二次元にも恋の駆け引き…
「まぁ、ここでのキャラクターと取り合いはご法度だから~」
バカ母がまぁまぁと言うように、私といずみの間に立つと。
「そこのババァ、キャラクターとか言わないで、拓馬はちゃんと存在してるのよ」
いずみがバカ母につかみかかった。
何なのだろう?
この醜いイザコサは?
そんなことより。
「い…、リリカはどうして拓馬の彼女なの?」
そう、そんな醜いイザコサよりも私には聞いておきたいことがある。
何故、拓馬に彼女がいるのか?
それがどうして、私の嫌いないずみなのか?
「あ。それ聞きたい?」
私の問いにいずみが嬉しそうに、振り返った。
「話すと長くなるから、簡潔に話すと、学校から帰ってきて自分の部屋を開けたら、そこはいつもの私の部屋では無くて全く見たことのない…、って言うと語弊があるな。いつも、私のしているゲームの中の…、あ、この言い方もまたここの世界が消えちゃうかも、なので、まぁ、取り合えず気が付いたら、ここにいて、拓馬に愛される私がいたの」
全く答えになっていない答えが返ってきて少々面食らった。
結局、拓馬がどうして彼女を好きになったのか全く分からない。
しかも…。
私はこの世界に来たときの同意書を書いたのを思い出した。
『自分から意中の相手に想いを打ち明けてはいけない』
そう書いてあった。
それが本当なら、私は私の大好きな拓馬に想いを打ち明けることはできない。
よって、この場で拓馬にコクることはできない。
(そんなことできっこないけど。)
だけど。それなら、どうして、いずみは拓馬の彼女になってるのー?
「あんたさー、まだ納得いってない顔してるけど、あんた、ここの世界に来たとき、自分の名前登録したでしょ?そんとき、他に名前以外に登録しなかったの?」
いずみが怪訝そうな面持ちで聞いてきた。
え?よく分からない。
私はいずみの言ってる意味が分からなくて、バカ母の顔を見ると、バカ母は、しまったと言うように、吹けない口笛を吹き始めた。
「おい、バカ母。登録って名前以外にすることあったの?」
「へ?ああ、言って無かったっけ?てか、ちゃんとトリセツ読んでないあんたが悪いのよ」
トリセツ…?
ちょ、ちょっと、トリセツなんて知らないんだけど。
さっきまで出ていた陽が傾きかけ、辺りが少しづつ夜の闇へと近付いていった。




