福島ダンジョン
投稿し忘れてました。
福島ダンジョンは渋谷や大阪と同じBランクダンジョンだ。
そのため階層は50階と分かっている。
渋谷ダンジョンや大阪ダンジョンと違う点は、福島ダンジョンは10階層毎にボス部屋があるという事だ。
つまり、ダンジョンボスを含め、ボス戦は5回あるはずだ。
はずだというのは、福島ダンジョンの地図は40階までしか埋まっておらず、41~50階層は前人未到の地となっているためだ。
そして、このダンジョンにはもう1つ、決定的な特徴がある。
それは、ダンジョンに出現する魔物が全てゴーレム系の魔物なのだ。
身長1.5~3mの通常のゴーレムと10階層毎の巨大ゴーレム、その繰り返しなのだ。
しかし、ここで出てくるゴーレムは鉱物系のゴーレムしか出てこない。
1~10階層までがクレイゴーレムと呼ばれる粘土のゴーレム。
こいつ等はハッキリ言って弱い。
動きも遅いし、脆いというか柔らかい。
ゴーレム特有の怪力にさえ気を付ければ、普通の冒険者でも特に問題はない。
問題は11階層から、・・・ここから初めて金属製のゴーレムが出てくる。
11~20は岩と銅のゴーレム。
21~30は銅と鉄のゴーレム。
30~40は鉄と正体不明の金属のゴーレム。
分かっているのはこれだけだ。
金属製になると防御力が跳ね上がり、足腰がしっかりするせいか動きも早くなる。
それが馬鹿力で殴りかかってくるのだ。
Sランク冒険者でも正体不明の金属ゴーレムには歯が立たないそうだ。
福島ダンジョンの1~3階層は冒険者で溢れていた。
これも福島ダンジョンの特性の1つだが、このダンジョンは採掘出来る場所が他に比べて多い。
どの冒険者もツルハシを持っている。
「俺も昔は、ああだったな。」
大輔が懐かしむように言うが、たいして変わってないように見える。
人が多いとは言って下に進むにつれて、その数は減っていく。
8階層を超える辺りで、もう人を見かけなくなった。
10階のボスは大輔が1人で戦ってみたいと言い出したので任せたのだが、扉を開けて走り込み右足に一撃を加えたところで消えてしまった。
大輔が凄い目で俺を睨むが、俺が悪いんじゃねえ。
おかしな目付きで睨むなや!
順調に先を進み20階層のボス部屋の前まで来た。
今日は少し早いが、ここで野営をする事にする。
早目に野営する事によって、いつもは適当な料理に時間をかけられる。
今日の夕飯は3人で相談しておいたカレーだ。
しかもレトルトでは無く、市販のルーを使うがちゃんとしたカレーだ。
汁物として豚汁を作るが、これは材料を流用出来るからだ。
鍋二つに水と切った材料を放り込み煮る。
片方に白みそ、片方にカレーのルーを放り込み、更に煮て完成だ。
ご飯は飯盒で5つ炊いた。
内訳は加藤君が1人で2つ、俺と大輔で1つと半分だ。
「あっ!らっきょう買うの忘れた!」
「馬鹿だな。俺の福神漬け分けてやろうか?」
俺はカレーには、らっきょう派だ。
大輔が福神漬けをと言うが許容できない!
ぶっちゃけ、自分達で作るカレーは何故か美味い。
たいした事をして無いし、ほぼ市販のルーのお陰だというのも分かっているが、美味い物は美味いのだ。
・
・
・
翌日、朝食をとって先を進む、流石の大輔も金属ゴーレム相手に1人では戦いたく無いらしく、20階層のゴーレムは素直にいつものように倒した。
ちなみにこの階のボスは赤っぽい金属のゴーレムだったので、銅のゴーレムだと思う。
「しかし、このダンジョンは駄目だな。」
大輔が愚痴っているのは、ボスの強さと宝箱の中身が釣り合って無いという事についてだ。
たぶん外れの方なのだろうが、10階層のボスの宝箱から出たのは粘土の塊、この階のボスの宝箱からは黒っぽい鉱石の塊だった。
しかも、カイムに鑑定させると思った通り、銅の鉱石との回答を頂いている。
このことから、外れはゴーレムの素材が出るのだろうと推測できる。
ぶっちゃけ、ゴーレムの魔石はそれほど大きくない。
宝箱の中身までカスだと、普通の感覚なら下の階層に潜りたいとは思わないだろう。
30階層のボスは鉄のゴーレムだ。
だが、大きいだけで俺達の敵では無い。
祈るような想いの元、宝箱を開けるも出てきたのは鉄の塊。
もしかしたら、ダンジョンボスの魔石くらいしか、いい物は出ないかもしれない。




