151話 禁忌死域下層 その3
「グオオオオオオオ!!!!」
巨大な肉だるまは雄叫びをあげてとびかかってきた。
だが、いくら巨大とはいえ、肉だ。
今までの触手などからしてこいつの耐久力は低い。
宝魚はそう思ったのだろう。
剣で真っ正面から受け止めようとした。
「はああぁ!!」
宝魚は剣を振る。
「なん……だと…?」
宝魚の剣は、肉に食い込んだが全く切れる気配がない。
見かねた俺達もそいつに攻撃しようとするが、大きく後ろに飛び、かわされた。
「ふむ……切れなかったとはいえ、今の攻撃を受け止めるとは………」
「お前…………しゃべれたのか!」
「そうだ。我はヘルシャー。今貴様らの前にいるでかぶつは正確に言うと、”ヘルシャーの肉”だな。」
晴魚がきく。
「ヘルシャー、最深部にいるんでしょ?」
「そうだ。我は最深部にて、”封印されし力”を解き放つ。」
ノエルが呟いた。
「封印されし…力?」
そもそも、こんな広いところに肉を貼り付け、さらに細かく攻撃もしてくる。
本体も相当な実力者のはずだ。
そんな奴が力を解放する……?
「ククク……この”ダストロル”はお気に入りでな。これまで数々の侵入者を殺してきた。お前達もその一部だ!!」
背後から触手が伸びてきた。
俺はよけたが、目的はそれではなかった。
触手はダストロルに付着した。
すると、触手はものすごい勢いでダストロルを引き寄せた。
「ぐっ…!!!」
そしてダストロルがさらに追い打ちをかけようとするが………
「させない!」
小魚が硬鋼防を出現させ、防いでくれた。
「サンキュー!」
「アンフェルフラム エペ!」
ムッシーの攻撃は全てかわされた。
「なんなんだあいつ…………でかいクセに速い!」
ダストロルは壁にジャンプ!
足が壁にくっつき、耐久、そして反対側の壁、天井、自由自在に飛び回る。
さらに速度はどんどん上昇していく。
「ふん!」
ドオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
「「「うわああああぁ!?」」」
衝撃波で床の骨が粉々になった。
俺達は空中浮遊で避難。
「ぐふふ………これを待ちわびていた………」
するとダストロルは粉々になった骨をガリガリと食べ始めた。
「まじでなんなんだあいつ………」
俺が呟くと同時に、ダストロルは巨大化。
「「「!?」」」
「力が湧いてくる………」
「あいつ………骨を食って強くなったむし!ぼ、僕も……食べてみようかな?」
「「「やめとけ!」」」
全員に言われたムッシーはしょげる。
「…………!?」
ドオオオオオオオオオオ!!!!!!
一瞬で宝魚に近寄り、殴られる。
くそ………剣でもきれないのか………どうすれば………
「ドゥルフ トベルート!」
バアアアア………
「効かない…!?」
「くらえ!!」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
「ぐあぁ!!!」
俺は何とか体制を整える。
「どうする………なんにも効かないよ…」
小魚が怖気ずいて言った。
しかも攻撃力も高い…………ここは一旦ひくか………?
いや、逃げるとしてどこへ……?
………………………選択肢は……一つ……
「皆、進め!」
俺はダストロルを無視し、走って進む。
ダストロルは攻撃が入らない。
さらに速いし、攻撃力もある。
こんなやつを相手していたら持久戦になって負ける。
ダストロルの攻撃をかいくぐりながら奥へ進むのが一番いい。
皆も俺に続いて走り出す。
ダストロルは突然の出来事にしばらくフリーズしていたが、すぐに俺達を追いかけ始めた。
「逃げるでない。私の肉はどこまでも続いている。どこへ逃げても一生このダストロルはお前達を追い続ける。」
そんなんは分かってる!けど今はこれしかないんだよ!!
