婚約御披露目
意味分かんないんだけど、何で、バカ母までライバルになってんの?
「バカ母には、瞬がいるでしょう?瞬とそんなにラブラブじゃない?」
今だって、瞬はバカ母のすぐそばにいて、バカ母の様子を優しい表情で見守ってる。
「瞬は。すごくいい子よ。本当可愛いし、癒されるし、でも、でもね。結局、瞬は二番手なの。優しいだけの男じゃ物足りないってことね」
おいおい、瞬を目の前にしてよく言えるな、このバカ母。
瞬は別に気分を害した訳でもなく、
「正直なところがルナちゃんのいいところだよ。僕はそんなルナちゃんが世界で一番大好きだよ。ルナちゃんが他の誰を想っていようと、そんなの関係ない。僕はルナちゃんが大好きだから、ルナちゃんの笑顔を見られれば幸せだよ」
ああ、何て健気な男の子なんだろう?
こんなバカ母にこれだけの愛の言葉をこんなイケメンが言ってくれることなんてもう2度と無いはずだよ、バカ母。
「ありがとう、瞬。でも、ごめんね」
っておい。
何普通に断ってんだよ、自分の本当の体型と顔鏡で見てみろよ。
どんなに女に餓えてる痴漢だって逃げ出すぞ。
「大丈夫だよ。僕はいつまででもルナちゃんを待ってるから」
何だ何だ、この茶番は?
いつまで、私はこんなのを見ていないといけないんだ。
「楓、拓馬の婚約者御披露目の前に拓馬に会うことってできる?」
「…、できなくはありませんが、辛くはございませんか?」
「大丈夫。私は拓馬が好き。それだけ」
それだけの気持ちがあれば充分。
誰かを好きと言う気持ちは一番の強さ←たとえ、それが二次元であっても関係無い。
「あの子にも、バカ母にも拓馬を渡したくない」
「分かりました。では、参りましょ」
そう、私は誰にも負けない、負けたくない。
そして、拓馬の元へ向かった。
******
昨日と同じくじゅうたんに乗ってると、宮殿のバルコニーに拓馬が一人でいるのが見えたので、そのまま突っ込んだ。
「リンネさま、スピードの出しすぎは要注意ですよ」
「でも、止まらないーーーー。」
お願い、止まって。
願うようにじゅうたんの端を握った。
じゅうたんは拓馬の目の前すれすれで止まった。
「あれ?君は昨日の?」
「そう、昨日の…。リンネだよ」
「ああ、リンネ…」
浮かない顔の拓馬がバルコニーで外を見ていた。
「何しに来たの?」
拓馬の問いに答えるよりも先に、
「拓馬元気無いね、どうしたの?」
聞いてしまった。
「ん、ちょっと。今迷ってることがあって」
拓馬はバルコニーに身を乗りだし、ぐたっと体を曲げた。
「実はさ、結婚迷ってんだ」
え?
まさかの拓馬の方からそのセリフを聞くなんて。
「リリカの事は好きだよ。でも、運命の人はリリカじゃない気が…。」
そこで目が合う。
ああ、貴方の運命は私よ、なんてセリフ言ってみたい。
でも、それは言えないから、私は拓馬の次の言葉を待つことにした。
しかし、その時、バルコニーにウェディング姿のリリカが現れた。




