ああ二次元‼
「取り合えず、リンネ、家に帰るわよ」
バカ母が私の服の裾を引っ張った。
家?
家ってどこよ?
「って言うか、まだトリセツの話ちゃんと聞いてないんだけど」
「そんなのじゅうたんに乗りながら話すから、行くわよ」
つーか、キャラがぶれぶれじゃん、バカ母。
初めのお嬢様っぽいキャラはどこにいったんだよ‼
地が見えてきてんじゃん。
あ、じゅうたんで帰るにしても下に楓を待たせてることを思い出し、
「ごめん、楓を迎えに行かないと」
「ああ、それなら」
瞬がまた指を鳴らそうとするから、私は慌てて止めた。
「せっかく私を待っていてくれてる楓をそんな方法で呼び出したくないの」
楓は、私を信じて私の帰りを待ってくれている。
拓馬といずみのことは気になるし、せっかく出会えた拓馬と離れたくないけど。
「拓馬、明日もまた来てもいいかな?」
きっと断られる。
そう思ったけど、そう聞かずにはいられなかった。
「明日も待ってるよ」
予想外の答えだった。
拓馬の笑顔。
ああ、画面を通してでは無く、現実にその笑顔を見れるなんて想像すらしなかった。
拓馬が好き。誰よりも大好き。
いずみはその答えが面白くないように、ぷぅと頬を膨らませたまま立っていたけど、私には気にならなかった。
私は階段を降りて、楓の元へ走った。
「楓ーーー」
あまりにも勢いよく走ったから、途中階段を踏み外し、そのまま転びそうになった。
ふわぁーっと暖かい風が吹いて、柔らかい感触に支えられる。
「楓?」
気が付くと、楓が私を抱き抱えてくれていた。
「大丈夫でしたか?リンネさま」
いい香りがした。
お日さまの匂いがする。
これは本当に夢では無く現実なのね。
楓の温もりが伝わってくる。
「ありがとう」
私は拓馬がいるのに、何こんな思いになってるの!
慌てて楓から離れた。
こんなことでドキドキしない。
「拓馬には会えましたか?」
「うん」
「大丈夫ですか?」
私の一瞬沈んだ表情も見逃さなかったのだろう。
楓がとても心配そうな目で私を見る。
「大丈夫だよ」
って言うしかなかった。
「私なら貴女にそんな顔させないのに」
楓の言葉に胸のドキドキがやばい。
楓の周りに色鮮やかな花の幻が見えた気がした。
すごい、見えないものが具現化してる。
これも二次元の力なのか?
それとも、楓の美しさなのか?
だか、今はそれよりもバカ母にトリセツの事を聞かないと…。




