4-16.···スタンピード狩りに行く(ウイン編前編)
本日は半分お仕事、半分遊びで福岡に来ておりました。
お昼は箱崎ラーメンを久々に食べて、帰り···、というかエクストリーム出社の通勤手段として新門司港から名門大洋フェリー様のフェリーきたきゅうしゅうⅡに久々に乗船しており、ただいま来島海峡の西方の伊予灘の海上より投稿しておりますよ~。
先ほどまでレストランでバイキングをいただいておりました。ソフトクリーム食べ放題がお気に入りです(笑)!
このまま明日はお仕事です!
最近のボクとテオは早起きだ。というのも、ウインがレクトにいる間は一緒に鍛錬をしているからなんだ。
もうすっかり習慣になっちゃったので、ウインが出かけてる時も鍛錬は続けてるんだよ。そんなある日のことだったんだ。鍛錬を終えて宿に戻ると、廊下にウインがいたんだ。
「あっ?おはよう、ウイン!」
「···おはよ。···今日は付き合って」
「···へ?どういう事?」
「···スタンピード狩り」
「···サムの時もそうだったけど、ウインもなんか気軽に出かけるような言い方だね」
「···楽しみだから?」
「スタンピードが楽しいって···。その感覚はボクにはわからないなぁ~」
「···いずれわかる」
いや、その感覚は正直わかりたくないです。倒すことは大事なのはわかってはいるけどね。
前回はサムと一緒にスタンピード退治をやったけど、今回はウインと一緒に行くことになった。今回行く場所はニードルという町だそうで、レクトからかなり遠い東の方の町だそうだ。
というわけでテオに乗せてもらって、今回は高速飛行魔法で向かってもらうことになったんだ。
「···そこそこ速い」
「これでそこそこって···。ということはトルムさんやコルメは速いの?」
「···コルメはね。···コルメの親戚の青竜のコンが一番速い」
「へぇ~。そうなんだね」
「ライ。ドラゴン族の中でも青竜は飛ぶことに特化してるんだよ。だからだろうな」
「そうなんだ~。ボクも会って乗せてもらいたいなぁ~!」
「···速すぎて気絶する」
「そこまでなんだ···」
どんな速さなんだろうね?そのコンさんって浮遊大陸に行ったら会えるのかな?
そんな事を考えてると、今日のお仕事場であるニードルの町が···、燃えていた!!
「···ちょっとマズいね。···あそこが燃えてなかったらいいけど」
「テオ!町の上空まで行って!」
「おう!」
テオは町ギリギリまで高速で突っ込んで急減速し、通常の飛行魔法で町の上空を旋回した。
町の至る所に魔獣が侵入している!でも、それは町の中心部までたどり着いておらず、周縁部で留まってるようだった!
「ウイン?どうする?」
「···殲滅魔法はダメ。···各個撃破」
「もっともやりづらいパターンだな!時間かかるぞ!?」
「でもやるしかない!3人で手分けしようか?」
「···じゃ、北の本体をお願い」
「わかった!ウインは避難所に迫ってくる魔獣をお願い!」
「···ん。じゃ、よろしく」
「えっ!?ちょっと!?」
ウインはテオから飛び降りた!そして着地したその時から討伐を開始した!
「うわぁ~、すごいなぁ〜」
「ライはあんな無茶はダメだぞ!近くの壁の上に降りるからな!」
「うん!2手に分かれよう!テオ、よろしく!」
そうしてボクは東側の最前線に降ろしてもらい、そこから討伐を始めた!
「Sランクのライです!ここは任せてください!」
「な!?こ、子どもだと!?早く逃げろ!」
「だから冒険者ですってば!悪いですけど話してる時間はないです!やらせてもらいます!」
「ちょ!?待ちなさい!」
「秘技!疾風迅雷!」
兵士さんの合間を縫って、ボクは技を繰り出した!
「す、すごい···!」
「ふぅ~。ここから先はボクがやります!皆さんは別の場所をお願いします!」
「あ、ああ···」
あ〜、これもSランクになったから多少マシにはなったけどね。やっぱり怖がられちゃうなぁ〜。
さて次は···、あっちだな!
一方テオは···、
「ストーンランス!」
「グァアアーー!」
「これでよし!おい!大丈夫か!?」
「あ、ああ···。翼がある人なんているんだな···」
「そりゃ、オレはドラゴン族だからな。おっと?そんな話をしてる余裕はなさそうだな。おっちゃんらはここを守ってくれ!オレは近づく魔獣どもを魔法で倒してくるぜ!」
「そ、そうか!わかった!気をつけてくれ!」
「おう!Sランクの実力を見ておけ〜!」
「え!?Sランク!?」
そう言ってテオは壁の周囲の魔獣を倒しまくっていった。
スマホアプリの『ちーむッス!』でテオの様子は確認できるんだ。どこにいるかもね!さらにウインの位置状況も把握済みだ。もちろん、ウインもボクたちの状況は把握してるよ。
この使い方はサムに教えてもらったんだ。確かにこれは便利だ。魔獣レーダーも同時に見れるから、どこへ行けばいいのかがすぐにわかるからね!
