そんなの絶対におかしいよ
「今日は疲れたでしょう?ここでゆっくり休んでください」
案内されたのは一番始めに来たお城ではなく、全く違うピンク色のお城だった。私の部屋はその中の東側の大きなお部屋。
いや、もうお部屋と呼べるレベルじゃない。
これだけで一つのお家と言うぐらいの大きさの中に中央にガラスのテーブルセットが置いてあり、部屋のところどころに、キャンドルのスタンドがあったり、ベッドは憧れの天蓋付きのキングサイズ以上の大きさで、まんま童話に出てくる感じのお部屋だった。
「バカ母は?」
「リンネさまのお母様は、今違うお城でお休みになっています」
「え?バカ母一人で?」
「いえ、瞬が一緒にいます」
えーーーー?
それってやばくない?
いやいや、もうアラフォーの中年女だし、そんなことないと思うけど、ここは二次元だから、そんなことも無くは無いのか?
って、そんなん納得できるかー!
「大丈夫ですよ。リンネさまが心配されることは何もありませんよ」
私の心を察したのか、楓がティーカップにお茶を注ぎならがら言った。
「カモミールティです。今晩ぐっすり眠れますように」
イケメンってお茶を注ぐだけで絵になるのね…。
って、また脱線しちゃった。
「私の心配って分かるの?」
「リンネさまのことは何でも分かりますよ」
「…。」
「瞬とお母様にもし何かあるとすれば…」
楓が私の顎をくいと持ち上げた。
な!
「私たちにも何かが起こると言うことですよ」
ちょ、ちょ、何これ?
こう言うのって少女漫画の中だけの出来事かと思ってた。
てか、実際にされるとこんなにもドキドキするもんなんだね。
「安心してください。リンネさまの同意無しでは私は何もしませんから」
そう言って、手を離すとカモミールティーに色鮮やかな角砂糖を入れて、金色のスプーンでくるくるとかき混ぜた。
「楓は…、私のこと好きなの?」
自意識過剰だって分かっていたけどここが二次元と言う事もありそんな質問をしてしまった。
すると楓はこくんと頷き。
「リンネさまに、トリセツの話を簡単にしますね。この世界に来て名前を登録したあとに更に下の階に行くと、パートナーが選べる仕組みになっているのです。パートナーと言っても同意書の通り、自分の意中の相手は選ぶことはできません」
「…。」
「もし、そこでパートナーを選択しないとこちら側でランダムに選ばれる仕組みになっており、私がリンネさまのパートナーに選ばれた訳です」
そっかー、なるほど。
って、あのバカ母肝心なこと教えなかったのね。
ん?
と言うことは、拓馬は?
拓馬はどうなってるの?
でも、拓馬といずみは結婚するって言ってた。
と言うことは、拓馬はいずみのパートナーでは無いってこと?
いや、初めはパートナーだったけど、次第にそんな気持ちになったとか?
そんなの絶対におかしいよ。
何て思いながらも思考回路がゆっくりと停止していくのが分かる。
今日は色々あって疲れたから仕方ないか…。
そこで意識が途絶えてしまった。




