58 コボルト
ヤングチャンピオンコミックス モブから始まる探索英雄譚6が本日発売です。
地域によっては来週になったりします。
よろしくお願いします。
やっぱりここは密度が高いな。
すぐにモンスターが現れた。
昨日戦ったのとはまた違う。
人型で小さい。
大きさはゴブリンくらい。
数は5。
おそらく、これがコボルト。
そこまで強い印象は受けないが今までの敵と大きく違う部分が一つある。
それは手に持つ武器。
なんと弓を持っている。
モンスターのくせに弓を持つとかありなのか? と思わなくはないけど実際に持っているのだからどうにかするしかない。
俺を認識すると間髪を容れずにつぎつぎと矢を放ってきた。
当然矢の速度はかなり速く、おまけにダンジョンは少し暗い。
反応が遅れると、格好の餌食になってしまう。
眼前の情報と俯瞰で見た情報を処理して避ける。
残念ながら剣でたたき斬るような芸当は出来ないので避ける一択だ。
この限定された空間で飛び道具は反則だ。
近づかないと攻撃することもままならないが、知恵が回るのか五匹がタイミングをズラシながら矢を放ってくるので切れ目がない。
本来であれば距離を取って持久戦に持ちこめば矢が尽きるんだろうけど、ここはダンジョン。
そんな常識が通じるのか正直怪しい。
それに俺もすべての矢を躱しきれるとも限らない。
「やるしかないな」
俺は覚悟を決め走り出す。
直線的に向かっても狙われるだけだ。
サッカーでいうところのダイアゴナルラン。
斜めに斬り込むように走る。
ちなみにサッカーをしたことはほとんどない。
デブにサッカーは厳し過ぎた。
引き籠る前は結構ヨーロッパサッカーの配信を観てたりして、興味はあったけど見るのとやるのは全く違い、脂肪が邪魔して足下が良く見えなかった。
しかも、ダッシュを繰り返すあの競技に適性を示すことはできなかった。
ただ、ステータスの上がった今の俺なら、あの時の選手よりも上手く出来るはずだ。
矢を外しながら一気に駆け上がる。
目指すはゴール。いや、コボルト。
そのつもりで走ってはいるが、かなり冷や汗ものだ。
思ったよりもスピードが出ない。
おそらくサッカーのユニフォームとスパイクを履いていれば華麗な走りを披露できただろう。
ただ、今の俺はロングソードを手に携え、買ったばかりのロックリザードの防具を身に付けている。
思った以上に荷重があり走り辛い。
脚に力を入れ、本気で走る。
「ウおおおおおお~!」
そう遠くないコボルトまでの距離がなかなか詰まらない。
いや、実際には詰まっている。
詰まっているけど、焦る俺の気持ちがそう感じさせているのだろう。
「りいいいあああ~」
間合いに踏み込んだ瞬間、一番端のコボルトに向けロングソードをお見舞いする。
焦っていたからか変な声を出してしまったが、悠長にしている時間はない。
すぐに次のコボルトも斬り伏せる。
この距離になればこちらのものだ。
矢をつがえるよりこちらの方が早い。
端から順番に残りの三匹も斬り伏せ消滅させることに成功した。
流石はDランクダンジョン。いきなりの難敵だった。
今まで近接戦しかしてこなかったので正直、弓は想定していなかった。
盾という選択肢もあるが、ソロの装備としては厳しいか。
落ちている魔石はヘルハウンドのものと同等かこころもち大きいような気もする。
これで大体2万円くらいだろうか。
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