16 火魔法
どんどんゴブリンを狩っていく。
それにしてもゴブリンが溢れたりはしないんだろうか。
歩けば当たる的にエンカウントしていく。
冗談抜きでゲームさながらのエンカウント率だ。
引き籠るまではあまりゲームとかしたことはなかったけど、引き籠って部屋でやることは限られる。
無料のオンラインゲームは結構やった。
それがリアルになったかのようなゴブリンのエンカウント率だ。
人気が無いから増えてしまっているのか?
途中、はじめて他のダンジョンシーカーを見かけた。
3人組でそのうちの一人はガイドのようだった。
たまたま戦闘シーンに遭遇したけどガイドがゴブリンを瀕死に追い込み残りの2人がとどめをさしていた。
結構衝撃的なシーンだったけど、窓口の人が言っていた意味が分かった。
これがステータスが生える前のダンジョンシーカーの普通。
全く戦闘や殺生に無縁だった普通の人のあたり前。
それを考えると昨日の俺は無知とはいえ無茶が過ぎると思われても仕方がなかったかもしれない。
確かにガイドなしでゴブリン12匹はないかもしれない。
2日目でこれも普通じゃないかもしれない。
既にポケットの魔石は20を超えている。
この調子で朝から本気を出せば50は超えるんじゃないかと思うペースだ。
そこから何匹か追加で倒し、それなりの時間になったので引き上げる事にするが、その前にやりたいことがある。
あまり、このダンジョンで使う意味はなさそうだけどスキルとして発現したのだから使ってはみたい。
火魔法。
ゲームだと魔法名のコマンドをタッチすれば発動するよく知られた魔法だけど、現実の世界ではどうなんだ?
「ステータスオープン」
ステータスを出現させ火魔法に意識を集中させると頭の中に情報が流れ込んできた。
魔法の発動の仕方がわかった。
どうやら今使える魔法は1種類のみ。
ただ、レベルアップとともに使える魔法は増える事もあるらしい。
せっかくならゴブリン相手に使ってみたい。
「ギャッ」
幸いにも相手には困らない。
距離を取ったまま火魔法を使ってみる。
「火の粉より生まれし炎の子達よ、我を遮るものを焦がし燃やしつくせ『炎塵』」
「ギイアアアア」
魔法の発動と同時にゴブリンが炎に包まれ悶えながら消えた。
「マジか」
火魔法というからもっと小さな火の玉が飛んで行ったりするのかと思っていたけど違った。
呪文ぽいのを唱えて発動したそれはゴブリンを倒すには十分な火力を備えていた。
しかも飛んで行ったわけじゃない。
着火点が俺の視線なのか意識によるのかはわからないけど突然燃えた。
なんとなく頭の片隅が重くなったような感覚がある。
再びステータスを確認するとMPが7/10となっている。
さっきのでどうやらMPを3消費したらしい。
つまり使えるのはあと2発か。
2発使うとMPが1残るけど0になるのも少し怖いからちょうどいいかもしれない。
射程がどのくらいかわからないけど近接以外の攻撃手段が得られたのはいい事だ。
特に俺の場合一人だから助かる。
回数も限られているからメインにはなりえないけどガッシュファルトの時には使えなかった魔法という新しい力に興奮を覚える。
魔法、それはある種、人類の夢。
それを使えるようになったのだからこれで興奮しない方がどうかしている。
それにステータスが生えたとはいえ俺はまだレベル1だ。
まだ先がある。
モンスターを倒していけばもっと強くなれる。
結局この日はもう一発魔法を発動してダンジョンを後にした。




