↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/170

オールドリンデン 4

 

「俺はCランク冒険者のカズフミです」


「なんでそんなのがエレナ様とパーティを組んでるんですか?」


 今そんなのって言ったよね! そんなのって!


 仮にもギルドの受付嬢なんだから、もうちょっとこう丁寧な対応とかできないんだろうか。


 しかしなんと説明したものか。

 ……うん、あった通りの事実を話すとするか。


「実は僕がエルドの森で転移トラップを踏んでしまって、深層に落ちたときにエレナ……さんに助けていただいたんです」


「なるほど……それでエレナ様の追っかけをやっている、というわけですね」


 それ完全に俺のことストーカーと思ってるよね。

 ストーカーじゃないからね? どちらかというと付き纏ってきてるのはエレナだからね!?


 なんてことは言えるわけもなく。


「あはははは……」


「まあいいでしょう。でもCランク冒険者がリヴァイアサン討伐に参加するなんて危なくて許可することはできません」


 まあ当然といえば当然の話だ。


 逆にここで許可を出すような奴は即刻クビにしたほうがいい。

 冒険者の力量にあった依頼を受けさせるのも、受付嬢の仕事だろう。


 ……まあそれは、実力とランクの高さが一致してる奴の話だ。


「カズフミはこう見えても私より……むぐっ!?」


「え、エレナよりずっと高ランクの方たちの支援(サポート)が得意なんですよ!」


 エレナが馬鹿なことを言おうとしたので口を塞ぎ、適当なことを言ってごまかした。


(おい! 何言おうとしたんだバカ!)


(何よ! 本当のことなんだしいいじゃない!)


 別に言わせても構わないのだが、誰も信じやしないだろう。

 まずだいたい、人は自分の目で見たものしか信用しないのだ。


 仮にエルドの森でエレナに初めて出会ったときに、「俺はお前より強い!」と言ったとしても、エレナは鼻で笑ったはずだ。


 ではなぜエレナの口を塞いだかといえば、その理由は明確だ。


 ただ単に、信じなかったサリアさんやマーリオンに、「事実」を笑われたらと想像したら、イラッときたからだ。


「だからといって……!」


「まあまあサリアさん。僕も彼の実力は一度見てますし、たしかにサポート向きの能力でしたよ」


 おっ、流石Sランクのマーリオンは俺の能力を割と正当に評価して……


「それにカズフミが来ないとエレナは一緒に戦ってくれないんだろう?」


 ま、そっちが目的なんでしょうよ。分かってたぜ。


「ま、まあそういうことなら仕方ないですけど……お二方の足を引っ張らないでくださいね!」


 そんな捨て台詞で、サリアさんはギルドの奥に逃げ帰っていった。


 いやいや、足引っ張られる可能性はあっても、足引っ張ることはまずないので。


 未だSSランク以上の冒険者の力量を見ていないから分からないし、エレナの上には確かあと十人のSランク冒険者がいる。

 だが現状そいつらを除いた冒険者に遅れを取るということはないはずだ。


 ん? 順位といえば……


「マーリオンはSランク冒険者何位なんだ?」


「知らないわ。冒険者の碑に書いてあるでしょ?」


「ひどいなー! 忘れたのかい? 十二位だよ、十二位! エレナの一個下!」


「私、あんまり順位とかに興味ないから」


 あ、あれは……!


 うちのツンデレナさんが拒否感を露(あら)わにしたときに見られる完全拒否モード、ツンドラナさんじゃないか!


 こらぁ脈なしもいいところですわぁ……残念だったな諦めろ、俺。

 ここでエレナとお別れするのは無理そうだ。


「じゃあマーリオンよりもエレナの方が強いのか?」


「うーん……どうなんだろうね」


「そうでもないわよ? この順位は討伐したSランク以上の等級の魔物を退治したときとかに、算定されるポイントで決定されるから……

 その、まあ、旅を続ける私の方が若干有利だったりするのよ」


 ……なるほど。たしかにアルドベルを中心にして三都市をメインにまわっても高ランクの魔物との遭遇率は低い。


 逆にエレナのように各地を旅していれば、それだけ高ランクの魔物と出会う確率も上がるわけだ。


「じゃあ高ランクの魔物がポップするダンジョンの近くに住み着いて、狩り続ければずっと高い順位にいれるってことか?」


「そうね。実際やってる奴いるし」


「あぁ、そういえばエドモンドはテナリア迷宮を封鎖して、延々と狩り続けてたね」


 へえ、ちゃんとズルしてるやつもいるんだな。


「でもそういう奴はギルド側から除外されたりしないのか?」


「それが難儀なところでね、彼は迷宮からのドロップアイテムを一括安値でギルドに卸してるから、ギルドもあんまり言えないのよ」


 うわあ……まるで某料理バトル漫画の叡◯先輩みたいな野郎だ。


「まあでも彼の能力は有能だし、テナリアのミノタウロスを今は3秒で狩れるようになったんだろ?」


「そうよね……やってることはずるいけど、ミノタウロスを毎日狩り続けることで、身についた実力は馬鹿にできないわ」


 なるほど、一個のことに打ち込むことで実力を得る、ってものあり得るのか。


 とりあえず聞きたい話も聞けたし、今日はもう宿に行きたいところなんだけど……


「エレナ、エレナ! 旅の話聞かせてよ!」


「今日は疲れたので……」


「そう言わずにさぁ!」


「えぇー……」


 マーリオンの目に、「今夜は寝かせないぞっ☆」て文字が見えたのは気のせいだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。