表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
徒花事案報告ファイル  作者: 時雨オオカミ
徒花事案報告ファイル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/109

◼️年度学科新聞「信頼した相手に……使い魔虐待死」

 ◼️年度、春季二節に使い魔の虐待死事件が発生した。

 被害者は二年生の【検閲済み】さんの使い魔である◼️◼️◼️(ニックネーム)君である。


 使い魔の◼️◼️◼️君は低ランクモンスターのフォレスト・ウルフだが、非常に利口で鼻が利き、幾度となく主人の危機を察知して助けることがあったのだという。

 とりわけ素材の質を嗅ぎ分けることが得意であり、安価で良品質な素材を主人が手にできるように示す、穴を掘って魔力鉱石を発見するなどの活躍を見せてきた。

 低ランクモンスターながら、神聖魔法に対する適性があったために学内の使い魔としての基準値をクリアしており、ランクでは測れないほどの優秀な使い魔であった。

 主人の【検閲済み】さんとは周囲の人々が笑顔になるほどに仲が良く、一人と一匹はよく中庭の「咲かない花」に寄りかかりながら昼食を摂るのが日課であったようだ。


 そんな◼️◼️◼️君の活躍を期待したのは【検閲済み】さんの友人である。

 学院に入る前からの付き合いで、互いに信頼し合っていた【検閲済み】さんは◼️◼️◼️君の能力の力を貸してほしいと嘆願され、信頼した友人であったため快く承諾した。

 【検閲済み】さんが学外へ出る休日の二日に渡って使い魔の貸し出しが行われたが、休日を終えて返還されたのは貸し出した使い魔ではなく別個体であった。

 休日の二日目に◼️◼️◼️君との魔力パスが切断されたため、【検閲済み】さんは慌てて友人に連絡をしたが連絡はつかなかったという。


 返還された個体は確かにフォレスト・ウルフではあったが瘴気汚染が進行しており、神聖魔法への適性が存在せず、使い魔のパスが繋がっていない状態のフォレスト・ウルフであり、神聖魔法学科内で生存できる基準値を大きく下回っていることは明らかだった。


 困惑した【検閲済み】さんは友人に◼️◼️◼️はどこへやったと詰め寄り、説明を拒否した加害者の【検閲済み】に突き飛ばされて怪我を負った。


 この争いが発端となり事件は教員の認知するところとなり、事件の詳細を明らかにする捜査が行われた。

 教員により両者は真実薬を使用したインタビューが行われ、衝撃的な事件の詳細が判明することとなる。


 加害者の【検閲済み】によると、借り受けた一日目に使い回し酷使したことにより使い魔から拒絶反応を返され、カッとなって暴力を働き、さらに酷使を繰り返した。しかしそうして酷使していると、徒花事案避けとしての利用も兼ねていたはずが、徒花事案との遭遇率が上がり、自身を使い魔が殺そうと画策しているのではないか? と考え、魔法の標的にして殺してしまったのだという。

 火炎魔法で焼かれ、死亡した使い魔の身体はすでに破棄していると証言し、彼は沈黙した。


 破棄した場所は話さず、その後彼は徒花事案により死亡したため使い魔の遺体がどこに破棄されたのかは判明していない。


 被害者の【検閲済み】さんはショックを受け、そのまま退学を希望し本校を去っていった。


 我々はこの悲しい事件を忘れてはならない。

 他者の優秀な使い魔を借り受けたところで思い通りにならずに殺害するなどという行為は許されることではないだろう。


 この件の当事者たちはすでに存在しないが、同様の事件が起こらないよう本校、神聖魔法学科新聞部はこの事件についてを記し、学内新聞アーカイブとして残すことにする。


 今後このような悲しい事件がないよう願いたいものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まさしく花咲か爺さんだな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