最終章:元ビブラスの部下たち汚名返上と賞賛する皇帝両陛下
平和な世界♥
ビブラス商会からダニエル商会へと移籍した者たちは
かつての主の強欲さに染まることなく
純粋に「商いのプロ」としての矜持を取り戻していた。
彼らには、ビブラス時代に培った独自の
「裏ルート」や「情報網」があり
それが思わぬ形で帝国の危機を救うことになる。
ある夜、ダニエル商会の特別調査班
(元ビブラスの部下たちで構成されたチーム)が
帝都の港に不審な貨物が
運び込まれるという情報を掴んだ。
「班長、間違いありません。
あの紋章……ビブラスがかつて内通していた
闇ギルドの残党です。
中身は、魔界から不正に持ち出された
『精神汚染の魔石』かと」
班長と呼ばれた男は
かつてビブラスのもとで
荷運びの責任者を務めていた大男だった。
彼は鋭い眼光を光らせ
部下たちに指示を飛ばす。
「よし。ダニエル様からお預かりした魔法通信機で
即座に魔法騎士団(エリー小隊)へ連絡しろ。
我々は騎士団が到着するまで
あの貨物を絶対に動かさせるな!
……俺たちが汚名を返上するのは、今この時だぞ!」
「おうッ!」
彼らは武器を手に取り
闇夜に乗じて密輸団を包囲した。
かつては悪事に加担させられていた自分たちが
今は「正義」のために動いている。
その自負が、彼らを死に物狂いにさせた。
乱戦の中、エリー率いる魔法騎士団が到着。
元ビブラスの部下たちの完璧な包囲網のおかげで
密輸団は一人も逃すことなく一網打尽にされた。
翌日、港の倉庫街。
事態を重く見たシャリオッドとマリナベリーが
直々に視察に訪れた。
整列するダニエル商会の面々。
その中には、昨夜の戦いで傷を負い
包帯を巻いた元ビブラスの部下たちも混じっている。
彼らは雲の上の存在である皇帝夫妻を前に
緊張でガチガチに固まっていた。
シャリオッドが歩み寄り
班長の男の前で足を止めた。
「……見事な働きだった。
騎士団が到着するまでの間
この危険な魔石を一人も欠けることなく
守り抜いたそうだな」
「は、はっ! もったいないお言葉です、陛下……!」
班長は震える声で答えた。
そこへ、マリナベリーが
柔らかな微笑みを湛えて横に並んだ。
「貴方たちのことはダニエルから聞いているわ。
かつての過ちを悔い
今は帝国の盾となって働いてくれている。
……貴方たちがいてくれて、本当に心強いわ。
ありがとう」
「こ、皇后陛下……っ!」
マリナベリーの「ありがとう」という一言に
男たちの目から熱い涙が溢れ出した。
自分たちは一度、国を裏切ったも同然の身。
それなのに、皇后自らが自分たちの働きを認め
感謝の言葉をかけてくれたのだ。
「これからはダニエルの部下としてではなく
帝国の誇りある市民として
その力を振るってほしい。
……陛下、彼らには相応の報奨を出してもいいわね?」
「ああ、もちろんだ。
今回の功績を称え、全員に特別賞与と
帝国市民としての最高位の身分証を授与しよう」
シャリオッドの宣言に
その場にいた元ビブラスの部下たちは一斉に跪き
大地に頭を擦りつけた。
「この命、生涯かけて陛下と皇后陛下
そしてこの国のために捧げます!」
彼らの誓いは
かつての利欲にまみれた言葉ではなく
魂の底から絞り出された真実の忠誠心であった。
視察を終え、馬車へと戻る道すがら
マリナベリーはシャリオッドに寄り添った。
「和哉。人を信じて任せるって、素敵なことね」
「ああ、みなみ。
君が彼らにチャンスを与えようと
言い出さなければ
昨夜の密輸は防げなかったかもしれない。
……君の慈悲が、帝国をより強く
より豊かにしているよ」
二人は微笑み合い
活気を取り戻した港を後にした。
かつて「悪役」として
排除されるはずだった者たちが
今は英雄として賞賛される。
その光景こそが
二人が作り上げた新しい世界の象徴であった。
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これにて物語は終わります┏○ペコッ




