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希望

あっという間に日常に戻っていった。仕事は絶え間なくある。仁哉も和由のことを考える時間がだんだんと少なくなっていった。


「身元不明人の周知について」


いつものメールだ。仁哉の職場には全国各地で保護された身元不明人の照会が連日メールで送られてくる。


「性別 男」

「身長 170〜180センチ」

「体型 やせ型」

「服装 黒色Tシャツ、ジャージタイプの紺色ズボン」

「所持品 110円、空の茶封筒、ビニール袋に入った折り紙のメダル」

「経緯 7月15日、午後11時頃森林で首をつっているのを近所の住人が発見、救急病院に運ばれたものの翌午前5時死亡が確認された。事件性はなく、自殺と見ている。」



「そうなの。これであの子も楽になれたんじゃないかしら」

母親はそれだけ言って電話を切った。葬式にも来なかった。

仁哉はそれ以来実家には連絡していない。自分の貯金で小さなお墓を買った。


「兄ちゃん、ほんとはこういうこともっと早く話せてればよかったのにな」

仁哉はお墓に水を流しながら呟いていた。

「今までごめんなさいって兄ちゃんは言ったけど、それは俺のセリフだよ。もっと気付いていれば、昔兄ちゃんが家を出て行く前にもっと話していればよかった。でも兄ちゃんが無理やりなやり方でも自分で道を切り開いたのを見習って俺もこれから頑張ろうと思うよ。何を頑張るのかって・・・まぁいろいろ頑張ろうと思う。俺は死ぬまで兄ちゃんに謝ってるよ。それで許してもらえるとは思えないけどそしたら兄ちゃんもきっと天国で幸せに暮らせると思うから。」


見上げた空は青く、和由が笑ってくれているような気がした。

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