221.朝ごはん
「はぁー。食った食った。」
食べ終わった弁当箱や水筒を籠の中に片付けていた私の隣で馬鹿皇子そう言いながら大の字になって寝っ転がった。その手には私が先程しがんでいたヒレのないスルメ。(ヒレは私が先程食べてしまった。)
「俺、スルメって食べたことない。こんなに硬いものよく食えるな。それに匂いも独特だし。」
「私は好きだけどね。」
「へぇー。」
「貸して。」
馬鹿皇子からスルメを受け取ると、(スルメを)割いてから馬鹿皇子の口の中に入れた。
「硬っ。」
「しばらく噛んでいたら味がしてくるよ。冨久岡にいる時に師匠からスルメは顎を強くしたり、虫歯予防でしょ、あと脳の活性化にストレスの軽減、それと疲労回復だったかな。とにかく体にいいって聞いてから食べるようになったの。師匠は看護婦さんだからこの情報は確かだよ。」
「ふーん。あ、味がしてきた。まあまあうまいな。」
「まあまあってことはお気に召さなかったってことね。」
「ごめん。」
「別にいいわよ。」
そう言いながらスルメを片付けていると
「なぁ、このはも横になれよ。はい。使って。」
と言って左手で右腕をトントンと叩いた。
「え?」
「ここに寝て。」
「は?」
「俺の腕枕で寝ると使命を忘れて、決心が鈍って魔導師ではない、ただのこのはに戻れるから。」
「は?別に鈍らないし。
「試しもしないで否定するのか?」
「私は、そんな手にはひっかからないから。」
「じゃあどうするかな。」
「そんなことで悩まなくても、私以外の女性は桜華様によってくるじゃない。別に私なんかにこだわらなくてもいいのに・・。」
「こだわるに決まってるだろ。それにさ。このはの父さんがやっとこのはが俺の婚約者になることを許してくれたんだぜ。」
「婚約者ではなくて婚約者候補ね。」
「一緒だよ。」
「それに島津さんから聞いたよ。父さんと勝負して勝たないと結婚は認めないって言われてるんでしょ。」
「島津に会ったんだ。」
「うん。今朝方。」
「だから中々戻らなかったんだな。それに俺以外の男と会ってるし。」
「そんなことより、父さんが私を婚約者候補にすることを許したのは、桜華様が父さんに勝てないからよ。ただそれだけ。」
「だから勝てばいいんだろ。」
「無理よ。」
「それでもやるの!俺はこのはを絶対に諦めないから。」
「何でよ・・・。諦めてよ・・・。」
私は胸が苦しくなって泣きそうになってきた。こんなことに振り回されてたら弱くなる!せっかく修行したのに!
!!!!!
「俺とのこともっと悩んで。もっと考えて。」
そう言って馬鹿皇子は起き上がり、私を抱きしめた。
「何すんのよ!」
「逃げたらいいだろ。」
「桜華様の両脚に挟まれて無理。立てない。・・無理なの。」
「うん。しばらくこうしてよう。」




