65.巡幸④
「前にも言ったけど、今日は夕飯いりませんから。」
「わかってるよ。うどん部で西さんのとこに食べに行くんだろ?」
「うん。あ、まだ同好会なの。それじゃ、いってきまーす。」
私はご機嫌に家を出た。
ご機嫌で学校に来たのに、校内の雰囲気はピリついていた。皇帝陛下ご家族がいらっしゃるからと言う事で1時間目校内の大掃除、2時間目は服装検査。3時間目は3年生は交流会のリハーサル、2年生の部活生は発表のリハーサル。それ以外の生徒は自習。4時間目は授業。昼休みを挟み5時間目は陛下ご家族と3年生の交流会。その他の学年は授業。6時間目は部活発表。部活に入っていない生徒は下校。私達うどん同好会は部活発表には参加できないので、西さんちのうどん屋さんで関東と関西のうどんの食べ比べをする事になっている。
昼休みになると部活に入っている生徒たちは発表の原稿を読んだり、打ち合わせをしたりと6時間目の発表に向けて準備をしている。その時、清水くんが
「あの馬車って陛下の馬車じゃね?」
と言うとクラスのみんなが窓側に集まった。
「いたたたた。」
窓側の中村くんはこっちに避難してきた。そして
「見なくていいのか?」
と尋ねたので、
「修行中の身なもんで、権力者には近づきません。」
と答えた。中村くんは
「あぁ、言ってたね。」
と言って空いていた私の前の席に座った。すると西さんもやってきて、
「あーあ、陛下にうどんの良さを伝えたかったな。」
と言って私の座っている椅子に無理やり座ってきた。
「落ちる落ちる。西さん、いいじゃん。正面玄関の一等地にうどん同好会の掲示をしてもらってるんだから、きっと見てもらえるよ。」
と伝えると、
「そうだね。」
と明るさを取り戻した。そして昼休みが終わり授業が始まった。すると廊下から校長先生と教頭先生。そして陛下の声が聞こえてきた。私は視線を感じたが授業に集中した。
5時間目が終わり、私達うどん同好会メンバーは西さんちのうどん屋さんに向かった。関先生は教室を出る前に
「教室棟の施錠当番だから30分くらい遅れる。俺の分残しておいてくれよ!」
と言っていた。今日の部活を1番楽しみにしているのは関先生なのかもしれない。
「こんにちは!!」
「ただいま!!」
私達はおじさん(西さんのお父さん)にあいさつをすると、
「いらっしゃい!今日はたくさん食べていってね!」
と笑顔で出迎えてくれた。西さんのお父さんってイケメンなんだよね。西さんもかわいいもんなー。そんな事を考えていたら、電話の音がしてしばらくしておばさん(西さんのお母さん)が飛び出してきて、
「大変、大変。これから関先生と第二皇子様がいらっしゃるって!」
それを聞いて西さんご家族と、鈴木くんは興奮していたが私は思わず
「は?」
と言ってしまった。私が魔導師で権力者に会いたくないと知っている中村くんは、
「大丈夫か?」
と心配している。私はうどんは食べたいが修行中の身。しかも試験で3位以内に入れなかった私にとってこの状況は危険すぎる。私は席を立ち具合が悪くなったから帰りますと言おうとした瞬間、ガラガラガラ。無常にも扉が開き、緊張で汗びっしょりになっている関先生と、マッチョな護衛2人に挟まれた馬鹿皇子が入ってきた。
「終わった。」
私は小さな声で呟いた。




