3-1.やっとボードに着いたぁ~!
本日より第3章全18話が始まりますよ~!
グランドの町を出発したボクたちは、川沿いを西に向けて飛んでいた。リークさんの話によると、この川が海に流れ込む場所にボードの町があるんだってさ。
「これならもう迷うことはないな!」
「そうだね!でも、海ってボクは見たことないんだよね~」
「そうか。じゃあ、楽しみにしてろよ!」
「うん!」
途中で昼休憩をした。いい川岸があったので、そこに降りてもらったよ。
「って!?ここってボクたちがキャンプした場所じゃない!?」
「おっ!?そういえばここにたき火の跡があるなぁ~」
「偶然にもほどがあるよ~!地図アプリ見てないのに~!」
ホント、びっくりだったよ!そう、ここでボクはアスに出会ったんだよね。まさか1月以上もお世話になるとは思ってもいなかったけどさ。
今日もお弁当を作ってもらってるんだ。今までで一番豪勢なお弁当だったよ!
午後も引き続きテオには飛んでもらった。すると、遠くに水平線が見えてきたんだ!
「テオ!真正面のあれって!?」
「そう!海だぜ!!」
「あれが···。すごく···、広い···」
海から遠い場所で育ったボクはこの時、初めて海を見たんだ···。大きく円を描くように大地と海がくっついてるように見える。そして、川と海が合流する場所に、大きな町が見えてきた!
空から見たボードの町は、南側に海、東側に川、北側には山がある場所にあった。西側には大きな壁があるね。ここも地形から魔獣にも攻めづらい場所となっているようで、たくさんの家が立ち並んでいた。
海にはたくさんの船が浮かんでいた。どこかに荷物を運んでいるのかな?ここではどんな人や体験をするんだろうか?ボクはちょっと楽しみになってきたんだよ~!
「じゃあ降りるけど、とりあえず門のところで受付しておくか?」
「そうだね。このまま町に入ったらテオの姿でみんなびっくりしちゃうからね!」
「面倒くさいが、仕方ないな!」
そう言ってテオはボードの町の西側の門から少し離れたところに着陸した。すぐに人型に戻ってボクたちは門で手続きをするために向かったんだ。
すると、門から武装した兵士さんたちがいっぱい出てきたよ!?何かあったのかな?そう思ってると、ボクたちのところにやってきたよ!?
「えっ!?子ども!?キミたち!ここで空飛ぶ魔獣を見なかったか!?」
「空飛ぶ魔獣···、ですか?」
「ああ!白い大きな翼をした、見たこともない魔獣だ!ここの近くに降りたのを目撃したんだが!?」
「あ~。それ、こっちのテオですね」
「···は?」
「オレの事か?確かにさっきまで竜モードだったからな。もしかしておっちゃんらはドラゴン族を知らないのか?」
「ド、ドラゴン族だって!?あの伝説の!?」
「し、信じられん···。確かにキミの背中には翼があるな···」
「じゃあ、テオ?ちょっとだけ見せてあげる?」
「しょうがねえな~。ほらよっと!」
そう言ってテオは竜モードになった。
「ほ、本物だと!?」
「た、確かにさっき飛んでいたのはこれだ···」
「本当に伝説のドラゴン族がいたなんて···」
兵士さんたちはテオのドラゴンの姿にびっくりしていたね。そしてテオは再び人型に戻った。
「これでいいか?」
「あ、ああ···。魔獣でない事は確認できたよ。ありがとう」
「ところでキミたちはいったい誰なんだ?この町に用事かい?」
「あ、すいません。自己紹介が遅れました。ボクはライ。こっちはテオです。ボクたち旅をしてまして、この町のことを聞いたのでやってきたんです。テオに乗せてもらってね」
「そういうことだぜ~」
「す、すごいな···。子どもだというのに旅だなんて···。まぁ、空を飛んでなら可能なんだな···」
「なるほど···。とにかくここでは審査ができん。門まで一緒に行くとしようか」
「はい。よろしくお願いしますね!」
そうして兵士さんたちと一緒に門へ向かい、そこで手続きをしたんだ。すると、そこでも驚かれてしまった。
「えっ!?二人ともCランク冒険者だって!?」
「ちゃんと本物の冒険者証だぞ···。キミたち、すごいんだなぁ···」
「あはは···。運が良かっただけですけどね···」
···やっぱりボクが子どもだからそう見られちゃうんだよなぁ~。あぁ~!早く大人になりたいよぉ~!!
