65 アナザーシーカー
「ガアアアアッ」
「グウウオオオオオオオッ」
「ギイイイイイ」
地を揺らすようなモンスターの咆哮。
複数の声が聞こえてくる。
この感じ戦っている?
もしかして俺以外のシーカーか?
俺は急ぎ声のする方へと歩を進めて行く。
歩を進めて行ったその先には蜥蜴が3匹。
それもちょっと大きめの方が3匹。
戦っている相手は……女性?
しかも一人?
めずらしいな。
今までのダンジョンで俺以外にソロのシーカーに出会ったことはなかった。
「舞い踊れ、氷原の妖精たち。襲いかかれ氷雪の狼 『ヴォルフファング』」
蜥蜴の一匹を氷の刃が襲う。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ」
鮮やかな攻撃と反し、女性は肩で息をしかなり消耗しているように見える。
「助けた方がいいですか~?」
「えっ⁉」
女性がこちらの声に反応をみせ、俺に驚いたのかその瞳が大きく開かれる。
うおっ、めっちゃかわいい。
銀色?
艶々の長い銀髪。
埃っぽいダンジョンでは違和感を覚えるほどに白い肌。
その眼は薄い蒼。
まるでアニメかなにかから飛びだしてきたような風貌。
こんなにかわいい子テレビでも見たことないぞ。
日本人じゃないのか?
もしかして日本が通じなかったり?
「メイ アイ ヘルプ ユー?」
「えっ? 英語?」
咄嗟に、頭にある英語を使ってみたけど普通に日本語が返ってきた。
なんとなく気まずい。
「あ~助けが必要ですか?」
「お願いします」
よし、許可も取ったしやるか。
数も多いし、早い方がいいな。
「火の粉より生まれし炎の子よ、我を遮るものを焦がし燃やしつくせ『炎塵』」
無傷の一匹に向けて炎を放つ。
『炎塵』は、レベルアップの恩恵で蜥蜴も時間はかかるけど焼ききることが出来るようになっていた。
燃えてる蜥蜴は放っておいて残りの蜥蜴を倒しにかかる。
ここまでに何度か戦って分かった。
この少し大きめの蜥蜴、今の俺とこの武器では斬り刻むのは難しい。
この蜥蜴の外皮、背の部分はめちゃくちゃ硬い。
それに比べると首の内側から腹の部分は比較的柔らかく、俺でも十分に破ることが可能だ。
「おおおりゃあああ」
蜥蜴の懐に踏み込みロングソードを持つ手に力を込め下から切り裂く。
大きいせいで一撃では無理だ。
二度三度と振るい斬り刻む。
残りは手負いの一匹のみ。
既に動きが鈍っているので倒すのは造作ない。
同じ要領で斬り伏せ倒す事に成功する。
「すごい……」
自分でもなかなか手慣れてきたんじゃないかと思う。
このダンジョンの爬虫類、硬い事とイレギュラーなものを吐いて来るのを除けば、そこまで苦戦しなくなってきた。
いい感じにコツを掴んできた感じがする。
悪くない。
「大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます。結構キツくって」
うっ。
ヤバイ。
かわいい。
言葉が出ない。
めっちゃ可愛い女性を前に、目を合わせた瞬間何を話していいか頭が真っ白になってしまった。




