表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/306

46第三王子陣営


 第三王子陣営の者にさらわれる。

 攫われる理由がわからなかったが、

 どうやら第三王子はドラゴンマニアだった。

 王子のその趣味を知っていた近衛兵が、

 チゴヤ商会で見かけた俺を拉致したらしい。


 とんでもない連中だ。

 けしからん。

 俺はやたら高そうな料理を両手にもち、

 モグモグしながら憤った。


「ミギャ」

「はい。どうぞ」


 声を上げると、

 高級感漂う料理を可愛いメイドが持ってくる。

 テーブルの上に乗ってナプキンを首からかけ、

 両手にナイフとフォークを持って、

 次の料理を待つ。

 メイドが可愛い。

 料理が美味い。

 誘拐犯どもめ、けしからん。

 モグモグ。


 はじめは警戒心バリバリだった近衛兵は、

 今や俺が何かする度に、頭を抱える。

 もしくは笑っている。

 俺が人間用のトイレを使用した辺りから、

 奴等の俺を見る目が変わった。

 むう。解せぬ。

 ドラゴンに比べれば、人間など下等生物のはずだ。

 ドラゴンがトイレやテーブルマナーを使って、

 何がおかしい事がある。

 

 その辺の所を延々とミギャミギャ説教してやった。

 が、あまり理解してもらえない。

 だがその結果、俺の食事にバナナが二本増えた。

 どういう事だ?解せぬ。


 どうやら、こっちの陣営の者は、

 チゴヤ商会の連中よりも知能に劣る。

 俺の言葉を理解出来ないどころか、勘違いまでする。

 けしからん。

 バナナの皮をむく。

 モグモグ。

 が、料理は美味い。けしからん。


 欲を言えばレベルの高い魔物が食べたい。

 ここの料理は美味いが、低レベル動物が材料だ。

 いくら食べてもエネルギー補給効果は薄い。

 ドラゴンゾンビ形態の回復はおぼつかない。

 が、美味い。

 けしからん。

 スナック菓子をご飯の代わりに食べてるようなものだ。

 しかし美味い。

 けしからん。


 高レベル魔物も食べたいが、伝える術がない。

 人間に変幻すれば、会話可能だ。

 けれど警戒度が跳ね上がるだろう。

 そうすればここから逃げにくくなる。


 ゴッキーに変幻すれば逃げるチャンスはある。 

 が 料理が美味い。から逃げられん。

 けしからん。


「ドラドラちゃん、お待たせ」

「ミギャ」


 第三王子は俺にドラドラという名前をつけた。

 まぁそれはいい。

 問題なのはこの王子の話、グチが多すぎる。


「聞いてよドラドラちゃん。ピースがさ」


 また王子の妻ピースの話か、

 王子のグチは哀れすぎて、聞いてられない。

 蛇に狙われたカエルのグチを聞けたら、こんな感じだろう。

 この王子は、そのうちきっと壊れるだろう。

 目の下の濃いクマは、その現れだ。


 ………ここから逃げ出そうとしないのは、

 この王子の存在がデカイ。

 何か可愛そすぎてほっとけん。

 王の直属であるはずの近衛兵が、

 結構な数、王子につけられてる理由がわかった。

 こう言うのもカリスマと言うのかもしれん。


 モグモグ。

 決して俺は美味い料理に釣られているわけではない。


「ミギャミギャ」

「わかったよ」


 高レベルの魔物が食べたいと、王子に訴える。

 王子からバナナを渡された。

 解せぬ。




 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