墓穴を掘る。
100階層のダンジョンボスの部屋の前に3人で集結する。
大輔は完全装備だが、俺と加藤君はただの普段着だ。
だが、これが最後のボス戦だと思うと、中々感慨深い物がある。
俺と加藤君でボス部屋の扉を開けて、急いで盾を構える大輔の後ろに隠れる。
部屋の中央にピカピカ輝く馬がいた。
全身が鱗っぽい感じで角が1本生えている。
「ユニコーンってやつか?」
『馬鹿なのか主、・・・あれは麒麟だ。』
せっかく格好をつけて言った台詞が、空気を読めない鳥のせいで台無しだ。
そこは違っても頷くところだろ!
「あの、ピカピカ光ってるのってなんだ?」
「か、雷じゃないかな。」
2人の会話をよそに俺は無言でスマホを取り出し写メを撮る。
俺のスマホのシャッター音に気付き、2人もスマホを取り出し撮ろうとするが、そこで麒麟は消えてしまった。
「くっそ!直道!俺達にも声かけろよ!」
「菅原君、ちゃんと撮れた?」
「任せろ!」
加藤君の問いかけにサムズアップで答え写真を確認する。
2回シャッターを切って1枚はちゃんと撮れているが、もう1枚は幽霊みたいに脚の方が消えている。
どうやら、死んで消える瞬間が撮れたようだ。
2人が写真を見せろと騒ぐのでスマホを渡し、麒麟のいた場所に向かう。
明らかに麒麟よりデカい魔石と赤っぽい金属の宝箱がある。
「なんだこれ?銅の宝箱?」
『アダマンタイトだ・・・・。』
カイムにため息と共に訂正される。
微妙な空気が流れる中で、離れてはしゃぐ2人を呼び寄せる。
加藤君に開けてもらうと、中には一組の手甲が入っていた。
多少の装飾はされているが、黒一色で鉄を削りだして作ったような無骨な感じの手甲だ。
肘の部分までカバー出来る感じで、俺のライオンイーターの手甲の1.5倍くらいの大きさだ。
カイムに鑑定してもらうと、守りの手甲という、自分の意思で魔力のシールドを出す事が出来る魔法の防具だということだ。
ドラゴンのブレスでも防ぎきる事が出来るという話なので、3人で使ってみたが俺と加藤君には重すぎる。
常時10キロのダンベルを持っているような感じだ。
「どうする?俺は大輔が使った方がいいと思うんだが・・・。」
ぶっちゃけ、防具としては優秀かもしれないが、鑑定の眼鏡や収納の指輪と比べたら需要があるように思えない。
ダンジョンボスの宝箱から出たので、間違い無くいい物のはずだが売ってもそこまで高くなるような気がしない。
ならば、パーティー内で使った方が間違いなくいいと思う。
「なら、俺が使う。名前だけ聞くと騎士っぽい職業の方が合いそうだけど、俺だって聖戦士だからな。」
よく分からない事を言いだしたが、本人が納得してるならそれでいいだろう。
ただ、・・・こいつ知力下がってきてないか?
なんか、最近言う事が馬鹿っぽいんだが・・・。
一抹の不安が感じられるが、地上に戻って暇が出来たら調べてみよう。
そして、俺達は3人で新宿ダンジョンのダンジョンコアがあるコアルームに進入した。
新宿ダンジョンのダンジョンコアは凄かった。
大阪ダンジョンの倍では効かない、縦横2mほどの球体だ。
台座のようなものは無く、床に直接置かれている。
初めはその大きさに圧倒された俺達だが、すぐに写メを撮り始めた。
今回はスマホ用の三脚を持って来ている。
入れ代わり立ち代わり写真を撮って皆大満足だ。
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「じゃあ、加藤君が新宿の管理者になってよ。」
「えっ!それは・・・ちょっと違うと思うけど・・・。」
珍しく加藤君が拒否る。
「う~ん、俺もそれは違うと思う。俺や加藤君は大阪やここで十分な見返りがあったけど、お前だけ何も無いじゃん。ここは直道が管理者になるのが筋じゃねえのか?」
いや、いらない物を配っただけなんだが・・・。
「そうだね。僕も菅原君が管理者になるべきだと思う。」
いや、どのくらい痛いかを加藤君で実演したいのだが・・・。
俺が言い訳を考えこんでいると大輔に襟首を掴まれ、猫の子の様に持ち上げられた。
「な!なにしやがる!放せ、脳筋ゴリラ!」
「黙れ!俺はさっさと帰りたいんだ!」
そのまま顔面をダンジョンコアに押し付けられる。
目の前一杯に広がっているダンジョンコアが輝き始め、その光が俺の顔面を伝って体に入ってくる。
ま、マズい!心の準備がまだ・・・。
「ぎゃあぁああぁあああぁぁああああ!!!!!!!」
離れたくても離れられない。
顔面から伝わってくる光の量が多いためか、大阪では1秒足らずだったこの儀式は中々終わらなかった。
たっぷり10秒ほどの、俺にとっては無限に思える拷問が終わると、足の力が抜け膝から崩れ落ちる。
そのまま、後ろに倒れようとする俺を大輔と加藤君が受け止めてくれたが、
俺はここで意識を失った。
凄い勢いで誤字報告が来ています。
作り込んだ張本人なので、お前が言うなと思われるかもしれませんが、心配になるほど来ています。
時間使って頂いた方々に申し訳ないと思いつつ、感謝してます。
本日2本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




