4-15.ちょっとスタンピード狩りに行こうぜ!(サム編後編)
「さてと!今日はここで泊まるぜ〜!」
「え?サム、レクトに戻らないの?」
「あのな···。ライ?オレらはスタンピード殲滅で疲れてるだろ?」
「まぁ···」
「休息も仕事のうちだぜ?そんじゃあ行きつけの宿へ行くぜ〜!」
というサムに誘われて、ボクたちは宿に来た。
「あっ!?サムさん!もしかして···!」
「おう!パパっとやっつけといたぜ!」
「すごい!やっぱりサムさんはすごいですね〜!」
「ははは!今日はコイツらの活躍もあったけどな!そんじゃあいつもの頼むぜ!」
「はい!お連れさんもどうぞ〜!」
宿の少女とサムは仲良く話ししていた。どうやらサムはここによく来ているようだね。
ボクたちの部屋はサムの部屋の向かい側の部屋だった。
「そんじゃあ、夕方に食堂でパ〜っとやるからな〜!」
そう言ってサムは部屋に入ってしまった···。どうやら今から昼寝をするようだ。
とりあえずボクたちもやることないし、のんびりくつろいで、軽く昼寝させてもらったんだ。
そして夕方になったら、サムがボクたちの部屋にノックもせずにカギを勝手に開けて入ってきた!
もう慣れちゃったよ···。って!こんな事に慣れちゃダメだと思うよ!?
「よーし!今日はオレがおごるぜ〜!」
「おっ!?そんじゃあ遠慮なく食っちまうぜ!」
「そうしとけ。スタンピードで疲れてんだからな。ライもしっかり食っとかないと、大きくなれないぞ〜!」
「余計なお世話だよ!」
そんな話をしながら、ボクたちは食堂にやって来た。宿の少女がサムを見かけて、こっちにやって来た。
「あっ!サムさん!こっちのテーブルでどうぞ〜!」
「おう!あんがとな〜」
ボクたちは1番奥のテーブルに案内されたよ。ここなら話を聞かれにくいって事かな?
「サムはここの宿が気に入ってるの?」
「まあな。オレが地上に降りて初めて来た町なんだよ」
「へぇ~、そうなんだ」
「ま、ここのおやっさんとも仲いいしな!町の連中も、オレがやっかいな魔獣を倒す事が嬉しいみたいでな。オレも居心地いいから長期滞在してたんだよ」
「じゃあ、いつもレクトにいない時って···」
「···あっ!?しまった!バレちまったか!」
「そういう事かぁ〜。サム、ここでサボってたんだね?」
「あ〜、ジェネとかには内緒にしといてくれよ?まぁ、ウインがバラしてるかもしれないから、知られてるかもしれないけどな」
「ははは···。わかったよ」
そういう事か。サムはここがお気に入りなんだね。レクトに戻ってない時はここの魔獣退治を手伝ってあげてるんだ(実際は本当にサボってたと後で知るけど···)。
「お待たせしました〜!」
少女が料理を持ってきてくれた。かなりの量の揚げ物だね!
「おっ!?おやっさん、もうオレの料理をマスターしやがったな?」
「『まだまだだ···』って言ってるけどね。でも、お客さんには好評よ!」
「そうか〜!どれどれ〜···。ん!十分イケてるじゃん!」
「そう!?パパにも言っておくわね!」
そう言って少女は厨房に戻っていったよ。
「サム?サムって料理できるの?」
「ん?まぁ、ちょっとだけな。うちは代々食堂をやってんだよ。母ちゃんに仕込まれたけど、オレは面倒な仕込みがイヤでな。簡単に作れる料理しかやらねえんだよ」
「へぇ~!食堂なんだ。戦える料理人ってとこ?」
「まぁな!母ちゃんのほうが強いけどな···」
「そうなんだ···。どんなお母さんなの?」
「一言で言えばバケモノだ」
「···え?バケモノ?」
「そうだ。どんだけバケモノかは実際に会ったらすぐにわかるけどな」
「そ、そうなんだ···」
「ところでサム?さっきここの食堂のおっちゃんの料理がマスターって事は、教えたのか?」
「そうだぜ、テオ。ここのおやっさんがぎっくり腰になった事があってな。仕方ねえからオレが料理した事があったんだよ。その時にちょいと教えてな。今じゃここの看板メニューになっちまってるようだな」
「なるほどなぁ〜。このからあげはおいしいぜ!」
「ははは!やっぱテオはドラゴン族なだけあって、肉料理が好きか!」
「そりゃそうだぜ!ドラゴン族は魔獣狩りしてたんだからな」
そんなやり取りをしながら、ボクたちはサムと一緒にのんびりと過ごしたんだ。
そして翌日···。
「おはよう、サム。朝食いただいたら帰ろうか!」
「お〜、ライ。レクトへは先に帰っていてくれ」
「え?サムはどうするの?」
「オレ?ここでのんびり休養するけど?良かったらライものんびりするか?」
「え〜?もう疲れも取れたし、帰ってほかの依頼がないか気になるんだけど?」
「かぁ〜!ライ!お前はマジメ過ぎるぞ!」
「え〜?そうかなぁ〜?どっちかと言うとサムがサボりすぎなんじゃ?」
「わかってねぇなぁ〜。正当な労働したんだから、正当に休んでるだけだぜ?」
「それじゃあ、いつレクトに戻るのさ?」
「知らん!気が向いたらだな」
おいおい···。ボクたちSランクなんだから、もっといっぱい魔獣退治しないといけないと思うんだけど···?
