第2章・2幕 連絡員・三条勝巳
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
・澄 (すみ)
ある組織に所属する男で本名不詳。灰色のチャンパオの様な中華衣装に身を包む。『華宝』なる物の真価を見出だし、使いこなすという使命を帯びているらしいが…
・三条 勝巳 (さんじょうかつみ)
本編・三条勝太郎の実父。妻と勝太郎を捨てた後、何故か蛭子里へと流れ着く。里では近代的な男前、と評判だが、裏の顔は好色と貪欲の悪人。
■ ▢ ■ ▢
【前回までのあらすじ】
蛭子里の神隠し…
それは墨子の証言から、不気味な息遣いの者『狂える花魁』による無差別殺人である可能性が高くなった。
しかし、助けを呼びに行こうとするも、『龍の行水』という嵐により、外に出れなくなってしまう。
そんな中、神社の地下では怪しい男たちが、『神の子孫』を探し出すことに躍起になっていることが分かった。
その中の一人に、神籬蓮庵、いや、澄と呼ばれる神籬蓮庵の姿に、また違う謎が浮き出てくる.
澄。彼は海を渡り、とある組織に所属する。
神器や聖遺物と似た力を持つ『華宝』なる物の所有者。
そんな彼が、ついに蛭子神社へと辿り着く・・・
深い森を抜けると、崖の上に神社が見える。
「あれが蛭子神社か。おや、この茂みは…?」
澄は違和感を感じたのか、崖の前に鬱蒼とする茂みの一部を掻き分けて入ると、崖と思われる斜面に茂みに隠れた洞窟があった。
「なんだここは?」
入口は茂みに隠れるほど小さいく、縦に2m、幅は1mほどの穴。
中へ入ると、かなり奥深く、神社の真下をくり抜いたように広いようだ。
「ここを拠点とするか。」
澄は洞窟に荷物を置いて、蝋燭に火をつける。
そして、鞄から密書を取り出す。
ーーー
澄へ
『華宝』の効果を確かめること。
『転生』なる効果を確かめること。
いずれ使者を送る。その時までに報告できるようにしておけ。
現地の連絡員には、三条勝巳という男を雇った。
彼は狼煙をあげれば直ぐにモルモットを連れて、お前を訪ねる。
彼には『聖釘』による能力が備わっている。
死体防腐処理と、屍を兵士化する『屍人形』たる能力を持つ。
詳しい事は本人から説明させる。
組織から報酬を得ている男だ。
十分使ってやれ。
藩より
ーーー
「まずは…転生を完全な成功に導く。
…命が懸かる以上、本土での実験を糧に、早めに結果を出さなくては…
この里には人もそういないだろう…
連絡員・三条勝巳、彼を待とう。」
澄はそう呟くと、不気味な笑みを浮かべた。
◎和都歴449年 10月16日
置田村・神奈備・蛭子神社の地下洞窟
「おーい、三条だ。誰かいるか?」
勝巳が、澄の元を訪れる。
「三条勝巳さん?私は澄。」
「ああ、聞いてる。まずはモルモット用のしっかりした檻を作る。おい!」
勝巳は、声で合図をする。
「あ、彼らには熊の檻ってことで、話してあるんで。」
勝巳がボソッと澄に話す。
「荷物置きまーす!」
6名くらいが、檻の材料を持って入り、置いていく。
◎和都歴449年 10月24日
置田村・神奈備・蛭子神社の地下洞窟
檻が幾つか完成し、広い洞窟内も、アジトらしくなってきた。
「皆、ご苦労!酒を用意した。飲んだら報酬を配る。まずは休憩だ!」
勝巳が音頭を執る。
6人とも2、3杯飲むと、すっかり眠ってしまう。
「なんだ?この酒、そんなに強いのか?」
澄が勝巳に尋ねると、勝巳は懐から、液の入った瓶を取り出して、振って見せる。
「眠らせたのか?」
「コイツらを、そのまま檻へ。モルモットはコイツは自身なんで。」
勝巳はケダモノのように笑う。
「三条さん…アンタ悪いな?」
澄は鋭い目つきで勝巳を見る。
「お互い様でしょ?」
勝巳は6人を檻へと運び込む。
「聖釘の話は、もう聞いている。悪い人じゃなきゃ思いもつかない能力だと思ったよ。」※
澄が檻へと人を運びながら話しかける。
「ハッハッハッ…その説明もしとかないといけませんね。あなたは謂わばビジネスパートナーだ。能力の条件を知っておいてお互い損はないかと。」
勝巳がケダモノの様にニヤリと笑う。
※『聖釘』については
『祖柄樫山のデータベース』の『聖遺物』の項、最下項『聖釘』を参照の事
https://ncode.syosetu.com/n0508jn/
次回2026/11/13(金) 18:00~
「第2章・3幕 屍人形」を投稿予定です。
※11月は秋の読書・強化月間です。
期間中は毎週(金) 及び11/3のみ 18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




