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目的地 に 到着 しました

「おぉ〜……」


 街の境目でギルドの登録証を身分証明として見せて、荷物も預けて(テントとか食料とか)、観光目的ってことを話して門の中に入る。入国審査とかこんな雰囲気なのかしら。前世日本から出たことないからわかんね〜。

 ゆきうさに関しては「ペットです」でゴリ押そうかと思ってたら、「ああテイマーなんですね」の一言で片付けられた。この世界にも魔物使い(テイマー)っているのね。

 預けてた荷物を受け取って大きな門をくぐれば、目の前に広がる大きな石造りの建物郡。



「さすが王都…」



 そう、ゆきうさが選んだのは王都クライシェンカ。この国、クラウンの中枢であり、数多くの貴族が集まるところでもある。多くの貴族は自分が統治する街の中や付近に住んでいて、用件があれば王都の別荘に移動するんだって。へー。

 正直、真っ先に王都に向かう王道ルートってどうなんだと思ったけど、ゆきうさが選んだことなのでなんも言えない。そうと決めたのは私だし、別に代替案とかなかったし。


「…まずはギルド、ですね」


 人前だし口調も正して、はぐれないようにゆきうさをカバンの中に入れる。サイズ変更が可能になったことで入れられるようになりました。カバン開きっぱなしで移動することになるけど、どうせ大事なもんは全部異空間収納につっこんでるからいっかな。


***


「…では、こちら、登録カードの返却になります。こちらで表示しますが…ご覧のとおり、現在の住所が変わりましたので」

「ありがとうございます」


 そう言ってカードを受け取ると、なんかすごい目で見られてた。なんというか、怪物というか、嫌なものを見るような。

 なるほど、これが人種差別か!教科書では見てたけど、こんなあからさまに嫌悪感を示す人っているんだね。でもそんなGでも見るような目で見られるとさすがに傷つくぞ。


 次の人の邪魔にならないようによけて、ぐるりと室内を見渡す。

 さすがというべきか、王都のギルドは大きい。ドアから少し離れた壁にデカい掲示板があって、そこにたくさんの張り紙がしてある。

 おお、まさかあれは異世界あるあるの依頼掲示板では?


 少しウキウキしながら前に立つと、「邪魔だ!」と怒鳴られた。

 お、おお。怒鳴られ慣れてないから自分でも驚くほど肩が跳ねてしまった。オリバー(わたし)らしくない。

 いやまあ、邪魔な気持ちはわかるけど。オリヴィアの公式設定だと180cm超えてるし。でもそこまで怒鳴んなくてもよくない?


「えーと、メドキア草(優秀な痛み止めになる。食べると苦い)の採取に…」


 ベリッ


「クラッシォ(丸っこいフォルムの魔物。子猫サイズ)の心臓の収集…」


 ベリッ


「…カッファモ(牛みたいな魔物)の討伐…」


 ベリッ




 すごい、私が読み上げた依頼が目の前で根こそぎ奪われていく。比較的簡単な依頼なのかしら、緑風レベルで中の下の世界線だもんね。

 ここまでくると、こいつらがどこまでやるのか興味わいてきたな。


「これは…魔法の出張講師?へえ、そんな依頼も…」


 ベリッ


「こっちは鍛冶屋の試作品の試し切り?へえ…」


 ベリッ


 魔物を倒すだけが冒険者じゃないんだね。なんか意外。

 なんだろう、こういうなろう系の冒険者ってとにかく魔物倒してる印象が強いからなぁ。


「……あ、マルキアへの、出張依頼――」


 マルキア。私がお世話になった、あたたかい街。

 始めはニヤニヤして見てた奴らも、私がどこか懐かしそうな、あたたかそうな表情で依頼の紙に手を伸ばしたのを見たのか、急いで奪い取りに来た。


「あ」

「こ、これはオレの依頼だ!!」

「はあ。なら、どうぞ?」

「え、」


 私があっさり引いたことに、何故か拍子抜けしたような声を出される。

 え、だって私つい最近までそこにいましたし。長期依頼とか旅人と相性最悪だし。

 私が喜んでやろうとしてたと思ってた?残念だったね。ざまあ。

 でも、人前、しかも受付からも丸見えのところで、そんな大声で大見得切っちゃったら引くに引けないらしい。顔真っ赤にしてぷるぷるしてる。草。


 目の前には、私の影響でほぼほぼまっさらになった掲示板。きっと、ここに残っていたのは、新規のものもあれば売れ残りもあったのだろう。

 うん、なんか勝手に良いことした気分だ。

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