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バカ母登場

「リーンネ」

ある日の昼下がり、緑に囲まれた庭で拓馬とバーベキューの支度をしていると、怒り狂った声のバカ母が空飛ぶじゅうたんで突っ込んで来た。

文字通り、突っ込んで来たものだから着地寸前に木に激突してしまうのではないかと思うほどの勢いだった。

「あぶな…ルナさま大丈夫ですか?」

一緒にじゅうたんに乗っていた瞬がピョンと飛び降りてバカ母の手を取る。

「大丈夫よ、ありがとう瞬」

「ルナさまに何も無くて良かった」

「瞬のおかげよ」

手を取り合って見つめ合う二人。

毎度の事ながらいつまでこの茶番に付き合うのはうんざりしていたので、

「で、何しに来たの?バカ母」

突っこみを入れてみた。


「ああ、あんたー。拓馬と暮らしてるんですって!どう言うことか説明しなさいよ、拓馬はみんなの拓馬なのよ、何独り占めしてんのよ。あれだけ尽くしてくれた楓を捨てたの?」

うっ…。楓のこと言うのは反則だよ…。

一気に捲し立てられて、何の反論も言えなかった私の変わりに拓馬が答えてくれた。

「オレが彼女を呼んだんです、責めるならオレを責めてください」

私を庇うように拓馬は私の前に立った。

拓馬カッコ良すぎだよ…。

バカ母もそう思ったのだろう。

さっきまで怒りに身を任せていた母親はすっかり怒りの消え失せた瞳はハート型に変わっていた。


「ま、まぁ、拓馬が、そ。そう言うなら、し、仕方ないわよね、ねぇ、瞬?」


この女は一体何なのだろう?

話を吹っ掛けられた瞬はどうしていいか分からず、私に助けを求める始末。

そんな瞬のことなんてお構い無しに、

「あら?バーベキューしてるのー?私も混ざっていいかしらん?」

などと調子のいいことを言い出して私の横に立った。

「はぁ?突然邪魔しに来てこの上まだ邪魔するの?」

どう言う神経?

と続けようとしたとこで、またあの目眩に襲われた。

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ?」

珍しくバカ母が母親の顔になり、座り込んだ私の顔を覗きこむ。

「あんた大丈夫?」

「…。最近よく目眩が…。貧血かな?」

「貧血なんてあっちの世界では一度もなかったじゃない?」

そう、あっちの世界ではこんなことなかった。


「リンネ、部屋に戻ろう」

言うよりも行動が早かった。

軽々私を持ち上げお姫様抱っこした。

「飯は部屋に持っていくから、出来上がるまで横になってて」

「で、も私も手伝いたい」

「バーカ、そんな状態で外にいられたら逆に迷惑だつーの」

「…」

「お前は気にしないで休んでろ」

「…ごめん」

「謝んなよ、オレもお前の体調気付かないでごめんな」


拓馬のぶっきらぼうだけど優しい言葉が

心に染みる。


私、本当にどうしたんだろう?









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