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3日目【伏見稲荷・平等院鳳凰堂】

まだ外が薄い藍色をまとっている時間に、紬は昨日同様アラーム音で目覚めた。


そして、服と髪型を整え宿の朝食へとに向かう。


出てきたのは、「白米・白味噌の味噌汁・京野菜の炊き合わせ」だ。


なかでも、京都の西京白味噌を使用しており、昆布の風味が香る味噌汁は絶品だ。



炊き合わせの茄子はとろりと柔らかく、嚙むたびに出汁がじゅっと染み出してくる。


「おいしい♪……でも、今日で終わりかぁ」


紬はゆっくりと箸を進める。


◇◇◇◇


荷物をまとめ、京都駅のホームに立つ。


今日は少し出勤時間からずれたのでホームは比較的空いていた。


奈良線の列車がホームに着くと、紬はスーツケースを抱えて乗り込む。


「次は、伏見稲荷駅~伏見稲荷駅」


電車内にアナウンスが響く。


京都駅から5分程度ですぐ到着してしまった。


伏見稲荷駅に降り立つと、駅は朱塗りであり柱の下はしっかりと黒塗りされていた。


「わぁ~って!なんでこんな階段なんだよぉ!」


駅の改札をでると、目の前は表参道。


「階段頑張ったかいあったわね~!あ、スロープとエレベーターがあったじゃないの!まぁいいや……」


そして、すぐ目に飛び込んできたのは大きな鳥居。

はるか先には楼門がある。


「遠くない?……いや、気合よ!」


そして、そのまま進む。


「はぁ、はぁ……あ、楼門だ!」


疲れ切った紬を出迎えてくれたのは立派な楼門。

楼門をくぐると外拝殿があり、その奥には本殿がそびえたつ。


「よしっ!お参り完了。次は千本鳥居だね……あぁ~スーツケースまた抱えないといけないのかぁ!」


千本鳥居の中に足を踏み入れると辺り一面が朱色の世界へと移り変わる。


「わぁ!」


紬は圧巻され一瞬足がすくむ。


だが、スーツケースを抱えて階段をひたすら上る。


「奥の院やっと着いたぁ!ちょっと休憩……」


◇◇◇◇

再び奈良線に乗り、今度は宇治へ向かう。


車窓から一瞬見えた宇治川は水面がキラキラと反射していた。


平等院鳳凰堂に着くと、建物は水面に浮かぶようで美しかった。


中州にあるのだろうが、その神々しさに紬はナビをしていた携帯を思わず落とす。


「あっ!しまったわ!」


紬は慌ててひろう。


「ここだけ現実離れしすぎて、異世界みたいね……」


紬は平等院の姿にうっとりと見ほれる。


紬はしばらく無言で、ただその姿を見つめた。


「こんな場所が、本当にあるんだ……」


鳳凰堂の前で手を合わせる。


そのひと時だけはなにもかもが流れ去っていった。


「あぁ、平等院鳳凰堂と言えば『藤原頼通』よね!中宮彰子の同母弟だったわよね?確か、『摂政・関白・太政大臣を歴任』していて『83歳で亡くなった』のよねぇ〜当時としては異例の長寿じゃないかしら?父や叔父が糖尿病(?)で割とはやくに亡くなっているのに。晩年は宇治に隠居したから、宇治殿だったかしら?確か、頼道は平等院鳳凰堂を建てた時... 1053年よね。こう願っていたのかしら?いや、そういわれているって言った方が正しいかしら?『極楽浄土に生まれ変わることを願った。』でも、頼道が亡くなったら今度は院政になるものねぇ〜。まさしく、藤原氏の栄華を極めたお方......かしら?」

◇◇◇◇

参拝を終え、紬は近くの茶屋に入った。


平日で人が少なく落ち着いた店内で、注文した抹茶パフェが運ばれてくる。


深い緑色の抹茶アイス。


ひと口食べると濃厚な苦味と甘みが舌の上でゆっくりと広がった。


「これこれ!抹茶が冷たいだなんて......茶道やってた側からすると、新鮮よねぇ」


寒天は噛むと弾力があり、黒蜜の甘さが絶妙にマッチしている。


白玉はもちもちで、柔らかい。


「……美味しい」


紬は思わず目を閉じる。

◇◇◇◇


京都駅に戻ると、観光客で賑わう土産店の前で紬は足を止めた。


一昨日の志木の戸惑った声が胸の奥で小さく響く。


【え……ちょと___?】


あの声を無視して電話を切った自分を思い出し、紬は少しだけ罪悪感が沸いてくる。


「ちゃんと謝らないとね……」


紬は八つ橋や抹茶菓子、などのはずれがない定番お菓子を丁寧に選ぶ。


◇◇◇◇


新幹線のホームに向かう途中、紬は駅弁を選んだ。


選んだのは「京おばんざい弁当」


新幹線に乗り包みを開き、口に入れる。


湯葉はとろりと口の中で溶けて、炊き込みご飯のほのかな甘み、朝と同じような京野菜の味が口の中に広がる。


窓の外では、京都の街が遠ざかっていく。



「帰ったら、ちゃんと前を向こう!」


ピロンッ!


その時だった。

紬の携帯電話の着信音が鳴る。


「あれ?蒼斗からじゃないの!なによ......」


紬はその内容を見た瞬間かたまり、箸を止めた。


「またお別れかぁ......せっかく会えたのになぁ」

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価】で応援してくださると幸いです。


また、誤字脱字等ありなしたら誤字報告をポチッとお願いします!


今後も続きを作ろうかなと思っています。

シリーズ化するつもりです。


また、活動報告にいろいろとのせていますので読んでいただければ嬉しいです!

より理解が深まるようになっています。

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