「どうせダストロルと戦っても勝ち目がないからだろ?ずっと走ってたら必ずいつか追いつく。体力が奪われているところにダストロルが襲い掛かる。最高だな。」
ずっと逃げ続けるつもりはない…………いい方法が思いつけば……………
奴の動きを止められれば…………
「ノエル、あいつに滅氷冷、いけるか?」
「う、うん。やってみる。」
ノエルは剣をダストロルに当てる。
「ぐ…」
ダストロルは動きを止め、凍結された。
「よし……!!」
「やったね、ナイス!ノエちゃん!」
「うん………問題はここから動かなければ………」
すると、壁に張り付いている肉が大きく波打ち、凍結されているはずのダストロルがピクリと動いた。
「なあ、これ、逃げたほうがいいんじゃねぇの………?」
「そ、そうだな、宝魚の言う通り………逃げろぉぉ!!!」
俺達はダストロルが復活する前に全速力で走り出す。
バキ………バキバキ……
氷がひび割れ始めていた。
「グオオオオオオオオオオ!!!!!!」
ダストロルが完全に復活。
だが、ダストロルと俺達との距離は50mくらい離れている。
そう簡単に追いつかれはしないはず…………
ググググググ………バババババ!!!!!
「「「!!」」」
触手が飛び出してきた。
だが俺たちはかわし、切り、逃げる。
それを繰り返した。
走るのを妨害してくる。
俺達とダストロルとの距離がドンドン縮まっていく………
「そろそろ……まずいん、じゃ、ない?雷魚兄ちゃん………」
「そう、だな、どうし、ようか………」
皆の体力も限界を迎えつつある。
打つ手が…………強いて言えばこのまま走り続けて入口に繋がっている魔法陣を探す…………いや…………なら、足止めする!
「”ドゥルフ アングディール”!」
火力が低いが、敵を痺れさせる魔法を撃つ。
「グオオオ!?」
よし、今のうちに………
俺達は走り続けるが、速度がかなり落ちている。
「リインフォース シュネル!!」
小魚の魔法で足の回転率がかなり速くなった。
「「「ありが、とう!」」」
「うん」
ただ、疲れは取れない。
ダストロルは痺れから解放され、また走り出した。
「クソッ、小賢しいことをしよって、逃がすわけにはいかん!」
これは…………ゴールが近いかもしれない。
今までは、”いつまでもつか見物だ!”とか、”そろそろ限界ではないか?”とか、舐めたことを言っていたが、今回は少し焦っている。
「ここで消してやる!」
すると触手が大量に飛び出し、ダストロルに繋がる。
もしかして…………
案の定、ダストロルは触手に引き寄せられ、一瞬で俺達の目の前まで来た。
「「「ひゃああぁ!!」」」
晴魚がすかさず魔法を撃った。
「シュ、シュヴァハ シュネル!!」
「ぐぬぅ!?」
ダストロルは体制を崩した。
「おい、どうしたダストロル!?肉が思うように動かん!?」
「ふっふっふ、私の、魔法を、あまり舐めるでない」
ダストロルは重々しくドシドシと走る。
だが、明らかにさっきより速度が落ちている。
「よし、この調子で、妨害していけば、多分いける…そ!」
宝魚は剣を抜いて後ろを睨む。
「剣舞・炎 炎防壁!」
「お!それはいい考えむし!くらえむしぃぃ!!!」
宝魚が作った炎の壁がムッシーの爆炎でさらに燃え上がった。
「ナイス、援護!、ムッシー………」
「ぐっとむし!」
「というか、ムッシー、自分で走れよ!、以外と、重い……」
ムッシーはずっと小魚の肩に乗ってるからな…………
「僕は足が遅いから追いつかれて死ぬむし!」
「たし、かに……」
いやまてよ、ムッシー普通に足速いだろ!
まあいい。
「かわりに、ムッシー、ダストロル、妨害しとけよ?」
俺がいうと、ムッシーは親指を突き立てていう。
「まかせろむし!!」
ムッシーは後ろを向き、ドンドン炎の壁を作っていった。
よし、これならダストロルを妨害できるだろう…………
「みて!!」
ノエルが叫んだ。
「「「魔法陣!!!」」」
遂に発見した!
「飛び込めぇぇ!!!」
俺達は魔法陣に飛び込んだ。




