悪臭
99階に降りた俺達は、その瞬間凄まじい悪臭に襲われた。
何が凄いって吸い込んだ瞬間、3人が3人とも吐くくらい凄いのだ。
慌てながらもヨロヨロとした足取りで、98階への階段を昇る。
98階への階段がマジで、天国への階段に見えたぜ。
全員で大の字になりながら、必死の形相で綺麗な空気を吸う。
深呼吸後、息は整ったが皆が寝たまま起き上がらない。
「行くしかないよな・・・。」
「・・・そうだな・・・。」
「・・・・・・。」
誰も行こうとは言い出さない。
「・・・防臭マスクで防げると思うか?」
「無理じゃね?ゾンビのところも臭かったけど、あそこはマスク無しでも息できたじゃん。」
「・・・・・・。」
「マスクの数はあるから二重にするか?」
「ケチ臭い事言わずに三重にしようぜ。」
「そうだな・・・。」
俺達は99階層への降り階段前で大の字に寝ながら相談を始めた。
結局、俺達は防臭マスクを二重にして、ゴーカートの時に使った無線付きヘルメットをその上からかぶった。
マスクを二重で止めたのは、ヘルメットをかぶる際にどうやってもずれてしまうからだ。
「いいか、ボスを倒したら即100階層に降りるからな。」
「分かってる。今回は攻撃無しで、10数えたらボスに特攻、俺が魔石を拾って加藤君は解錠の魔法。それで、直道が中のアイテム掴んで即ダッシュだな。」
「ああ、それとカイムは本当に平気なのか?なんだったら、透明なビニール袋に入れて運ぶぞ。」
『主よ、余計な事を考えるな。』
親切心で言ってやったのに、鋼の意思力で拒否された。
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「なんとか耐えられるな。」
「早く行こうぜ。体に染みつきそうだ。」
99階に降りた俺達は速足で進み、1時間かからずボス部屋の前に到着した。
「直道、早く開けろ。」
大輔が吠えるが、貴様も手伝え!
扉を開けて中を覗く。
「うえっ!なんだあれ?」
俺の後ろから覗き込んだ大輔が、部屋の中央を指差しおかしな声をだす。
そこには巨大なヘドロのようなものが波打っている。
特筆すべきはヘドロの中央に巨大な顔が付いている事だ。
例えるなら、とてつもなく臭い巨大人面スライム。
「そろそろ行こうぜ。」
大輔に促され部屋に入る。
ボスが完全に生きている状態で部屋に入るのは初めてだ。
背後で扉が閉まると同時にボスも消える。
「行くぞ!」
その後は打ち合わせ通りの行動だ。
大輔が魔石を拾いカイムに渡し収納、加藤君が解錠の魔法を唱え、宝箱が開き始めたら、開ききる前にアイテムを引掴んでダッシュだ。
既に走り出している大輔と加藤君の後を追う。
きたねえ!あのデブ、転移しながら走ってやがる。
本気を出して走りなんとか追いつくと、大輔が奥の扉をこじ開けているところだった。
夢中で100階層への階段を駆け降りる。
ここは・・・平気そうだ。
急いでヘルメットとマスクを外し、深呼吸する。
なんだ・・・微妙にまだ匂うぞ・・・。
「服が臭いよ!」
加藤君の悲痛な叫びに全員で服を脱ぎ捨て、マッパになった。
臭う服はコンビニのビニール袋で三重に封印し、それぞれがペットボトルの水で体を洗う。
頭から水を被り手でこすっていると、加藤君が水魔法で水を出し、体を洗い始めた。
「加藤君、俺にも頼む!」
「俺も!」
辺り一面水浸しになったが、構やしねえ!
久々に思う存分、体をこすり垢を流す。
カイムからタオルを受け取り体をふくとサッパリした感じになる。
服を着て落ち着くと3人とも笑みを漏らす。
「水浴びでも久々だと気持ちいいな。」
「これからも3日に1回くらい水浴びしようぜ。」
「僕もその意見には賛成だよ。」
3人ではしゃぎながらも自然と視線が脱ぎ散らかした武具に注がれる。
「・・・平気だと思うか?」
「俺のは金属製だから平気だと思う・・・。」
近寄って臭いをかぐ。
俺の刀はさほどでもない。
鞘を水ぶきして、・・・やっぱり駄目だ。
柄の部分がハッキリ言って臭う。
鎧も革製のためか少し臭う。
「俺のはちょっと臭うな。地上に戻ったら脱臭剤の中に沈めて様子見が必要だ。」
「俺のは平気だな。金属製だし臭いが付かないんだろ。」
「僕のは駄目だよ。みんな臭い・・・。」
加藤君のは基本、布か皮だからな。
一番臭いが染み込み易い。
「加藤君のも上に戻ったら脱臭剤の中だな。いい機会だから防具新調したらどう?」
「う~ん・・・地上に戻ったら考えるよ。」
俺と加藤君の武器防具をカイムに収納し、大輔だけは鎧を着こむ。
「大輔、死ぬ気で俺達を守るんだ!」
「ふざけた事ぬかすな!死にたく無かったら、俺の前に出るなよ!」
そして、俺達は100階層ダンジョンボスの部屋の前にたどり着いた。
いつも心温まる感想と大量の誤字報告、有難う御座います。
誤字報告で凹み、感想を読んで復活するを繰り返しています。
本日1本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




