66 エンジュ
「ショーゴさ~ん、どうかしました~」
「あ、ああ、三谷さん」
「あっ、お二人のパーティでしたか」
「いえ、この人はついてきただけというか、俺はソロです」
「そうなんですか」
「はい」
「え~ついてきただけってひど~い」
「だって、偶然ついてきただけですよね」
「ショーゴさんイケず」
イケずってなんだ。
「助けていただいてありがとうございます」
「お姉さんもソロなんですか?」
「はい、インスタントダンジョンの依頼を受けたんですけど、思っていたよりも難易度が高くて。私最近Bに上がったばかりで」
「Bランクですか? それはすごいですね」
「えっ? それはどういう。失礼ですがランクをお聞きしても?」
「俺ですか? 俺は恥ずかしながらDに上がったばかりの新米です」
「うそ……」
お姉さんが再びその眼を大きく開き驚いたような表情を浮かべる。
自分が低ランクなのは自覚しているけど、こんなにかわいい女性に面と向かってそんな表情を浮かべられると地味に悲しい。
「すいません、本当です」
「いえ、そういう意味では。でもなんで? ここはBランク相当と評価されているダンジョンです。Cランク以上じゃないと入れないはずでは」
「あ~ここBランクなんですか⁉ ツーリングしてたらここが目に入りまして、気になって近づいたら偶々というかなんというか、誤って入ってきてしまった感じです」
「でも入口に職員の人は?」
「誰もいなかったですね。トイレにでも行ってたのかな」
「そんなことって」
「あるんですよ」
「わたしは、突然消えたショーゴさんをおってきました~」
三谷さんは追ってきたというか、俺が三谷さんに驚いてやってしまった感じなんだけど。
「やっぱりお二人はお知り合いなんですね」
「いや、知り合いというか」
「は~い、おしりあいで~す」
知ってはいる。ただ、合ってはいないくらいの関係だと思うけど。
「あっ、あらためまして。ショーゴさんとおっしゃるんですよね」
「はい、よかったらお姉さんのお名前を伺っても?」
「遅くなりました私はエンジュ、増渕焔樹です」
「私は三谷美香で~す」
エンジュさん。
名は体を表すなんて言うけど、名前も姿もまさに天使。
薄暗いダンジョンがエンジュさんの周りだけ光に照らされているような気さえする。
「ショーゴさんはこれからどうするおつもりでしょうか?」
「あ~とりあえず、奥に進んでただけなんですけどボスを倒さないと出れないんですかね」
「他にもいくつかのパーティが入っているので、それは大丈夫かと」
「そうなんですか?」
「ええ、何組か同時に入りましたから」
よかった。
エンジュさんがいた時点でその可能性は高いとは思っていたけど、俺が心配する必要はなさそうだ。
それはそうと、エンジュさんも配信してるっぽいな。
Bランクで、この可愛さ、間違いなく人気ありそうだ。




