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喋り方!

「どこへ向かっておるのじゃ!?」


荷台の後部から顔を出すと、遠くに街の灯りが見えた。


「分からないけど、街の明かりが右に見える」


「それはレガリストアントじゃ!右に見えると言う事は、南に向かっておるのじゃ!」


「それが分かったところでどうする事もできない」


「南にはギャリバング王国があるのじゃ!」


「こいつはギャリバング王国のドラゴンなのか?」


「分からぬ!じゃが、ギャリバング王国に行くのはダメじゃ!あそこは人間の王国!亜人は受け入れぬ!エルフは排除の対象じゃ!」


「落ち着け!自分達には気付いてないかもしれない!」


「それなら隙を見て逃げるのじゃ!!」


「だが問題は速力と高度だ!川とか水の上で高度が低くなったら飛び降りよう!」


「飛び降りるのか!?無理じゃ!それは……きゃぁぁぁぁぁぁ!」


緊急ブリーフィングの最中、ドラゴンは急激に高度を下げ始めた。


「うわぁぁぁぁぁ!」


そして、あっという間に着地した。飛び降りる隙なんてなかった。


「……ハァハァ、着地したぞ!」


「しっ!静かにするのじゃ!ドラゴンに気付かれるのじゃ!」


ポーラの声の方がデカいんですけど。

自分は状況確認のため、匍匐前進で入り口まで進み恐る恐る顔を出した。


『モォ〜〜!!』


「っ!!」


突然目の前を、水牛のような大型のモンスターの群れが通り過ぎて行った。自分は驚いて声が出そうになったのを、両手で口元を押さえてこらえた。

水牛の群れが走り去った後、再び顔を出し周囲を確認した。するとそこには幅の広い川が流れていた。川沿いでドラゴンは捕獲した水牛を食べている。


「ドラゴンは何をしておるのじゃ」


「食事中だ……」


「チャンスなのじゃ!逃げるのじゃ!」


しかし残念なことに隠れる場所がない。森までは遠すぎる。途中で見つかってしまうだろう。それに正当防衛が発動中だ。


「逃げるのは無理みたいだ……隠れる場所が無いから荷台を出ると襲われてしまう。この中が一番安全だ」


「この状況のどこが安全なのじゃ!」


「喋り方!」


「……落ち着いてください。ドラゴンが食事中なら、荷台を影にして対角線状に逃げましょう」


二重人格か?


「無理だろ。あの木までは遠すぎる。きっと直ぐに気付かれる。ドラゴンが去るのを祈るしかない」


「……そうですね。無闇に動くのは危険かもしれません」


「それに、ルビーがここに向かっているかもしれない。この場で息を潜めて待機だな」


ドラゴンは、自分達から見えない位置で水牛を食い続けた。その間、永遠とも思える時間の中、息を潜めて去ってくれるのを待っていた。生きた心地が全くしない。雨が降っているのがせめてもの救いだ。声を掻き消してくれている。


「きゃっ!」


「くっ!」


突然の衝撃と共に再び空へと舞い上がった。


「飛んだのじゃ!逃げるのじゃ!」


「もう遅いよ……この高さからじゃ無理だ……ルビー」


あっという間に上昇して、先程の川は既に遠くに見えていた。そしてゆっくり旋回をした後、進路を定めたのか真っ直ぐ飛び始めた。


「今度はレガリストアントが左に見える!」


「戻っておるのじゃ!ドラゴンは何をしておるのじゃ!」


『グォォォォ!!』


ビリビリと身体中を刺激する程の唸り声を上げ、ドラゴンは急上昇を始めた。


「まずい!」


ドラゴンの急上昇により、荷台が傾き始めた。自分は慌てて右足に付けていた警棒を取り出し、床の隙間にねじ込んだ。


「きゃ〜!」


ポーラはそのまま滑って外へと向かい始めた。


「掴まれ!」


そう叫んで手を伸ばすとポーラも手を伸ばし、キャッチする事に成功した。


「落ちるのじゃ〜!」


「絶対離すなよ!」


しかし、リンゴとポーションの入った黄金の箱が滑り始めた。


「あ〜!待ってくれぇ!!」


自分は足を伸ばして箱を止めた。


「くっ、重、い……ダメだ」


重さに耐えられなくなり、足がプルプルと震え出し黄金の箱に弾かれた。すると5個全ての箱が、外へと飛び出して行ってしまった。


「あ〜ぁ……」


名残惜しそうにポーラは入り口を見ていた。そろそろ腕がヤバくなってきた。


「ポ、ポーラどこか掴めるか?」 


ポーラは手を伸ばすが、どこにも届かずスカスカと空を切る。


「無理じゃ届かぬ」


警棒を握る手が滑り始めた。


「くっ!滑る!」


その時低く重い音が聞こえた。


『ブォーン ブォーン』


直後、とてつもなく巨大な何かが直下を通過し始めた。

新幹線が、トンネルの中ですれ違うような音と風圧が襲ってきた。

その風圧により自分とポーラの体は浮き上がる。

ここがチャンスと目配せをして、空中を平泳ぎで壁際まで進み、全身を使って荷台にしがみ付いた。

自分は安堵のため息を吐いて、お互いの無事を確認した。


「ポーラ大丈夫か!?」


「平気じゃ!」


「何だか分からないけど助かった!」


下を見たポーラは驚愕の声を張り上げた。


「何なのじゃ!?」


体感速度100キロ以上もある中で、その黒い何かはまだ見えている。


「で、デカいな!」


「こやつを避けるために上昇したんじゃな?」


「ドラゴンが避けるヤツがいるなんて、異世界恐ろしい」


「大変じゃ!逃げるのじゃ!」


「おい。喋り方!」


「……」


すると黒い何かは突然、あの低い音と共に姿を消した。

浮力がなくなり体が重くなる。それぞれしっかりと壁にしがみついている為、落ちることはなかった。


「とりあえず何とかなったな」


ーパッパッパッパカパ〜ンー


「何だ!?レベルが上がったぞ!レベルは定期的に上がるのか?」


すると今度は、荷台がゆっくりと水平に戻ったかと思うと、水平を通り越して真っ逆さまに急降下し始めた。


「「うわぁ〜〜〜〜!!!」」


荷台の入り口からは空しか見えない。

しかし次の瞬間、フワリと一瞬の浮遊感と共に上下が逆になった。


「うわっ!」


「何じゃ?」


入り口から見える景色もガラリと変わり、今度は一面ゴツゴツとした岩肌が見える。


「着いたみたいじゃ!!」


「静かに!隙を見て逃げるぞ!」


その岩肌には大きな穴が開いており、ドラゴンはそこへゆっくり降下して、そのまま中へと入って行った。


「ドラゴンの巣なのじゃ!餌にされるのじゃ!」


「分かったから静かにしろ!」


「きっと子供がいるのじゃ!子供の餌にするつもりなのじゃ」


「あ〜もう!喋り方!」


「……」


「ったく!」


「シ〜ッ!静かに!ドラゴンの餌になりたいのですか?」


「……ワザとやってないか?」



(女神様、こちら自衛官。

ドラゴンに捕まってしまいました。気付かれていない事を祈るばかりです。それよりもポーラの喋り方が気になります。王女は皆さん、あの独特な喋り方なのでしょうか?どうぞ)

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