まさかの冤罪疑惑?
「…これだけ、ですか?」
「はい」
ギルドの窓口に素材を持ち込んで、鑑定してもらった。ら、出てきたのは完全に二束三文。
「え、いやあの、相場の価格の半分もないように思えるのですが…」
「いえ、これだけです」
嘘でしょ!?宿は取れるにしても、ご飯代足りるかなぁ…。あの狼、ほっとかないで持ってくればよかった。
「…わかりました。ちなみに、ここまで減額される理由は…」
「素材ごしに何かしらの病気が感染っても困りますので」
「そうですか…」
なるほど、この異様とも言える白い肌が病気なのではと危惧されてるわけね。
風邪とかインフルの家族と同じ食器は使えないように、私が触れた素材も危うくなるんですかそうですか。
…いやまあ、差別されること覚悟でこの姿選んだわけだし。このくらいは予想の範囲内だ。
そもそも、お金がなくても最悪生きていくこと事態はできるからなぁ。野草採取に狩りでお肉も大丈夫。テントを張れば野営も可能。旅人バンザイ、自由ってこういう時便利だ。
でも、できればパンを食べたいのも事実。異空間収納にしまえば賞味期限も消費期限もないから、街から街へ移動する際にはこれでもかと食料を詰め込むことに決めている。
決めている、んだけど、この調子だとお金が減る一方で買えなくなりそうだ…。
これは、かなりの短期滞在になりそうかな。
***
ゆきうさはその辺をぽよんぽよん歩かせて(歩かせて?)たら踏まれそうなので、基本的に街中だとカバン移動。なので、私のカバンは、中身がないにも関わらず、ふっくらと膨らんでいる。
それがいけなかったのかもしれない。
「…ッ!?」
いわゆる、ひったくり。
私の腹を殴って、重心がぶれたところを、肩掛けのベルトを引っ掴んで奪われる。
ちょ、おい、ちょっと待て!!
「泥棒!!」
そう叫んで、ひったくり犯を追いかける。しかし相手もこの街の勝手を知っているのか、すいすい逃げていく。
こんにゃろ、アスレチックと魔法で本気で鍛えたパルクールなめるなよ!
屋台骨を掴んで人を飛び越え、壁を蹴ってショートカットをする。ちょっとした柵に手をかけて公園の敷地内に入れば、手を伸ばすだけでひったくり犯を取り押さえられた。
「さあ、大人しく私の荷物を――」
「た、助けてくれ!襲われてるんだ!!」
はあ?え、こいつ、いきなり何を……
違う、いやまずい!!
「通してくれ!」と言いながら、警察らしき騎士団が人をかき分けてこっちにやってくる。
そして、彼らが見るのは、相手を取り押さえる私の姿。そしてその相手が「襲われている」と喚いていれば、どちらを逮捕するかは必然。
「おい!お前、こんな街中で何をしている!」
「ちが、違います!この人がいきなり私の荷物を――」
「はいはい、事情は詰所で聞くから」
「事情を話すのは結構ですが、私の荷物は回収させてくださるんですよね?」
「違う、いきなりこいつがわけのわからないことを喚きながら俺を追いかけ始めたんだ!」
「貴方が私を殴りつけて荷物を奪ったからでしょう!」
「はいはい、暴力はよくないよ」
そう言って彼らは私に手錠をかけて、引っ張って連れて行こうとする。ひったくり犯の方は手錠なんて見えない。
「ちょっと、話を聞いていますか!?彼が持つカバンは私の私物なんです!まさか、彼をこのまま帰すだなんて職務怠慢はしませんよね!?」
「さっきからごちゃごちゃうるさい!公務執行妨害も付けられたいのか!」
「その公務のせいで私物を失って泣き寝入りをするくらいなら抗いますとも!貴方がたも汚職警官のレッテルは貼られたくないでしょう!」
「暴行犯に加担する者が治安維持などできるわけがないだろう!」
「泥棒に加担する者が治安を維持できるとも思いませんがね!!」
「――何の騒ぎだ」
低い、声が聞こえた。
視線の先にいたのは、さっき助けたおじさん
……ではなく、警察っぽい茶色のコートを着た、別のオジサマだった。




