丸投げ
新宿に戻った翌日、俺は敦兄ちゃんの元を訪れた。
もちろん、宿題を教えてもらうためだ。
加藤君も頭は良いが、ハッキリ言って敦兄ちゃんはレベルが違う。
ほとんど、問題を読むと同時に答えが出てくるくらい頭がいいのだ。
傍から見ていると考えて無いように見えるくらいだ。
そのため、夕方には担当分の宿題は終わってしまった。
「ありがとう、敦兄ちゃん!」
俺がお礼を言うと敦兄ちゃんが苦笑をしている。
まぁ、ほぼ全部答えを聞いて書き写しただけだから、そうもなるだろう。
「敦兄ちゃんに、もう一つお願いがあるんだけど、いいかな?」
「宿題は自分でしないと力にならないよ。」
釘を刺してきたが、宿題は終わりだ。
もう関係無い。
「違うよ。俺が会社作るからさ。敦兄ちゃん、社長やってよ。」
突然の会社作る宣言に、流石の敦兄ちゃんも首を傾げてる。
まぁ、正直この話はただの思い付きで進めているだけだ。
日本の黒幕として会社の1つや2つ持っていた方がいい気がしたのだ。
無理に理由を付けるとすれば、何となくだが、ただの冒険者だと一個人でしかないが、会社経営者なら会社が力を持てば俺の力となりそうだと思ったからでしかない。
「ミッチャンは、なんの会社を作りたいの?」
それは知らない。
金だけ出すから好きに頑張ってもらって、大きくしてもらいたいだけだ。
失敗したら失敗したでしょうがないけど、金さえ入れておけば、そうそう潰れたりしないだろ。
「何でもいいよ。敦兄ちゃんの好きな会社にしてよ。」
それから、俺は敦兄ちゃんに質問攻めにされた。
何も考えてないから、基本は何でもいいとか敦兄ちゃんに任せるとかしか答えてないけど・・・。
「つまり、ミッチャンがお金を出すから、僕に会社を経営して欲しいで合ってる?」
そう、それ。
俺が頷くと顎に手を当てて考え始めた。
とりあえず、1000億出すから上手く使ってくれたら、それでいいよ。
「じゃあ、こんなのはどうだい?・・・。」
今現在、大学には魔導工学部という学部がある。
魔導工学とは魔石から取り出したエネルギーを使い、それを電気やガソリン、ガス等の代わりをさせるための知識を学ぶための学部だ。
未だ研究中のものも多いので、今後は一番伸びる学問として注目されている。
敦兄ちゃんの提案は、この魔導工学部にいる敦兄ちゃんの友人達を誘って、会社を立ち上げるというものだった。
そして、冒険者が使う消耗品や小物のブランド会社を立ち上げたらどうかという事だったのだ。
「武器とか防具は新規参入じゃキツイし、迷宮産には勝てないからね。」
消耗品と言われると俺には防臭マスクくらいしか思いつかないが、敦兄ちゃんには何か考えがあるようだ。
「まぁ、本音を言えばミッチャン達の冒険をサポートするものを開発して、あわよくばそれが売れたらと思うんだけど、どうかな?」
いいかもしれない。
どうせ1度や2度失敗したとしてもやり直せばいいだけだし、その間でも冒険のサポートが入るのはいいな。
「じゃあ、敦兄ちゃんが社長になって会社起してよ。お金はそれなりにあるんだから心配しないで。」
「いや、学生のうちに起業出来るなら、その利点を使うべきだ。それにミッチャンがお金を出すなら、社長はミッチャンで僕は全権委任された部長ってところかな。」
う~ん・・・よく分からないから全て任せてしまおう。
「じゃあ、敦兄ちゃんに全部任せるよ。」
とは言っても、今はまだ口約束の段階だし、敦兄ちゃんの友人達もどれだけ協力してうれるか分からないから、この話は敦兄ちゃんが進めておいて後日ちゃんと話し合う事になった。
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そして、約束の3日後。
「おはよう、馬鹿達!宿題は出来たか?」
厳密に言えば、加藤君は馬鹿じゃないため、この言葉は大輔にむけたものだ。
「うるせえ!直道、お前こそちゃんとやってきたのかよ!」
「え、えっと・・その・・・。」
加藤君の歯切れが悪い。
問い詰めると加藤君は自力で全て終わらしてしまっていたのだ。
「な、なんか、ごめん・・・。」
別に謝る必要は無いだろう。
「「じゃあ、加藤君は数学担当で。」」
俺と大輔は光りの速度で宿題を写した。
「加藤君、殴り書きでいいからね。下手に丁寧に書くとバレるから。」
加藤君のフォローも完璧だ。
途中、慣れていない加藤君の右腕が痙攣するというアクシデントに見舞われたが、この日俺達は夏休みの宿題に勝利した。
朝起きるといつにも増して大量の誤字報告きてました。
申し訳ない、そして有難う御座います。
感想で免停についてのご指摘有難う御座います。
うろ覚えで書いても教えてもらえるのは凄い助かります。
頼りっきりで悪い癖がつきそうですが、今後も何かあれば教えて頂けると有難いです。
本日1本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




