直道の乱
「な、直道君!何をするんだ!!!僕だよ!君の憧れ先輩の大石だよ!!!」
大輔の手の中でもがく小人が吠える。
誰が貴様なんぞに憧れるものか!
どこをどう考えれば俺が憧れてると思うんだ。
「残念ですが俺達の中では大石さんは7体3で悪の小人だという意見で統一されています。」
「なんで僕が悪の小人なんだよ!なんの力も無い無力な小人なのに!!」
無力の小人が自衛隊に命令する権限を持つものか!
ヘリから落とされた恨み、休む間もなくダンジョンに放り込まれた恨み、そして終わったと思ったらの強制連行・・・全ての元凶はお前だ!!!
「大石さん・・・正直に答えて欲しいんだが、スカートの中を覗くために小人のままなのか?」
「なっ!誰がそんなことを!!!」
「直道が大石さんはスカートの中を覗くために小人化を治さないって・・・俺達の高校に来た時も女生徒のスカートの中を覗いてたって・・・。」
「馬鹿な!高校生って・・・僕の娘と同じくらいだよ!なんで覗きなんかしなきゃいけないのさ!!!」
な・・ん・・だと!
こいつ結婚してたのか!!!
しかも子供までいるだと!
「おぉぉおいしぃいぃいい!!!テメーの血は何色だぁああ!!!!」
怒髪天を突くかの如く頭に血が昇った俺は大輔の握り締める小人に突進をしたが脳筋馬鹿がひょいと避ける。
何故、避ける!!!
「すみません、大石さん、どうやらまた直道の戯言だったようです。」
テーブルの上に小人をそっと置き、その前に立ちはだかる。
くそ!大輔が寝返りやがった!
「大輔!騙されるな!ヘリから落とされた事を忘れたのか!!」
「黙れ!この馬鹿!お前には一度キツイお灸をすえる必要がある!」
駄目だ!聞く耳もたん!
あの小人は洗脳スキルでも持ってるのか!
2対1とはいっても小人は役に立たないだろう。
となれば俺の相手は脳筋戦士のみ!
ステータスの差はあるが奴の動きの癖は分っている。
そして俺には頼れる相棒もいる!
「カイム!ご主人様がピンチだぞ!お前の力を見せてみろ!!!」
『断る!』
なんだと、このクソ鳥!!!
今こそ貴様が役に立つときだろ!
「ふざけんな!戦え!大輔を迎え撃て!!!」
『じゃれあいたいなら勝手にやれ!儂を巻き込むな!』
裏切りに次ぐ裏切り!
流石の俺も大ピンチだ!
だが・・・負けるわけにはいかない!!
俺が決死の覚悟で腰を落とし大輔との接近戦にそなえるのと、ドアが蹴破られ屈強なおっさん達がなだれ込んできたのはのは、ほぼ同時だった。
「確捕ぉおぉおお!!!」
部屋の中に雷のような声がとどろき、瞬時に俺は床に押さえつけられた。
「俺は無実だ!・・・放せぇえぇええぇええ!!」
こうして後に知り合いの間で第一次直道の乱と呼ばれる反乱は鎮圧された。
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「では、本当に解放して宜しいので?」
「まぁ、じゃれあってただけですし一種の病気みたいなものですよ。一流の冒険者には得てして変人が多いので、よくある事なんですよ。」
「はぁ・・・大石さんがそれで宜しければこちらとしては何もありませんが、もう少しTPOを考えて頂けたら有難いです。」
どうやら解放されるらしい。
くそ!この部屋にカメラがついていたのは誤算だった。
ピーピング野郎共め!
「悪の小人め!」
解放された俺は大輔に首根っこを掴まれたままソファーに座らされている。
この脳筋が!凄い力だ!
「しかし、おかしいな・・・。」
「何がですか大石さん。」
「いや、直道君だけど・・・ここまでじゃなかったよね?」
「・・・その・・・季節の変わり目とか節目にはっちゃける事はありましたね。元々行動力と決断力だけは異常なくらいありましたから・・・かなり手をやきました。」
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『ふん!スキルの使いすぎだ。』
「どういうことだい?」
「主のスキルは極めて強力だ。故にその反動も他のゴミスキルとは比べ物にならん。今は頭に影響がきてるのだろう。』
「この馬鹿鳥!俺はおかしくないぞ!」
「しゃべるな!それで・・・治るのか?」
『しばらく戦いから遠ざけておけば元に戻る。』
「ちょ、ちょっと待って!直道君のスキルは使用限界があるのかい?」
『精神が未熟だから反動が来る!暇な時に精神修行でもさせておけ!儂に言えるのはそれだけだ!』
誰が修行などするものか!
俺はまともだ!!!
「俺はそんな事しないぞ!」
「お前は少し寝てろ!」
大輔の腕が俺の首に巻かれると意識が暗転した。
悪の小人が笑みを浮かべてる・・・俺がなんとか・・しないと・・・。
誤字の方はちゃんと全部見て直したいので後回しになってます。




