60 偶然
ダンジョンでのアレコレにちょっとリフレッシュしたくなったので、今日は久しぶりに休みだ。
たまにはダンジョン以外の配信をするのも気分転換になっていいかと思いバイクで一人ツーリングしながら配信している。
自分で考えたわけではない。
これも他の配信者がやっていたことの二番煎じだが、俺的には初めての試みだ。
普通に街を走っていても面白味がないので少し景色が変わる郊外へと向かっている。
有難い事に配信を開始して既に1500人の人が視に来てくれている。
「今日の朝食はパンにスクランブルエッグでした」
“パンと卵はデフォルトなんだな”
“俺、これでショーゴの1週間の飯、全部把握してしまった”
“立派なショーマニアだな”
“それにしても外でも同じ流れなんだな”
“それがガッシュチャンネル。日常系”
“日常系WWW こんな日常ないだろ”
“モンスターと戯れる日常”
“ちなみにここってどこ?”
“さっきあきる野って出てた”
“すまんあきる野ってどこ?”
“東京”
“はじめて聞いた”
“あきる野市はいいところだ”
“じゃあ、ショーゴは東京住んでんのか”
“特定はすんなよ”
実はダンジョンの往復以外でバイクに乗るのは、ほぼ初めて。
はじめての道を運転するのは新鮮で楽しいけど、初心者には、配信と同時はなかなか難度が高く、面白い事を考えるような余裕はない。
ただ、天気がいいので気分は上々だ。
これで彼女とタンデムだと最高だろうな。
そんな状況になったら配信止めて、浸りたい。
「結構走ったので、あそこに寄りたいと思います」
小腹も減って来たので途中休憩がてら寄ったお店でとうもろこしをたべることにした。
しらなかったけど、このあたりの名産品らしい。
見るからにおいしそうな黄色。
これは、いわゆる食レポというやつだな。
「うまい。このつぶつぶは、まるで甘みの宝石。金色の宝石タワーや~」
“え~っとこれはどう反応するのが正解?”
“触れてやるな”
“悪くない。パクった以外は悪くない”
“金色の宝石タワーか……”
“いや、トウモロコシうまいよな。間違いない”
”え~っと、ショーゴってシーカーだっけ?”
食レポしながらとうもろこしを食べていると思いがけず声をかけられた。
「ショーゴさんじゃないですか~」
「え~っと」
「三谷です。三谷美香です。すごいぐうぜんです~」
「ああ、あの時の」
「はい、あのときはありがとうございました~。本当に助かりました」
「よかったです」
「ショーゴさん、もうDランクなんですね。さすがです~。ご活躍応援させてもらってます」
「ありがとうございます」
「ちなみになんですけど~この後のご予定は?」
「いや、特には決まってないんですけど、適当にツーリングするつもりです」
「バイクっていいですよね。わたしも今度免許取っちゃおっかな~」
「そうですか」
「ショーゴさんと一緒にツーリングとか楽しそうですね~」
「いや、まあ、そうですね」
「いや~ん、約束ですよ~」
「え?」
「たのしみ~」
「いや、あの」
「それじゃあ、また今度です~」
今のはいったい……。
以前偶々助けた三谷美香さんなのはわかった。
偶々、訪れたここで会うとはすごい偶然だな。
それにしても押しが強いというか、なんというか。
さすがに社交辞令だよな。
免許取るって、まさかバイク買ったりはないよな。
俺、約束はしてないよな。
妙な不安感にかられながら再出発した。
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