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大谷どん吉の超・ソウサク記   作者: 御王礼
プロローグ『ブラックリストハンターと漫画家志望の俺‼』

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プロローグ『ブラックリストハンターと漫画家志望の俺‼』

史上最年少で国際ブラックリストハンターの称号を得た高校生、大谷どん吉。

裏社会で恐れられる彼の真の野望は、意外にも「世界一の漫画家」になることだった。

しかし、現実は非情。投稿作は落選続き、父親からは猛反対。どん吉は己の才能のなさに悶えながら、裏稼業で日銭を稼ぐ日々を過ごすどん吉であったが……。


 残りの寿命三十年を対価に、超常の力を授ける劇薬「SPM〈スーパーマン〉特効薬」。


 この悪魔の如き薬物の流通は、世に混沌を招いた。


 秩序なき時代において、かつて日陰者であった職業が脚光を浴びる。ブラックリストハンター、すなわち賞金稼ぎである。


 二〇四〇年代初頭、一部のハンターが対超能力者用抑止兵器、通称「ハンター兵器」を駆使し、異能を悪用する犯罪者達の駆逐を開始する。


 今や彼らが追う標的には莫大な懸賞金が懸けられ、狩りの行方は世界中が固唾をのんで見守る一大エンターテインメントと化していた。


 ――三〇五四年十二月十五日、日没後。


 今や狂乱と化したブラックリストハンター時代。

俺――大谷どん吉は、合格率三・五パーセントの狭き門を突破し、史上最年少の十五歳六ヶ月で国際ブラックリストハンターライセンスを取得していた。

 中学校からの帰宅途中に呼び出しを受けた俺は、都内に聳える協会ビルの最上階、会長室の前に立っていた。

 呼び主は実父にしてブラックリストハンター協会会長、大谷シロウだ。


 季節外れの猛暑は常夏に近い三〇度超えを記録している。


 ゆえに、全国の学校指定学ランは薄いパジャマスーツに近い素材が主流となっていた。


 紺色を基調とした常磐中学の制服、内ポケットからマイナンバーカード大のライセンスを取り出す。

 実を言えば、俺はブラックリストハンターの名家として知られる大谷家の一人息子なのだ。

 重厚な扉を開け、父親の前に立つと、俺は資格証をこれ見よがしに突きつけた。


「親父、アンタが言っていた通り、俺は一五歳でブラックリストハンターズライセンスを取得したぜ!」


 還暦間近の父は、灰色を基調とした着物を纏い重厚な椅子に深々と腰掛けている。息子の言葉を受け、彼は深く頭を抱えた。


「……分かった。約束は守ろう。だが、どん吉……本当にいいのか?何故だ⁉️今になってもブラックリスハンターを目指さない?」


――父親との約束。


 俺が最年少でライセンスを取得した暁には、プロの道へ進まないという盟約だ。俺は険しい表情で会長を見据え、はっきりと告げる。


「前にも話しただろう。俺は漫画家になる。あと、それなりに普通の学生生活がしたい。それだけだよ」


 才能の無駄遣いだと周囲は口を揃えるが、俺の人生だ。他人に指図される筋合いはない。


「……最後に一つだけ父親として、お前に伝えたいことがある」


「……なんだよ?」


「……今まで俺は備えあれば憂いなしと散々に言って、大谷家の立派な後継ぎとして育てようと固執しすぎてしまっていたかもしれん」


 頑固一徹で知られる男が、実の息子に頭を下げた。誰かに謝罪する姿など見たこともなく、俺は不意を突かれて言葉を失う。


「どん吉、低身長で運動能力や頭も決して良くない不器用な、お前が結果的に史上最年少でブラックリストハンターライセンスを取得したのだ。お前は本当によくやった」


「お、おお……ありがとう。まさか親父にそんなことを言われるときが来るとはな」


 父親の言葉は、胸に染みた。身長一六六センチ、学年最底辺の成績。ハンター界隈でも学校でも、俺には常に「落ちこぼれ」の烙印が押されてきたからだ。


 出来損ないが成し遂げた快挙。裏にある過酷な道のりを、誰よりも理解してくれているのだろう。


「人並み以上に努力を積んでこなければできないことぐらい、俺にだってわかる。それに、櫻井くんからも話は聞いている。相当、彼に鍛えられたそうだな」


「……フフッ。まあ、そうかもな」


 会長は着物の懐から一通の手紙を取り出した。俺が師匠と慕う六歳年上の先輩ハンター、櫻井ツカサからの書状だろう。


 封筒に見える特徴的な丸い文字は、間違いなく櫻井さんの筆跡だ。

 紙面には、俺が夜な夜な彼を訪ね、ライセンス取得のため過酷な訓練に付き合わせた日々が詳細に綴られているに違いない。

 俺は照れ臭さを隠すように、鼻をすすって虚空を見上げた。


 ――しかし、父親の穏やかな表情は一変する。


「だが、依然として今の時代はブラックリストハンターなしでは成立しないことには代わりはない。どんな手を使ってでも、お前には家業(=ブラックリストハンター業)を必ず継いでもらう!」


「……はあ⁉またそれかよ!悪いが俺は俺のやりたいように生きていく!じゃあな‼️」


 眉間に深いシワを寄せ、苛立ちを隠さない父に呆れ果て、俺は背を向けて勢いよくドアを閉め、颯爽と退室した。


「――おい、待て!この馬鹿息子が‼くだらん漫画などというものが社会の何の役に立つ?いずれ、お前にも分かるときが必ず来るというのに‼」


 怒声を上げる父の形相は、血が上り真っ赤に染まっていたのだった。


 この日から数週間が経った頃、俺はSNSで「ブラックリストハンターを辞める」と発信した。

また、『ブラックリストハンター界の神童、大谷どん吉が引退を表明』と各メディアは一斉にニュースを報じられた。


 ハンター協会会長に忖度したのだろう、論調は揃って俺の引退を惜しみ、継続を促すものばかり。


「会見を開け!」だの、内外から上がったが、知ったことか‼️


 世間体を気にして、やりたくもないことに時間を費やすほど馬鹿ではないつもりだ。

 己のやりたいことに全てを懸け、いつ死んでも「やれることは全てやった」と笑って言える人生を送りたい。


 悲願成就のため、一年あたり最低でも百作品の漫画を描き、賞に応募し続けると心に誓う。



 ――が、すべてはまだ、俺が本物の賞金首たちと出会う前の話である。


初投稿です(笑)。まずはプロローグから!お手柔らかに…というか、暇つぶしに気軽に読んでみてください。宜しくお願い致します‼

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