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ghost Night  作者: あつきおぐら
幽霊少女
3/5

「・・・ボロボロですね」


獅子と少女の戦いは、一瞬にして決着がついた

舌を舐めずりながら、その大きな獣の手は少女を踏みつけている。

今にも少女は、自分の終わりを受け入れなければいけない。


「う、ぐぅ・・・!」


嘲笑うかの様に、獅子は笑った。命を踏み躙ることに悦でも感じているのか、ぐりぐりと一層その手に体重をかける。


「・・・終わりですね」


ミシミシと自分の身体が悲鳴をあげている。

血液が逆流して、口から溢れる。

そんな中でも、頭にあるのは先程の男の人だけ


ちゃんと逃げれただろうか。

自分の居場所に帰れたのか。



──結局、私は誰だったのでしょうか。



諦めて、少女は目を瞑った。





「化け物!!!!こっちを見ろ!!!!」

「・・・ぇ」


何故だか、彼は帰ってきたのだった。




怖い。


怖くて仕方ない。


足は震えているし、全身に上手く力が入らない。それでも、大声を張り上げて化け物を威嚇する。これが有効なのかはわからない。


ただ、自分を鼓舞するためにも。俺は声を張り続ける。


「そ、その子を倒したいんなら!!!俺を、た、た、倒してからにしろ!!」


獣に言葉は通じない。そんなの誰だってわかる事だ、けれど。目の前にいる化け物は言葉を理解しているのか、顔をこちらに向けてきた。


「どうして・・・」


少女の呟きは、浩には聞こえない。



怖い。


あんなの人が戦って勝てる存在ではない。それでもなお、俺は逃げる訳にはいかない。


だって、あの子は立ち向かったんだから。


この恐怖に。


「──かかってこい。俺が、相手だ・・・っ」


出来ることなんて無いだろう。けれど、あの子が逃げる時間は出来る筈だ。


「はは、いいだろう。お前の挑発に乗ってやる。小僧」

「喋った・・・」


いよいよこれが現実なのか疑いたくなった。

まさか、目の前の化け物が喋り始めるなんて


「ダメ・・・!逃げてください!!」

「いいや、もう逃がさん。2度は無いぞ」


化け物の手が離れる。そして、今度はその手に備わった鋭い爪が自分に向けられる。


「ただの人間を殺しても意味はないが、生憎様俺は生物を殺すのが好きなんだ」

「・・・そう、かよ」


飛びかかるために姿勢を低くして、獲物を狙う瞳で俺を見つめる。

化け物の姿でも、狩りをする獣と同じだ。


ただそこに、意味が無いだけだ。


「──!」

「ダメ!!」


貯めていた筋力を解き放ち、その巨体がこちらに飛んでくる。


牙が来るか、爪が来るか。


ゆっくりと動き続ける世界の中、生きる事を諦めていない俺はそんな事を思考していた。


ほんの僅かな、希望を手繰り寄せために。


「ぐあっ!?」


そんな世界の中、化け物の眼球が潰れる。いや、潰されたという表現があっているかもしれない。光り輝く何かが、撃ち込まれたのだ。


「今だ──!!」


走り出す。


行く先は、倒れ伏している女の子。


「きゃっ」

「逃げるぞ!!」

「降ろしてください、私を担いでいては・・・」

「うるさい!!口閉じてろ!!舌噛むぞ!」


なりふり構わず、俺は足を動かした。

目が潰されて、のたうつ化け物を背に。



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