103話 出会いの終わりは出会いの始まり
闇に閉ざされていた視界がだんだんと晴れていき、心に穏やかさが取り戻されていく感覚だ。
「やぁ、気分はどうかな?」
太陽のように眩しい笑顔を向けるその男性は、まさにこの世の存在とは思えないほどの透明感を持ち、背中に真っ黒な翼を生やしている。
この翼には見覚えがある・・・ついさっき【剣王】の称号を得た際の記憶に出てきた。
こんなに大きな翼を背負った後ろ姿を忘れるはずがない。
「僕は一体何を・・・・・」
すると、視界の端に何かが映る。
「––––––妙・・・?」
それは天魔に呑み込まれたはずの妙の亡骸だった。
「どうして・・・」
「安心していい。彼のことは私がきちんと処理しておいたからね」
この人は一体何者なんだ?
状況から、暴走した凪星を助けてくれたのは間違いないだろう。
それに、天魔や妙のことまで・・・・・
「速やかに土へ還してあげよう」
脱力感がすごい。
何の気力も湧いて来ない。
まさにこの時の剣聖は生きる意味を見失い、廃人寸前と化してしまっているわけだ。
ひんやりとした妙の亡骸に触れると、悲しみと同時に溢れてくるドス黒い感情。
背けたくなるほどに辛い感情だが、凪星だけじゃなく俺自身も記憶を通してこの感情と向き合っていかなくちゃならない。
それにしてもこのやるせない感情は、俺自身が凪星に向けて抱く思い––––––凪星が妙に対して抱く感情は、一を失った俺だからこそ理解することができる。
けど、俺は剣聖の力によって前を向く勇気を得た。新しい大切な存在とも出会うことができたのに・・・そんな与えられてばかりいる自分が少し情けなく思えてしまう。
凪星は妙の墓だけでなく、亡骸を残した多くの剣王の家臣たちの墓までも崑崙山脈の一部に作った。
残念ながら剣王の亡骸までは天魔から回収できなかったらしい。
その後、凪星は剣王の息子と翼を生やした謎の男とともに紫禁城へと向かい、同様に墓を作った。
「さて、とりあえずはひと段落かな」
呑気な男の声が静けさを纏った紫禁城に響き渡る。
「ところで君たちは、行く当てはあるのかな?」
あるはずがない。
生まれた時から孤独な凪星にとって、妙は初めてできた家族であり、愛する存在であり、心を蝕む存在となってしまった。
けど、この心の辛さが死を連想させるきっかけになるとしても、忘れたくない感情にも駆られてしまっている。
「君たちの辛さは私にもよく理解できるよ。愛する者を失う辛さがどれほどのモノなのか・・・それは経験した者にしか分からないことだ。私も幾度となく経験してきたからね」
すると、涙で潤んだ視界へと、細く白い腕が伸ばされる。
「私と一緒に来てはくれないか? 私が君たちに生きる理由を与えてあげるよ」
この人が何者なのか、名前すらも分からない。
けど、凪星の心は自然と目の前の人物を受け入れている。
出会いの終わりは出会いの始まり––––––ここから凪星が一体どんな歩みを見せていくのか、俺は興味をそそられてしまっている。
そう思わせるだけの魅力が目の前の男は宿しているんだ。
「––––––まだ名乗っていなかったね。私は「マオウ」。これからよろしく頼むよ」
<––––––称号【堕天の友】の獲得により、スキル『模倣の魔眼』が開眼>
<転職ミッション達成により、ジョブ『剣聖見習い』が『記憶喪失剣聖』へと進化––––––スキル『×10のポイント増加』の適用により、計100000000pを獲得>
<––––––––––––『50%:死者蘇生(1名)』到達に際して、解放可能な神獣を一体確認––––––––––––場所:「崑崙山脈 モソ族 妙の墓」>
【ステータス
称号:【記憶喪失剣聖】【メテオ】【支配者の素質】【剣王】【堕天の友】
ジョブ:『記憶喪失剣聖』
スキル:『×10のポイント増加』『白魔気』『聖剣メテオ』『聖剣の恩恵』『絶歩』『空歩』『万眼』『万能完治』『流星闘鬼』『闘神』『剣王覇気』『剣王の軌跡』『模倣の魔眼』
体力:20050
武力:20000
防御力:16999
敏捷:21001
技術:23414
運:18899
魔力:16533
『メモリーツリー:47%「100000032P」』】