まぁ、いいか。ボクが頑張れば。
「わかったよ。じゃあ先に帰るね」
「ありがとな〜!」
「全然ありがたくないんだけど···」
ということで、ボクとテオはチェックアウトしたんだ。その時に少女にちょっと聞いてみたんだ。
「あの〜、サムっていつもああなんですか?」
「そうですね〜。いつも大きな仕事を終えたらわざわざここに来てのんびりしてくれるんですよ〜。サムさんには感謝です!」
「え?感謝···、ですか?」
「はい!こうやっていてくれるだけで安心できるんですよ〜。魔獣が現れたら『ったく、仕方ねえなぁ〜』って言ってやっつけてくれてますし。でも、これって照れ隠しですよね〜。そんな『やる時はやってくれる』のがサムさんの頼もしいところなんですよ〜」
「そ、そうなんだ···」
···なんだろう?ボクが見ているサムとはちょっと違うような?どっちのサムが正しいんだろうか···?よくわかんなくなってきたよ···。
宿の少女から、どうも美化されたサムの話を聞いてこんがらがってしまったボクは、テオに乗ってレクトに戻ろうとしていた。
「ねえ、テオ?サムってよくわかんないよね?」
「え?そうか?もう思いっきり丸わかりだけどなぁ〜」
「え?そうなの?」
「そうだよ。···まぁ、ライにはちょっと早すぎるかなぁ〜?」
「それってどういう事?」
「もうちょいと大人になったらわかるって!ははは!」
テオも教えてくれなかったよ···。どういう事?サムはあの宿の少女が好きだって事かな?だから滞在してるって事?よくわかんないなぁ〜。
「···ん、お帰り」
ギルドの宿に戻ったら、ウインに出会ったよ。なんだか大きな紙袋を2つ抱えてるけど···。ちょっとおいしそうなパンのかおりがするね。
「···サムは?」
「なんだかゆっくりしたいんだって」
「···もしかして、フランシス?」
「え?うん、そうだよ」
「···ただのサボり。···連れ帰ってくる」
「え?」
そう言ってウインは転移して、サムを強引に連れ帰ってきてしまったよ···。
サムによると、ウインと宿の少女とで激しいケンカがあったらしい。いったい何があったんだろう···?
今回のお話は第4章完結後に投稿する番外編を執筆している時に思いついて急遽追加したエピソードなんです。
サムくんはサボり癖がありますが、いったいどんな感じでサボってるのかな~?と思いついて書いてみたんですよ。この町はサムくんが言ってるようにサムくんが地上に降りた時に来た最初の町だったんですね。ですので宿の娘さんとおやっさんとは仲がいいんですよ。ちょっと娘さんはサムくんに気があるようですが···。
本文中でもあるように、サムくんは料理が上手なんです。前作で大人気飲食店を経営していたナツちゃんの子孫ですからね~。ここで話に出たサムくんのお母さんはとんでもなくパワフルな方です。番外編以降で登場しますので、ご期待くださいね。
さて次回予告ですが、ウインちゃんからスタンピード殲滅に付き合ってほしいと言われます。今回は町の中にまで魔獣が侵入してきているためゲリラ戦をウインちゃんが、入り切っていない外周の魔獣をライくんたちが受け持ちますよ~!前後編2話でお届けします。
それではお楽しみに~!




