83.春休み・(師匠と買い物②)
「これはどう?羽形帯をがま口にした商品なんだって。値段も1000円で私のお小遣いでも買える。」
私は紺色に水色の柄のついたがまぐちを師匠に見せると、
「いいじゃないか。それにしな。」
と言ってくれた。電話を終えた中村くんのお婆様が、
「お決まりですか?」
と私に尋ねたので、
「これをお願いします。」
と伝えた。
「羽形献上の柄を選ばれたのですね。この柄は両子持縞は親子縞、中子持縞は孝行縞と呼ばれることから、以前はお殿様への忠誠を示すものとして献上品にされていたんです。そして縁起物としても重宝されたんですよ。」
と中村くんのお婆様が説明をしてくださった。
「私、送り主に忠誠を示す予定はないので、やっぱりこっちの縞模様にします。」
と言って白と紺色縞模様の羽形織のがまぐちを中村くんのお婆様に渡した。
「この柄のがま口を送ったからって相手に忠誠を誓う必要はないんですよ。この献上柄はお土産としても人気でみなさんそんなことは考えずに柄の一つとして購入されていますよ。ごめんなさい、この柄の良さを知って欲しくて余計なことを言ってしまって。」
と中村くんのお婆様が頭を下げた。私は、
「こちらこそすみません。説明していただいてよかったです。ちなみにこの縞模様は何か意味はあるんですか?」
と中村くんのお婆様に尋ねると
「孝行縞っていう模様です。細い縞が太い縞を挟むように配されてるでしょ。だから「子が親を慕う」という意味があるんですよ。」
と答えてくれました。私が馬鹿皇子にこれを送っても深い意味は持たないからこれがいいかな。縞の太さも違って面白いし。
「やっぱりこっちにします。」
と私が言うと、
「はい。ありがとうございます。千円です。」
と中村くんのお婆様が言った。私は1000円札を中村くんのお婆様に渡しました。中村くんのお婆様が
「1000円丁度いただきます。包装するので少しお待ちくださいね。水色とピンクと黄色、どの包装紙にしますか?」
と尋ねたので、私は
「じゃあ水色でお願いします。」
と答えた。するとと中村くんのお婆様が箱にがま口を入れて、見事な包装紙捌きであっという間に箱を包み、青のリボンをかけて、
「はい。お待たせいたしました。」
と言って綺麗に包装された商品を手渡した。私は
「ありがとうございました。」
と言って商品を受け取った。すると、中村くんのお婆様が
「ちょっとお時間ありますか?」
と私たちに尋ねた。師匠は、
「あぁ、大丈夫だよ。」
と答えると、中村くんのお婆様が
「よかったー。ではこちらにお掛けください。」
と言って私たちを応接セットに誘導すると、店の奥に行ってしまった。




