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第5話ベトナムの喧騒と究極のヤギ鍋 その4

2人は、ついに究極のヤギ鍋の店へしかしその手前から妖しい路地を。。。。


「あっそうそう、ヤギ鍋の店を教えてもらおうと思って。近くなんですね」

料理長が、突如話題を切り替えた。「そうです。

この先の5つ辻を・・・・」とユキ氏が説明する。

「いや、歩いていくのなら辞めたほうがいいですよ。タクシーでも1万ドンくらいで行けるから、すぐ呼びますよ。だってご主人の表情、疲れきってますよ」

富澤氏が、顔が汗だくになっていた店長のほうを向きながら、さっと電話に向かい、タクシーを手配すると、ものの5分も経たない間にタクシーが到着。

ユキ氏に挨拶をした後、タクシーに乗り込む。富澤氏がヤギ鍋の店の場所を説明してくれると、運転手はすぐにわかったようで、車を動かしだす。


ホテルの人たちと違い、日本人である富澤氏のほうが、こういう細かいニュアンスでの伝達がスムーズであった。


タクシーで5分もしないうちに5つ辻、やがて道路の右手に“LAU DE”とか枯れた看板を発見。

この“LAU DE”こそが、ヤギ肉料理のベトナム語表記であった。


ヤギ鍋は、通常のベトナム料理としては、余り紹介されないものであるが、地元のベトナム人には大人気の料理。

かつてガイドのバオ氏に誘われて行った時、初めて食べたときの感動は、決して忘れられない。

2年前にも、紹介されたところとは別の店に行って食べたのだが、ここでも感動したのだった。


今回の研修では、あえて「今まで行った事のないところに行こう」と言うのがテーマ。

ヤギ鍋はどうしても食べたかったので、面白い店がないかどうか、事前にネットで調べると、非常にマニアックな店が紹介されていた。


気になりさらに調べると、非常に年を重ねた料理人の写真があり、「本物のヤギ肉の美味しさをかたくなに守っている」といった文言が書かれているのを見つけた。「これは、究極のヤギ鍋の店だ!」と確信し、チェックをしていた。

住所を調べてユキ氏に聞くと、確かに近くだったのだが、直接あって詳しい店の情報を聞く事が出来たことで、迷う心配も全くなく、看板が記す路地の中に、突き進む事ができた。


場所は、路地奥にあり、その路地は幅が狭いだけでなく、途中で入り組んでいるため、妖しさ、入りにくさでは、2人の働いている路地奥の店である “麦酒食堂”など足元にも及ばない。

路地多くに突き進むと、こじんまりした店であるものの、多くの地元の人たちが鍋をつつきながらビールを豪快に飲んでいた。


早速ビールと共に注文。最初は、料理長の表現を間違がいされたのか、ヤギ肉のカレーのみが登場。慌てて焼肉を注文すると、他店のように自分たちで焼くのとは大きく違って、皿に焼かれたものが登場した。


しかし、すぐに納得した。情報では他のヤギ鍋の店では、ヤギ肉とは違う類似した肉を混ぜているという情報で、確かに見た目が綺麗であったが、今回の肉は少々荒々しい。


この荒々しさこそが“本物”と確信し、実際に食べると、これがどう例えていいのか?いやもはや例える必要すら忘れるほどの美味。

もちろん、焼肉だけではない。最初のカレーも絶品であった。


もちろんここまできたらと、鍋を注文。

鍋に入っているヤギ肉も荒々しかった。

野菜も麺もたっぷりで、料理長は見ただけで、おなかが一杯になってしまっていた。

店長は、すぐに食べずに、スケッチブックと筆ペンを用意し、スケッチを開始。

ヤギ鍋を約10分で書き終えたかと思うと、料理長が後ろを指差す。


後ろのお客さんが、「何をしているのだろう?」気になって仕方が無かったらしい。

店長が、書き終えたスケッチをそのお客さんに見せると、非常に嬉しそうな表情をしながら、数名で見せ合いをしているのだった。


店長の願望で持ってきたスケッチが、意外なところでコミュニケーションツールになる事がわかり、明日以降のタイでも楽しみに感じるのだった。


さて、他の料理もそうであったが、ヤギ肉は下処理が非常にしっかりしているらしく、臭みも全く無い。ただひたすら美味しい肉の鍋を食べているだけ。ビールの量も思わず進む。


料理長は、「ベンタン市場で食べ過ぎてしまったらしい」と途中で食べるのをやめたが、店長はその代わりにどんどんヤギ肉を食べあさるのだった。


最後に、試しに焼酎を発見したので、注文すると、昔日本でもあった、瓶のジュースの容器に入ったものが出てきた。

色は無色透明であるが、匂いは間違いなく焼酎。

早速飲んでみた。期待するほど度数が濃いとか味が強烈と言うわけではなかったが、

〆のドリンクとしては最高であった。


交代でトイレに行き、清算を済ませる。サイゴンビールを4本ほど飲んで金額は213,000ドン。

約1,100円という安さで、短時間のベトナム滞在の、最も重要な夕食での素晴しい体験を、堪能することができたのだった。


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