幻聴に恋をして《第十夜》
『どこいくの?』
今日は、バイトじゃない時間にあなたが部屋を出る準備をしている
「お金使えるとこ」
『150万貯まったの!?』
まぁ、あれだけバイトしてたらすぐ貯まるよね
「そうだね」
『もっと嬉しそうにすればいいのに。それより、こんな深夜に行くの?』
あなたは若いし、可愛いんだから、少し心配
「今じゃないとダメだからね」
『んー、まぁ良いけど変な人に会ったらすぐに逃げること、いい?』
「わかったわよ」
あなたは外が寒いのに、中にキャミソールとパジャマの短パン、それにコートを着て最後のバッグの準備をしだした
『そんな格好で行くの?』
「だって、服洗ってるし」
そういえば私が来てからも部屋から物は減っていって、普段着はほとんどなく、今洗濯している一セットのみ
『ねぇ、本当にどこにいくの?』
「別に良いでしょ?どこでも」
『やだ。だって、あなたは私のこと好きだって言ってくれたじゃない』
「あぁ、そういえばそうだったわね」
『そういえばって、怒るよ?』
「いいわよ、あなたに怒られるの好きだし」
『へんー』
あなたは準備を終えて玄関に行こうとしてしまった
私は部屋から出られない
『まって』
「...どうしたの?」
『帰って、くる、よね?』
「⋯」
あなたは何も答えない
それが何を言ってるかは分かっていた
「じゃあね、私の大好きな人」
それだけを言って彼女は出ていった
部屋からは影が元から居なかったかのように消え、通帳も、定期も、スマホも置かれており。机の上にわかりやすく置かれたいた紙の表にはただ一言
『ごめんなさい』




