↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/4

路上の霊。鬼の末期。ウサギと亀の会話

路上の霊


月夜の路上。

コンクリートの塀に挟まれた道。

そこで、幽霊を見た。

とても美しかった。

それは幻に見えた。

だから美しかった。

生身の腐ったような感触がなかった。

臭いもなかった。

純粋に姿だけがあった。

その姿だけの存在は私に言った。


「こっちに来ない?」


あまりの美しい声に私は思わずうなづいた。

そして、私は路上の死体になった。


※


鬼の末期


鬼は欲張りだった。

東に宝があれば奪いに行った。

西に美女がいればさらいに行った。


鬼は強かった。

いかな名刀もへし折る体を持っていた。

山を持ち上げる力があった。


鬼は飢えていた。

大樽に入った酒を飲みほしても酔わなかった。

千の皿を空にしても腹をすかせた。


鬼はわからなかった。

花を愛でる気持ちを。

別れを悲しむ気持ちを。


鬼はただ生きていた。

死んでいないだけだった。


ある日、どういうわけか鬼は死んだ。

死ぬとき、鬼は言った。

「ああ、やっと終われる」


鬼は笑って寂しく死んだ。


※


ウサギと亀の会話


「おや、カメさんや」

「おう、ウサギさん」

「どうです調子は」

「ぼちぼち、ゆっくり。そちらは?」

「せかせか、はやく。良いもんです」

「良いなら良いですな」

「そうですな。ああ、腹が減った。昼時ですな」

「おや、そうですか。私は昨日食べて、それっきり」

「相も変わらず、食事に心をさかれずすみますな」

「いやいや、舌が怠けてしまいます。そりゃそうとこれからどちらへ?」

「ああいやいや、もうすぐ死ぬんでその準備」

「おや、相変わらずウサギさんはお早い。うらやましい限りです」

「そりゃこっちも。長く見れるそちらがうらやましい」

「お互いままなりませんな」

「そうですな」

「そいじゃあ、次のウサギさんに会える時を楽しみにしています」

「ええ、次をよろしく」

「それじゃあこれで」

「はい、これで」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。