ウインの方は···、もう大暴れだった。避難所の近づく魔獣たちをことごとく斬り裂いていったよ。ウインの進む方向にいる魔獣の反応がすべて消えていってるんだよ···。
おっと!ボクも頑張らないとね。地面があるところは土魔法の効率が非常にいい。だからストーンバレットやストーンランスなどで迎撃し、接近した魔獣には剣術で相手していった。
町中に侵入を許してしまうと、殲滅に非常に時間がかかってしまうんだよね。まとめて攻撃できないし···。
さて、順調にボクたちは魔獣たちを退治していった。壁の外側の魔獣の殲滅が完了したら、今度は町中だ!
かなり被害が出てしまってるけど、無事なところもある。火事が発生している場所があれば水魔法で消火もしておいたよ。
そんな時だった!
「た、たすけてーー!!」
子どもの声が聞こえたんだ!聞こえた方向へ急ぐと、そこには逃げ遅れた少年に魔獣が襲いかかっていた!
「やめろーーー!!」
ボクが大声を出すと、魔獣はこっちを見た!このスキに一気に間合いを詰める!
「秘技!紅葉!」
「ガァアアアーーー!?」
「ふぅ~。ギリギリ間に合った···。キミ、大丈夫?」
「あ···、あ···」
「ケガはなさそうだね。立てるかな?」
「は、はい···。あ、ありがとう···」
「避難する場所はわかる?」
「わかんない···」
う〜ん···。これはマズいなぁ〜。まだ魔獣の相手をしないといけないんだけど、このままこの子を放っておくのもなぁ〜。
よし!テオがいる避難所はボクもわかってるし、魔獣を倒しながら向かおう!ボクが背負って走れば時間はかからないでしょ!
「じゃあ、ボクが連れて行くよ。ボクの背中に乗って」
「え···?」
「早く!ここも危ないんだ。急ぐから!」
「う、うん!」
ボクは少年を背負った。ボクの方が小さいんだけどね···。身体強化魔法使ってれば問題ない!
「じゃあ、しっかりつかまってて!走るから!」
「うん!うわっ!?」
ボクは勢いよく走り出した!最短コースを行くために屋根の上に上がって走る!
「す、すごい!」
「魔法使えればこれぐらいできるよ!おっと!魔獣発見!ストーンランス!!」
もちろん魔獣がいたら魔法を撃ち込んでおいた。お仕事もしっかりとこなすよ〜!
さらに目の前には大きく燃え上がってる建物があった!
「ウォーターフォール!」
水魔法で火事を食い止めておいた!一発だけでは消火しきれなかったけど、火の勢いはほとんどなくなったから、これ以上は燃え広がらないだろうね。今日は風はほとんどないし。
「か、かっこいい!」
「え?い、いや、かっこつけてるわけじゃないんだけど···」
「冒険者さんなの!?すごいんだね!」
「ははは。みんながそうじゃないけどね。ボクはSランクだからできるってだけ」
「ぼくも冒険者になれるかな!?」
「なれると思うけど、オススメしないし危ないよ?ボクだって死にかけたことあるからね」
「···でも、やってみたい!」
「だったらいろいろやってみたらいいよ。武術や魔法、いろんな事を知ってればできるよ!」
「わかった!ありがとう!」
あんまりオススメできないお仕事だけどなぁ〜。そう思いながら走っていたら、テオがいる避難所に到着した。入口には兵士さんが外に出ようとしている人を出さないようにしていたんだ。
「あっ!?父さん!母さん!」
「アル!?無事だったか!」
「うん!この冒険者さんに助けてもらったんだ!」
「あぁ···。ありがとうございます!ありがとうございます!」
「いえ、たまたまボクが近くにいただけなので。すいませんがすぐに行かないといけないんです。それでは!」
「なっ!?跳んだ!?す、すごい···」
「あの子、すごいよ!Sランクだって!」
「なんだって!?···そうか。すごい人に救ってもらったな!」
「うん!ぼくも冒険者になりたい!」
「そ、それは···」
ボクが避難所から離れた時にそんな会話があったらしいんだよね。そして···、この後でこの子とまた出会う日が来るとは思ってなかったんだ。
こうしてニードルの町に侵入した魔獣はすべて撃破したよ。
今回はウインちゃん編でした。ウインちゃんは剣術メインなので、こういったゲリラ戦が非常に得意です。サムくんもそうですね~。
ちなみに今回の町はウインちゃんが地上に降りて初めて訪れた町でもあるんです。ですので思い入れが深いんですよね。実は普段以上に頑張って討伐していました。
さて次回予告ですが、ウインちゃんが普段以上に頑張っていた理由は、お気に入りのパン屋さんがあるからでした。このパンの事になると他人の迷惑など考えなくなってしまうほど暴走してしまうんですよ。そんな普段では考えられないようなウインちゃんの暴走をお楽しみに~!




