卒業前の出来事
遅くなりました。
俺達もあと少しで卒業し大学生となる。
ここいら辺になると学校に来ているのは惰性でとなり、授業も自習しかない。
うちの学校の緩い校則だと、来ても来なくてもいいような感じだ。
そして、ここが重要なのだが進路が決まりだすとカップルの成立と破局の数が跳ね上がる。
つまり、将来性の無い馬鹿は振られて乗り換えられるという事だ。
そして、卒業の記念にと駄目元で告白されるし、する奴もいる。
宮沢さん等はその筆頭株主なのだが、ここで異変が起きている。
俺は言っちゃあ何だが、将来有望どころか現在進行形で有望な冒険者だ。
そして某有名国立大に入学する事が決まっている。
エリートどころかスーパーエリートのはずだ。
大輔ですら3回も後輩から告白されている。
だが、俺と加藤君はゼロなのだ。
加藤君は分かる。
可哀想だが、彼はいい奴だが女性関係となるとポンコツだからだ。
しかし、俺は違うはずだ。
しかも完全フリー状態なのに・・・。
やはりここは男らしく告白に行くべきだろうか。
だが、なんとなく告白するのも違う気がするし、最近おとなしい加藤君を刺激しそうだ。
それに、我が校の3大巨乳どころか10大巨乳は全てカップルになっている。
・・・まてよ・・・世の中には女子高というものがある。
ここで焦らずとも大学生になれば、そういったところから入学してくる人もいるはずだ。
ふと横を見ると大輔は加藤君と一緒に日本地図を見ていた。
次の遠征地を考えているようだが、指先が九州の辺りを彷徨っている。
九州地方は、あの面積にBランクダンジョンが5つもある修羅の国で、冒険者のレベルも高い。
それに遠いから、いくとしたら5つ全てを周る覚悟が無ければ駄目だろう。
というか、九州地方ならスタンピードが起きても自力で何とかしそうな気がする。
大輔が南を指差すのとは反対に加藤君は北を指差している。
蠢く指先を見ていると、北海道と青森だ。
温かい内に寒いところをという魂胆だろうか。
彼の場合は純粋な食欲からかもしれない。
「直道はどこがいいと思う?」
俺の視線に気が付いた、大輔が話しかけてきた。
「まずはBランクのダンジョンがいいと思う。」
2人とも頷き返す。
大輔希望の九州はBランクダンジョンの群れだし、加藤君希望の青森のBランクダンジョンだし、北海道にもBランクダンジョンはあるからだ。
「九州は遠いし、行くなら群生しているダンジョンを根絶やしにするつもりで行った方がいいから却下だ。同じ理由でAランクダンジョンのある北海道も却下する。」
「じゃあ、青森か?」
「そうだな、青森か島根のダンジョンがいいんじゃないか?横浜なら移動時間は気にする必要がないから、時間が空いた時で行けると思うし・・・。」
「いいけど、大学行ったら休みの時期にダンジョン行くの、少し減らしたいんだよな。」
「なんで?」
「そりゃ、多少旅行とか、こう大学生になったら行ってみたいじゃん。」
「1人でか?」
俺には分る。
こいつは宮沢さんと旅行に行く気だ。
俺の質問に無言で顔を反らす大輔に、加藤君と2人で無言の圧力を与え続ける。
「そ、そうだ!大学に入ったら合コンしようぜ!宮沢さんに頼んで大学の友達紹介してもらえばいいじゃん。」
こいつ、神かよ!
宮沢さんの行く大学は某お嬢様学校だ。
女子大のため、周りには女しかいない。
いいぞ!今度こそイケる!
「いいぞ!大輔!流石、俺の親友だ!いいか胸のデカい子で頼む。だけど、ちゃんとくびれのある子だぞ!」
「わ、わかった。一応、頼んでみるから。」
「一応じゃあねえ!土下座してでも任務を遂行するんだ!」
「ぼ、僕も、行っていいの?」
「もちろんだよ、加藤君。偉大な大輔に任せておけば完璧だ!」
引き攣る笑顔の大輔を横目でとらえ、俺と加藤君は来たる日の合コンに向けて話が弾む。
「ひ、秘書の人とかもお願い出来るかな?」
「そうだな。大輔に頼んで探してもらえばいいんじゃないか?」
「う、うん!」
久々にテンション高めに嬉しそうに話す加藤君を見る。
最近は食う事が唯一の楽しみだったため、昔より肥えている。
一度強制的にでもダイエットをさせよう。
俺は心の中で静かにそう誓った。
案層と誤字報告有難う御座います。
説明回のようなものにまで丁寧に頂けるとは思って無かったので、感謝してます。
今更ながら章管理とかに挑戦しておけばと思っていますが、次回からは大学生編になります。
本日1本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




