大学生になりました。
大学生になった。
あの超有名な国立大の・・・。
入学式に出た後、2~3回顔を出してみたが、それ以来行っていない。
大輔も似たようなもので、加藤君はちょいちょい通っている。
菅原商店の方は会社事務所と研究施設等の場所も決まり、本格的に動き始めた。
何か会社に優位性を持たせたいと言っていたため、福島ダンジョンで手に入れた物は魔石以外は会社の方に渡している。
そのためでは無いが、大学に売る素材を回収するためにも、そろそろ計画していた遠征を行いたいと思う。
よくよく考えたら、加藤君以外は休みじゃ無くても暇を持て余しているので、いつでも実行可能なのだ。
ただ、宝箱の回収のためにも加藤君は必要だ。
おいて行くわけにはいかない。
協議の結果、島根のダンジョンに行く事になった。
加藤君がごねたが、夏までに大輔が1回、合コンを開くという事で全て丸く収まった。
大輔は不安そうにしているが、駄目だったら誤魔化せばいいだけなのだ。
そこまで心配する必要は無い。
移動は、もちろんピジェロだ。
大輔が練習のために乗り回して、少し傷が付いているが、まだ新品同様な状態だ。
島根までの道のりは大輔に高速のみ運転させるという方法で、無事につく事が出来た。
島根のダンジョンもダンジョンの中では変わり種だ。
何故ならこのダンジョンは20階層までは敵が出ないのだ。
その代わり延々と通路が続く、簡単に説明すると、1階層は迷路では無く只のグネグネと続く1本道。
歩いていけば2階への階段がある。
ただ、この距離が約20kmと、とてつもなく長い。
一時期線路を引く等の案が出ていたそうだが、グネグネと曲がった通路がそれを許さず、計画は頓挫したそうだ。
だが、苦労して2階層へ降りると、辺り一面採掘出来る場所となっている。
この階は迷路になっておらず、3階へ続く階段もすぐ近くにある。
そして3階はまた20kmの一本道なのだ。
この嫌がらせのような一本道と、ボーナス面のような採掘ポイントが交互にあるため、レベルの低い冒険者でも根性さえあれば20階層で採掘が出来る。
そして、21階には中ボスとも言えるべき階層ボスがいるのだが、この21階層のボスが強すぎるため、その下の階層へは誰も進んでおらず、島根のダンジョンはその先どうなってるか謎に包まれてるのだ。
島根についた俺達はその日をホテルで休んだ後、翌日の朝からダンジョンに挑戦した。
「大輔、随分似合ってるじゃないか!」
今回は俺達もツルハシを持参した。
武器も一応は持っているが、入り口をくぐったらすぐにカイムに収納させたのだ。
「まあな!これに関しては散々使ったからな!俺がやり方教えてやるから、ちゃんという事きけよ!」
厨二病の土方のように左右に1本づつ、ツルハシを持った大輔がのたまう。
・・・正直、仲間だと思われたくない。
今も左右のツルハシをブンブン振っているが、なんの意味があるんだ。
俺の煽りに気付かず上機嫌でツルハシを振り回しているが、何がそんなに嬉しいのだろう。
逆に加藤君はふさぎ込んでいる。
通常のダンジョンなら迷路になっているが道さえ分れば2~3kmしかないから、これは当然かもしれない。
昼すぎに2階層へ着いた。
周りは他の冒険者で溢れている。
島根の冒険者は2階層まで来て採掘し、1泊して帰るのが基本スタンスになっている。
敵が出ないため武器防具を携帯している人はいない。
そんな中ツルハシを担いでも、鎧を身に着けている俺達というか大輔は目立つのだろうか声をかけられた。
「ここは初めてか?」
かなりガタイのいいおっさんだ。
「ああ、ここは初めてだ。魔物が出ないって本当なのか?」
「そうだ。だから次は鎧も置いてきた方がいいぜ。」
「そうかもな。でも、一度自分で確かめてからにするよ。」
「まぁ、好きにしなよ。」
おっさんと少し話すと、周りからの視線が無くなった。
・・・なるほど、そういう事か・・・。
3階層への階段はすぐに見つかり、俺達は階段を降っていった。
「なんか、ジロジロ見てきやがって嫌な感じだったな。」
「う、うん・・・。」
階段から離れると大輔がすぐに愚痴ってきた。
人見知りの激しい加藤君も嫌だったようだ。
「警戒されるのは仕方が無いさ。」
「なんで俺達が警戒されんだ?」
やはり脳筋戦士は分かって無いようだ。
加藤君も結構なKYだから分からないみたいだ。
「俺達だけ鎧を着けてただろ。俺はともかく、大輔のは金属製のバリバリの前衛職の鎧だ。」
「だから、警戒されるのか?」
「そりゃ、そうだ。このダンジョンは強く無くても入れるんだぜ。上にいた連中は多分それほど強く無いはずだ。そんな奴等が一番警戒するのは1日掘って集めた成果を力ずくで奪われる事だろ。」
「・・・そんな奴等がいるのかよ。」
「だから、あのおっさんが話しかけて問題無いと分ったから興味を失ったんだ。それまではジロジロ見られてただろ。」
大輔は相変わらずお人好しだ。
楽できる方法があればやるのが人間だぞ。
だから、俺も拉致られたんじゃねえか・・・。
「で、でも、もう誤解は解けたんだよね。」
「たぶんね。ただ、俺なら階段の上に見張りを置くけどな。」
もう見えない階段を加藤君が振り返り見ていた。
純粋な彼には信じられない話なのかもしれない。
「あっ!本当にいたよ!凄いね!菅原君!」
えっ!なにした、このデブ。
「な、何をしたの?」
「て、偵察用の魔法で視線を飛ばしてみたんだ。離れたところから見る事が出来るんだよ。」
このデブ、いつの間にそんな魔法覚えやがったんだ!
いや、前から覚えてたのか・・・。
不味いぞ、覗きに応用できる。
大輔にも話して、今後はしばらく監視対象にしよう。
感想と誤字報告、有難う御座います。
感想で教えて頂いた後書きの件は戒めとして、そのままにしておきます。
本日2本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




