光る槍
最近、遅れ気味ですみません。
「だけど、阿修羅って三面六臂とかっていうのに、腕が4本だと2本足りないよな。」
『この国の者が勝手に別の名を付けているだけだ。』
「別の名?」
『この国では、腕が4本の阿修羅族を、リヨウメンスクナと呼んでいる。どちらもただの阿修羅族なのに。』
「・・・なぁ・・・なんで昔の人は知ってたんだ?その、阿修羅の事を・・・。」
そもそもダンジョンって何なんだ?
どうして昔の人がダンジョンの化物を知ってたりするんだ?
中にいる魔物が何故、昔話や伝承に残ってたりするんだ?
「なぁ直道、暇だしそろそろ出発しようぜ!」
大輔が話しかけてきたお陰で、口を開きかけたカイムが口を閉じた。
空気を読まない脳筋戦士は動きたいようだ。
車に跳ねられるくらいの衝撃を受けてるはずなのに、なんて頑丈な奴だ。
「ゴーカートはもう駄目だな。」
俺の独り言に、青い顔をした加藤君が激しく頷いている。
彼はもう二度と乗りたいとは言わないだろう。
いい方法だと思ったが、ゴーカート作戦は加藤君の心に傷を残して終了だな。
今後は人力の自転車とかの方がいいかもしれない。
仕方が無いので96階のボス部屋まで歩いていく。
ここまでは道を知っているのでさほど時間をかけずに来ることは出来た。
この階のボスはヒュドラだったはずだ。
いつものように倒して先を進む。
残りは99階のボスと100階のダンジョンボスだ。
上手くやれば今日中に終わるだろう。
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・・・終わらなかった・・・。
俺達は何とか97階の迷路を通り抜け、98階層に降りてきた所で力尽きて野営にしている。
しかも、魔物が徘徊してないので、大胆に通路のど真ん中に陣取っていた。
「疲れたな・・・・。」
「やられたぜ!俺様の裏をかいてくるとは!」
大輔が強がっているが、お前の裏をかくのは誰でも出来る。
「大輔、完全に嘘だと分る強がりは、惨めすぎるから止めた方がいいぞ。」
大輔が裏をかかれたと言っているのは、降り階段の配置についてだ。
今までは奥まで進んで、右か左のどちらか、つまりは奥の面にあったのだが、97階はそこに階段が無かった。
結果から言えば、96階への上り階段からわずか500mほど離れた迷路の前半部にあったのだ。
それが分からず、俺達は降り階段を探しに探した。
見つけ出すころには昼を過ぎて、夕飯近くになってしまっていたのだ。
「直道、人は成長するんだよ。もう以前の俺では無い!なんたって聖戦士様だからな。」
この馬鹿が調子に乗っている理由は、新たに魔法を覚えたからだ。
どの段階で覚えたのか分からないがヒュドラ戦の後に言い出したから、その時覚えたのだろう。
「ほら、直道、明かりをつけてやる。」
この馬鹿の覚えた魔法は光属性の付与魔法。
武器に付与して敵に攻撃を与えると、光属性の追加ダメージが入るのだ。
まだレベルが低いせいで、たいしたダメージは入らないのだが、それとは別にこの魔法にはもう一つ特徴がある。
端的に言うと光るのだ。
それも、蛍光灯の光のように、かなり強めに。
「調子乗りやがって!寝れねえだろ!さっさと消せ!」
そして、この調子にのった馬鹿は自分の槍を壁に立てかけ、それに延々と光を灯し続けていたのだ。
「加藤君は寝てるじゃねえか!羨ましいからって、難癖つけるな!」
加藤君はこの強行軍が祟って、夕飯を食べると電池が切れた様に寝てしまった。
座ったまま寝てしまったので、大輔と2人で断熱シートの上に転がし、予備の断熱シートを掛布団代わりにかけたのだが、その間、起きる気配が微塵もなかった。
「あれは選ばれた人間だ!そもそも、もともと明るいんだから、更に照らすんじゃねえ!そして、お前も明日に備えて寝ろ!」
明日に備えろが効いたのか、その後も悪態はついていたが、馬鹿は素直に魔法を消して寝袋に引込んだ。
俺も寝るぜ!
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翌日、朝食を取りながら、皆で相談をする。
相談の内容はこの階の探索方法だ。
「手前から虱潰しに探して行こうぜ!また近くにあったら嫌だぜ!」
「僕はどっちでもいいよ。」
馬鹿は手前からで加藤君は俺達に任せると言う。
どうすっかな・・・。
「よし!馬鹿の意見を採用だ!但し半分だけな。まずは右を1時間捜索、次に左を1時間捜索する。それで階段が見付からなかったら、奥に行って左右を捜索だ。」
結果から言えば、前半部分に階段はなかった。
「やっぱ、無いか・・・。」
「なんだよ、直道は無いと思ってたのか?」
「まぁ、大輔の意見は普通なら皆がそう考えるって内容だからな。嫌がらせをするなら、この階は奥に階段置いておくだろ。」
大輔が口をへの字にして睨むが、別に俺のせいじゃないだろ。
それから3時間後、俺達は99階へ続く階段を見付けた。
感想と誤字報告、有難う御座います。
味噌汁の話は少し誇張していますが実体験です。(私の家の話ではありませんが、友人宅で実際に出てきたメニュー内容です。)
本日2本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




