4/4
幻聴に恋をして《第四夜》
『わ、痛そう』
よりにもよって一番見られたくないところを見られた
「別に、そこまでよ」
『どうしたの?その傷』
「バイトで切った」
『そんな手首の方を?』
「そうよ」
『もー、はやく手出して』
「あんた応急処置できないでしょ」
そうだった、みたいなおどいた反応をしてから彼女は棚を叩く
「もー、結局私が出すんだから静かにしててよ」
『でも、はやく!包帯巻き直してたんじゃないの?』
「そうよ、わかってたならいちいち聞いてこないで」
『むー、でもそんだけ切り傷あったら心配だよー』
「はいはい、ありがと」
誰も、親ですら、面倒事を避けて触れてこないのに。この影は気軽にプライベートに踏み込んでくるんだから
『はやくー!!何考えてるの!?』
「ん、いや。あなたがおかしな人だなって」
『そんな事考えてたの!?ひどいー!!じゃなくて、早く、包帯まいてよ!』




