画策
お待たせしました、第五部開始となります!
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火曜は朝、金曜は夜に投稿予定となっています。ゆっくりとお楽しみください。
「チャミオン、中央へ文は出したかえ?」
「はい、姫様。中央の【運び屋】を通すよう伝えたので、そろそろ届くかと思われます」
「そうか、あれも便利なスキルよな。護衛がおらなんだら、我がモノにしたものを」
南の領地、ディハートの宮殿。姫と呼ばれた女性は、獣耳を動かしながらカラカラと笑った。褐色の肌を大胆に露出した衣装に身を包み、組んでいた足をゆっくりと組み替えていく。その動作はどこか妖艶で、異性なら多少なり動揺してもおかしくないはずだが、チャミオンと呼ばれた男性は表情を変えることなく、その場に佇んでいた。
「交易を盛んに行っている訳ではないから、文や荷の到着が遅くなってしまうのが課題だのう。それにしても……オーガキラーとやらは、来ると思うかえ?」
「オーガキラーの実力、どんなものなのか楽しみですね!」
姫の黒髪を綺麗に整えていた女性が、楽しそうに告げる。
「そうじゃな。【従魔士】としての素質がどの程度かよの。武闘祭の優勝はどうせあやつじゃろうし、力の一端でも見せてくれれば御の字じゃ」
「文の方は、色を付けましたので問題ないかと。それを見た上で、誘いに乗ってこない様な軟弱者ならば、我がディハートには相応しくないという事になるでしょう」
「……あまり過激なことはするでないぞ?」
「はい」
全く、と姫はそれ以上怒るでもなく一言告げただけで、話題を切り替えていく。
「チャミオン、例の件はどうじゃ?」
「は。当事者、その周囲の者達からも事情を聞いておりますが、出処は未だに掴めず……申し訳ありません」
深々と頭を下げるチャミオン。姫は手を振って、何の気無しに続ける。
「よい。民の不安は取り除くに限るが、今は武闘祭が優先となろう。皆楽しみにしているしの。引き続き調べてくれ。恐らく、庇護外の者であろうが……尻尾を隠すのが上手いのう。見つけたら覚悟してもらわぬとな?」
さて! と姫は立ち上がり、二人を引き連れて宮殿の外へ。一歩出た瞬間、割れんばかりの歓声が飛び交う。それらは全て、姫である女性へ向けられていた。
「我が愛しの民達よ! っとと、いつもありがとう!」
姫の手には、どこからか飛んできた花束が。姫はその花束をしっかりと掴み、天へと掲げる。そして、高々と宣言した。
「例年通り、今年も武闘祭を開催する。皆、ディハート、そして各領地から赴きし強者達の勇士を、その眼に焼き付けるのじゃ!」
と、同時に大歓声が沸き起こる。
──くく、厄介事もさることながら【従魔士】、のう。我が領地、その守護者との縁がある職というが……どのような者が来るか、楽しみじゃ。
民に笑顔で手を振りながら、猫耳の姫は思いを巡らせていた。




