ。俺にはもうキャプテンをやっていく自信がない」


「そんなの!! 俺たちを守るためにやったことじゃないですか! あれのどこが悪いんですか!」


「いくら理由があろうと掟は掟だ。そして俺はそれを破ったんだ。キャプテンはおろか海賊団から抜ける覚悟もしてる」


「バカ!」


 クリスはそう言ってロンドに本を押し付けた。


「いってえな……。なんだ?」


「あんたから貰った掟の本。私全部読んだんだから」


「だからなんだってんだ?」


「ちゃんともう一度掟を読んでみなさいよ」


「なんだ? こんなもの読まなくたって俺の頭には全部入ってるんだぞ?」


「いいから!」


 ロンドは渋々本を開いて読み上げた。


「ロンド海賊団の掟その1。仲間の命は自分の命、自分の命は仲間の命。死ぬときは必ず一緒に」


「そうよ」


「何が?」


「だからその通りなの! あなたは今ここにこうして、生きてるでしょうが! これのどこが掟を破ったって言うの?」


「……確かに」


 ピッカーが納得した。


「いい? あんたは死ぬまで私達のキャプテンだから。最後の項目にそれ加えといてよね」


「じゃあ、ロンドさんは抜けなくてもいいってこと!?」


 フォックスの顔に笑みがこぼれる。


「やった~!!」


 トラップとフォックスは2人でハイタッチをした。


「う~ん……。まあ、確かにクリスの言う通りだ。掟は絶対だからな……。すまない。お前達……。俺はキャプテンを続けてもいいか……?」


 ロンドが聞いた。


「もちろんですよ! 何言ってるんですか!!」


「よし、じゃあさっそく船を飛ばしてお祝いをしましょう! クリスが助かった記念ですよ!」


 フォックスは張り切って船へとスキップをしていく。


「おいこら! ロンドさんの治療が先だろうが!!」


 ピッカーはフォックスを追いかけて駆けていった。


 そうして海賊団とアンナとの戦いは幕を閉じた。


    ◇


 海賊団がアンナと戦っていた頃、ビビエルは一人シナプスのオフィスで機械を組み立てていた。


「お姉ちゃん……。絶対私が助けるからね」


 ビビエルは一人そう呟いて姉のニーナの事を考えていた。


 ビビエルとニーナは元々は孤児だった。


 ニーナが6歳、ビビエルが4歳の頃に彼女たちは親に捨てられて、それからずっと孤児院で暮らしていたのだ。


 ニーナは親との関係で人間不信に陥っており、孤児院の中でも孤立していた。


 ビビエルは対称的に他の子供達とも仲良く接していたが、それをニーナが横に入っていつも止めていた。


「他の子供と仲良くなっちゃだめ」


 ニーナはいつもビビエルにそう言っていた。


「なんで?」


 ビビエルが聞くといつも同じ答えが返ってきた。


「仲良くなったらここから抜け出せなくなる。それが大人達の狙い」


 幼い頃のビビエルには理解ができなかったが、ニーナは孤児院に対して否定的な考えを持っておりいつもそこから抜け出そうとしていたのだという。


 彼女は大人は全て敵で自分たちの為に何かをしてくれるような存在ではないと思い込んでおり、早く抜け出さなければ何をされるか分からないといつも言っていた。


 その為、ニーナは何度かビビエルを連れて脱走を計ったが、周りの住民に通報されてすぐに孤児院に戻されるという事を繰り返していた。


 そんな日々を送り、ニーナもそろそろ脱走をあきらめかけていた頃、ある一人の女が孤児院を訪ねてきた。


 その女は子供好きで、何人か養子として迎え入れたいと言っていたのをニーナが盗み聞きしていた。


 その時、この女は使えるとニーナは思った。


 15歳になるとニーナは孤児院を出なければいけないが、ビビエルはその後2年間は施設に残ることになる。


 ニーナは妹を1人残しては出られないと考えていた。


 もし養子として施設を出られれば、ビビエルと一緒に居られる上にどこに居ようと通報されることもない。


 さらに、施設には何人もの大人が居るが養子に出れば敵は親だけ。そうすれば脱走も容易になると彼女は考えていた。


「お姉ちゃん、早く部屋に戻ろうよ」


 一緒に居たビビエルがニーナに言ったが、ニーナはそのままゆっくりと女に近づいた。


「どういう子供が欲しい?」

 

 ニーナがそう聞くと、女は一瞬だけ振り返って鋭い目でニーナの事を見た。


「頭のいい子供だな」


 彼女は一言そう言った。


「私はこの孤児院で一番成績がいい。どう?」


 ニーナは言った。


「ほう、確かに興味はある」


 女はニーナの方を向いて彼女を上から見下ろした。


「私の妹を一緒に連れて行ってくれるなら、私はあなたの養子になってもいい」


「ふ~ん。孤児の分際で取引とは贅沢だな。お前に選択権があると思うか?」


 女はあざ笑うかのように言った。


 嫌な女だとニーナは思ったが、孤児を引き取りに来る人間はめったに現れない上に、ニーナが施設を出るまで残り数年しかない為この機会を逃すわけにはいかなかった。


 女はそのままニーナを残して出ていこうとしたが、ニーナが呼び止めた。


「忘れ物してる」


 ニーナは女から盗み取った財布を見せて言った。


 女は自分の財布が無くなっている事を確認し、ニーナから財布を受け取った。


「あたしから盗みをやるとは良い度胸だな。気に入った」


 ニーナは手を出して握手を求めた。


「私はニーナ・イェール」


「あたしはアンナ・ブラックウォール」


 2人が握手するところをビビエルは陰から見ていた。




 ビビエルはそこまで思い出して、ため息をついた。


 ビビエルが作っている機械はかなり完成に近づいている。


 彼女は作業を一旦中断してキッチンへ向かった。


 キッチンには普段料理がされているような形跡はなく、巨大な冷蔵庫が1つだけポツンと置かれていた。


 彼女は冷蔵庫から取り出したココナッツミルクを飲みながらまた昔の事を思い出した。




 アンナの家に引き取られた2人は彼女の力を思い知ってすぐに後悔することになる。


 他にも大勢の子供達が集められており、彼らはそれぞれ魔術、スパイ技術、機械技術どれかを1つ専門として与えられ、学ぶことになった。


 ニーナはスパイ技術を専門として指定され、ビビエルは魔術を指定された。


「お前の専門は魔術だ。あっちの部屋に行け」


 アンナから言われた通りビビエルは魔術組の部屋に向かおうとしたが、ニーナが止めた。


「アンナ。ニーナには機械の方が合ってる。機械技術の方に行かせて」


「ほう? その理由はなんだ?」


「私の……直感……」


「いいか? あたしは科学者だ。直感なんてものを信用すると思うか?」


 アンナがニーナに顔を近づけた。


「人間の脳には直感で人を判断する機能が備わってる。だから直感も科学的」


 ニーナは一歩も引かずに、アンナを睨みつけた。


「お前は口だけは達者だな……。分かった分かった。好きにしろ」


 アンナは諦めたように言った。


 だがビビエルはニーナに怒っていた。


「お姉ちゃんなんで! 私魔術の勉強したかったのに!」


「だめ。あなたは機械技術を学んで」


「どうしていつもそんなに私の事勝手に決めるの! ここに連れてこられたのもそう! 全部お姉ちゃんのせいじゃん!!」


 ビビエルはニーナに怒鳴った。


「分かってる……」


 ニーナは申し訳なさそうに俯いた。


「もういいよ!! お姉ちゃんなんか嫌い!!」


 ビビエルはそう言って怒りながら走り去っていった。

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