希少。
島根からの帰り道、珍しい物を見た。
暴走族だ!
スマホで写メを撮って手を振ると振り返してくれた。
案外、気のいい奴等だ。
彼等を見ていると高校で習った事が思い出される。
ダンジョンが出来て30数年、その数限りない恩恵の1つに暴力団組織の壊滅と暴走族の激減がある。
暴力を生業とする暴力団組織が、何故大人しくなったか。
それは、それ以上の暴力が誕生したためである。
冒険者、ただの一般人だが戦闘職の職業を得た彼らは荒事にも怯まない。
低層階でもオークやオーガといったヤクザ以上の魔物がいるからだ。
圧倒的に力で差がつくとヤクザ等は、ただの威勢のいい人でしかない。
一般人ではあるが荒事に慣れた冒険者は恫喝にも怯まない。
やられたら、やり返すの信念の元、牙をむいた。
そして、一般人のためか冒険者はヤクザ以上に容赦をしなかった。
お礼参りが怖いからと徹底的に攻撃されるのだ。
更に彼らにとっての不幸は、ヤクザの中にも戦闘職の者はいたが彼等は戦闘職を得ると、ことごとく暴力団組織と決別してしまう。
なぜなら、冒険者をやった方が儲かるからだ。
レベルが上がれば報復される心配も無く、ワザワザ後ろ指刺される職業でいる必要は無い。
法で規制され、法の目を逃れても力で規制された暴力団組織は、急速に力が衰え10年ほどで消滅した。
そして、これと同じ事が暴走族でも起きたのだ。
暴力団と違うのは純粋に走り回る事にしか興味のない、他人に迷惑をほとんどかけない暴走族もいたためだ。
逆に他人に迷惑をかけまくった暴走族は、即座に反撃され壊滅させられた。
俺が見たのはそんな希少な絶滅危惧種だ。
特攻服というのは中々格好がいいし、バイクの改造もよく分からないが凄い。
あのヘッドライトが出張ってるのは何か意味があるのだろうか。
彼等にはこのまま元気に、人に迷惑をかけず暴走して欲しい。
街に近づくと狩られる恐れがあるから、出来るだけ街から離れたところで無理して事故らないように・・・。
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そんなこんなで俺達は東京に戻ってきた。
今は、俺は大学との交渉を、合コンのプレッシャーをかけられている大輔は宮沢さんへのご機嫌伺いに、加藤君は講義の遅れのために大学に詰めている。
大学との交渉は、まずは例の黒っぽい鉱石1キロとミスリル100グラムから始められた。
交渉相手は魔導工学部の森田教授だ。
まだ40代ながらこの道20数年の頭の薄いベテラン教授でもある。
この道20数年という事は魔導工学が世に出始めた頃から、たずさわっていた事になる。
先見の明があるのか勘で動いたのか分からないが、交渉相手としては強敵かもしれない。
俺達3人とも年間3000万円分の素材の値引きと1億円以上の買取をする事が入学条件になっている。
つまり、年間3億分の素材を2億1000万で売り、4年で12億、8億4000万円分大学へ卸す必要があるのだ。
俺の取り出した鉱石に目が釘付けになる森田教授。
それもそのはず、ミスリルは未だ世界中の総量でも1000キロ前後のはずだ。
その殆どが政府、ぶっちゃけると軍が持っている。
民間ではアメリカの軍事メーカーとアメリカとイギリスの某大学が、ほんのわずかな量を所有しているだけだ。
訂正、一部の冒険者にも売らずにミスリル製の武器防具を使用している者がいると言われているが、こちらは都市伝説レベルの話だ。
まぁ、何が言いたいかというと、トンデモ無く高いと言う事だ。
交渉するために調べたのだが、グラム1000万とか平気でするらしい。
調べ終わると、初めに10キロ持って行こうとか言ってた自分が馬鹿みたいに思える。
「森田教授、如何ですか?ここにミスリルの鉱石が100グラムあります。
禿げたおっさんは俺の言う事など聞いていないようで、ミスリルの塊を凝視している。
「い、いくらだ!」
「はっ?」
「これはいくらで売ってくれるんだ!」
禿げたおっさんんに血走った目で詰め寄られると引くものがある。
だが、この様子なら問題無く買い取ってくれそうだ。
「ミスリルの相場は御存じですよね?」
「グラム1000万はくだらん・・・ろ、ローンでもいいのか?」
「ローンでもいいですよ。100グラムですから10億ですが、3人分の値引きを4年分使えば6億4000万になります。」
「6億か・・・・・・購入しよう!」
よし!目的の半分はこれで達成したぞ。
思ったよりチョロイ人かもしれん。
「それと、魔鉱石はどうしますか?」
これも、それなりに貴重な希少金属だ。
キロ1億、それが魔鉱石の現在の相場だが、ミスリルと比べると霞んで見える。
「魔鉱石か・・・ほしいな・・・・だが、それだと1億分くらいあるな・・・。」
「そんな教授に朗報です!今なら、この魔鉱石に更にこの綺麗な石!赤、青、黄、緑の4色セット!ここだけにしかない精霊石を付けて2億!2億の大特価です!」
「精霊石だと!なんだね!それは!」
俺が島根ダンジョンの42階から掘り出した石で、世界に俺達だけしか持っていないものだと言うと、ミスリルを放り出して精霊石を見詰めだした。
「な、なんでそんな物が、セット販売になるのかね?本当ならミスリルよりも貴重な物のはずだ。」
「確かにそうです。ですが、俺達にはこれの使いかたが分かりません。正直に言うとまだ何個かあるんですが、今のままだと安く買い叩かれそうな気がするんですよ。だから教授の方で使い道を発見してもらってから売ろうと思いまして・・・本音を言うと、それでもそれ以上の価格にはなると思いますが、俺達も少しぐらい母校となる大学の発展に貢献しようかと思いまして・・・。ただ、教授がどうしても嫌なら別に魔鉱石だけでも構いませんよ。」
「ろ、ローンは何年まで組んでもらえるんだい?」
「そですね・・・流石に10年が限界かな。それ以上になるなら相談させて下さい。」
「いや、構わん。10年で宜しく頼むよ。」
禿げたおっさんが手を出してきたので、嫌だがガッチリ握手した。
二度と握手する気が起きないように、少し力を込めてギューっとしてやったぜ。
もっとタフな交渉になると思ったが思ったより、あっさりだった。
だけど、これで大学のノルマは終わりだ。
感想と誤字報告、有難う御座います。
誤字報告で、こう書いた方が良く無いか?というのを頂きましたが、同じヵ所で2人から頂いたので、どうするか考えている最中です。
本日2本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