審査はすぐに終わって、ボクたちは町の中に入った。さっきからなんだか変わったにおいがしてるんだよ···。これって何だろうね?
「これは海の香りだな。海が近いとこういったにおいがするんだよ」
「へぇ~。ここは海が近いから、魚も多いのかな?」
「おう!川魚よりも大きいし、脂が載ってておいしいらしいんだぞ~!」
「やっぱり食べることだけはテオは詳しいね」
「ちょっと待て!ライ!その言い方だとオレが食ってるだけにしか聞こえないぞ!?」
「え?そうじゃないの」
「ちっがーう!オレはそれ以外でも詳しいぞ!?魔法もそうだしな!」
「確かにそうだね。じゃあ、まず宿をとろうか?」
「そうだな!おいしい食堂のある宿がいいぞ~!」
「やっぱり食べることだけしか考えてないじゃんか···」
ボクたちは町の中央っぽい場所にやってきた。屋台には魚の干物や今日獲れたての魚とかが並んでたね!やっぱり海があると魚が多いようだ。
冒険者ギルドもあったね。でも先に宿を確保したいんだけど、どこにあるのかがわかんないんだよね···。だからギルドで聞くことにしたんだ。
中に入ると、雰囲気はどこも同じで、壁には依頼の掲示板があり、飲食できるところと武器屋さん、そして素材買取カウンターと受付があった。今は夕方前だったのでまだ冒険者さんたちが戻ってきていなかったから、受付は並んでいる人がいなかったよ。相談するなら今のうちだね!
「すいませ~ん!ボクたち、今日初めてここに来たんですけど、オススメの宿ってありますか?」
「···え?子ども?もしかして冒険者ごっこやってるのかしら?それにしては本格的な革の鎧を着てるわね~」
「い、いや!ボクたちは冒険者です!ほら!」
やっぱり子どもの遊びだと思われちゃったよ···。仕方ないので冒険者証を見せたんだ。
「へぇ~。すごいわね!本物そっくりじゃ···!?うぇっ!?ほ、本物ぉ~~!?し、しかもCランクぅーー!?」
その受付のお姉さんが大声で叫んじゃったから、ギルドの中にいた人たちがみんなボクたちを見ちゃったよ!?変に注目されちゃってるよ~!
すると、2階から誰かが下りてきた。またこのパターンだよ···。ここでもやっかいなことになりそうだなぁ~。
「どうした、フーリエ?いきなり大声を上げやがって···」
「ギルド長!Cランク冒険者が新規に来ましたぁ~!」
「なんだと!?···え?こ、この子どもがか!?」
「はい!ギルド長!これ···」
「···マジかよ!?キミたち!ちょっと上がってくれるか!?」
「は、はい···」
どこかオススメの宿ありますか?って聞きに来ただけなのに···。聞くところ間違えちゃったかなぁ~?
第1章の終わりで目指していた目的地にやっとたどり着きました(笑)!グランドの町で1か月以上滞在してましたからね。
今の時代、ドラゴン族は伝説の種族なので、竜モードだと魔獣に間違えられやすいんですね。これも知られていないために仕方ないことではあるんです。
さて次回予告ですが、オススメの宿を聞きにギルドで聞こうとしたらギルド長の部屋で面会となってしまいました。どうやらこの町にはAランク冒険者がいるそうで、ライくんたちにはお仕事はなさそうとのことでした。そのあとにちゃんといい宿を教えてもらいましたよ。どんな宿なんでしょうね?
それではお楽しみに~!




