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17:村人と聖獣 ☆

 こんにちは、真歩です。


 この村での生活も一週間は過ぎようとしていて。


「オ、モウ、イダグナイ、オデ、ナオッダ」


 こっちに来て早々、私が怪我をさせてしまったトロールのベレンも順調に回復していた。


「本当? 無理しちゃ駄目だよ?」


「マヂ、オデ、ヘイキ、モウゲンギ」


 まだ体には包帯が巻かれているというのに、ベレンは両手を振り上げ大地をジャンプ、村が揺れ村人達が全員少し浮いた。


「コラコラっ」


「さすがトロールっですな、回復力がっとても高いっ。私も魔物をっ診るのは、初めてでしたがっ、元気になってっ、良かったっですよ」


「先生っ」


 ベレンが飛び跳ねる度にふわっと体を浮かせる先生の登場である。


「しかしっ、私もっ、貴っ重なっ、経けっ、させっ、もらっ、てっ」


「え? なんて?」


 とりあえずベレンの元気アピールを止めさせよう。


「ゼンゼイ、モウ、イダクナイ、アリガドウ」


「いやいや、医者は患者を治すのが仕事。例え人でも魔物でも、困ってる人がいれば手を差し伸べる、それが・・・・・・医者の使命ですっ」


 かっちょいい。


「オデ、ナオッダ、ミンナヨグシテグレダ、ナンガ、オレイ、シダイ」


「お、いい心がけ」


 怪我をさせた張本人がそう言うのもなんだけど。


「うむ、そういう事なら村長に相談してみよう。そもそも怪我させたのは勇者様なので君が気を遣う必要はないのだがね」


 グサリ。


「あ~、私もまたなにか出来る事がないか村長に聞いてみようかな~」


「うむ、いい心がけですな」


「イイ、ゴゴロガゲ」


 まぁ、かなりお世話になってるしね。



 こうして。


「この村では名産のシャレ人参があってですな」


「シャレ人参。もしかしてですが、シャレお爺さんとなにか関係が?」


「さすが勇者さま、頭の回転が速すぎる。そのまさかです。この人参はシャレ爺が長年改良を加え、ついに数年前に完成した一品です」


 そのまさかだった。


「この人参を作るためにシャレ爺は多額の借金、研究に没頭するあまり奥さんにも逃げられ、そして最近はようやくその努力が実を結びコツコツ貯めていたお金で長年の夢だった馬車を購入したのですがそれも壊されました」


 シャレ爺の人生だけで本一冊書けそう。


 てか、最後は完全に私のせいじゃん。


「名産品のシャレ人参は定期的に王都へと納品しているのですが・・・・・・」


「馬が誰かのせいでいなくなってしまったと・・・・・・」


「はい、誰かのせいで・・・・・・」


「わかりました。私がなんとかしようと思います」


「お~、さすが勇者さまっ!」


 完全に誘導された感は否めないが、これで私の次の目的が決まった。


 ちなみにトロールのベレンは村の力仕事を手伝う事になった。



 さてさて、馬、馬ってどこにいるのだろうか。


 そもそも野生の馬っているかな?


 とりあえずノープランで森を彷徨ってみる。


 それは勇者の勘か。


 それは勇者の神がかった力がもたらせたものか。


「お、泉」


 しばらく歩くと結構広い泉があった。


 その中央。


 水に足をつけるように。


「あ、いた。馬・・・・・・なのかな」


 白い馬。


 それは私の存在にすぐに気付く。


「む、汝、何者ぞ」


「うわ、喋った。いや、これは私の力、いや、元々喋れる系なのか」


「元々だ、で、汝、何者ぞ」


「汝なんて初めて言われたよ。えっと、真歩です」


「そうか、で、汝、なに用ぞ」


「えと、シャレ爺の馬がいなくなったので代わりを探してまして」


「そうか、で、シャレ爺とは誰だ」


「シャレ爺は、村のお爺さんです。実はすごい壮絶な人生を歩んでいます」


「そうか、で、それはどんな人生だ」


「え、いや、私もさっきちらっと聞いただけでして、そんなに詳しくは」


「そうか、それは気になるな」


「気になりますか。ちなみにこれがそのシャレ爺が壮絶な人生の中で生み出したシャレ人参でございます」


「そうか、どれ、一口、味見をしてやろう」


 白い馬にシャレ人参を与える。


 

 そんな出来事がありました。


 私は村に戻り。


「あ、勇者さま、お帰りなさいませ、って、うおあああああああああああ、ユニコーンだぁああああああああああああ」


 入り口で村の名前を教えてくれる役割の人が叫ぶ。


「伝説の聖獣だぁああ、身も心も綺麗な乙女の前にしかその姿を現さないというあのユニコーンだぁぁあ」


「て、ことは、勇者さま、処女よ」


「うむ、間違いないっ」


 村人は大騒ぎ。


 何気にセクハラじゃないのかな、この村のコンプライアンスはどうなってる。


「あ、白い馬さんは、ユニコーンでしたか」


「そうだ、普通は角で分かるものだが」


 言われて見れば立派な角がありました。


「ゆ、勇者さま、なんだべ、なんでこごにユニゴーンがっ!」


 丁度、シャレ爺が現れた。


「えっと、シャレお爺さんの馬がいなくなって、王都への納品ができないって事で、代わりにこのユニコーンの・・・・・・」


「ユニベラッタだ」


「ユニベラッタさんを連れてきました」


「どっひゃぁああああああああああ」


 シャレ爺は腰を抜かした。


「汝がシャレ爺か、シャレ人参、とても美味であった」


「うわああ、身も心も清らかな乙女の前にしか現れないどいう聖獣様が、身も心も穢れきったただの爺の前にっ! 汝なんてこの歳で初めていわれだべっ」  


「まぁそんなこんなで、これからはユニベラッタさんが納品手伝うって」


「汝の召還に応じよう。その代わり、シャレ人参を我に提供する事を誓うのだ」


「あぁ、誓います、誓いまずっ、おらがマスターです」


 あぁ、良かった良かった。


 これでまた一つ問題が解決したね。


 こうして私のこの世界での一日が過ぎていく。

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