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一年の宝物  作者: ゆみ。
15/37

翔太の知らないところで


翔太は少し早めに教室へ入った。


翔太(昨日、雫華と勉強できたし……

今日も一緒に復習できたらいいな)


そんな淡い期待を胸に、

雫華の席の方へ目を向ける。


しかし──


翔太「……あれ?」


雫華の席は空だった。


翔太(まだ来てないのか……)


少しだけ肩が落ちる。


---


「ここはこう考えると楽だよ」

「……ほんとだ。わかりやすい」


聞き慣れた声。

そして、聞き慣れない“雫華の笑い声”。


翔太(……え?)


廊下の奥、窓際のスペース。

そこには──


**雫華と理人が、二人きりで並んで座っていた。**


---



理人「この問題、昨日の続きだろ。

雫華さんなら解けるよ」


雫華「うん……あ、できた」


理人「ほら、やっぱり」


雫華はふっと微笑んだ。

昨日より柔らかい笑顔。


雫華「理人、教えるの上手だね」


理人「そうか?」


雫華「うん。助かる」


二人は自然に会話していた。

距離も近い。

雫華は楽しそうだった。


翔太……え


胸が、ぎゅっと痛くなる。


---


翔太はその場に立ち尽くした。


翔太(なんで……理人と?

昨日は俺が教えたのに……)


もちろん、

雫華は誰にもなびいていない。

ただ、わかりやすい人に教えてもらっているだけ。


頭ではわかっているのに、

胸がざわつく。


翔太(……楽しそうだな)


雫華の笑顔が、

自分に向けられたものじゃないことが

妙に寂しかった。


---


# ◆雫華が気づく

雫華「あ、翔太。おはよう」


翔太「っ……お、おはよう」


雫華はいつも通りの声で、

いつも通りの距離で話しかけてくる。


雫華「理人に数学教えてもらってたの。

昨日の続き、気になって」


翔太「そ、そっか……」


理人「翔太、お前も来るか?」


翔太「……いや、大丈夫」


笑顔を作ろうとしたけど、

少しだけぎこちなかった。


雫華は首をかしげた。


雫華「翔太、なんか変?」


翔太「べ、別に……!」


翔太はそのまま席に戻った。

胸のざわつきは、まだ消えなかった。


--

翔太(……俺、何期待してたんだよ)


雫華は誰にもなびかない。

それはわかっている。


でも──


翔太(……雫華が誰かと楽しそうにしてると、

なんでこんなに気になるんだ)


自分の気持ちに気づきそうで、

でもまだ認められない。


そんな朝だった。

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