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異世界転生 第二の人生は胎児から 新生児からはじまる無双物語  作者: ねむねむぴよ
第三章 新生児、魔法の深淵を覗く。
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第22話


 受付に戻った自分に、仕事空けなのか私服の受付嬢が震えながら歩み寄ってきた。

 「 お、お飲みものは、い、いかがですか? エール・・・でわなくミルクなどは? 」

 萎縮しガチガチに緊張しているのが一目でわかる。


 「 あぃ! 」

 「 し、至急お持ちします。」

 受付嬢が慌てて離れていった。


 長椅子へ、オムツがずれ背中が丸出しに成りながらもよじ登り。

 ポウさんを枕に横になる。

 「 やぱり ねむいでしゅね・・・・」


 そこにかなり泥酔した一人の男が、フラフラと近づいてくる。

 仲間が必死に止めるのを振り払い、声を掛けてきた。


 「 おぃ、そこのチビッ子! こんな時間に何してやがる。 」

 ・・・・見ての通り討伐報告ですが・・・・などと思いつつ、ポウさんに顔を押し付け無視。


 「 おい! チビッ子!! 母ちゃんの乳でもじゃぶって寝てる時間だろって言っってるんだ!!」

 ・・・・ハイその通りです。そんな時間しか魔法の実践などできないので・・・・などと考えつつ、念のためにポウさんに傀儡術を発動しておいた。


 ドカ!


 泥酔した、冒険者がラインハルトの隣に倒れるように座り込んだ。

 その仲間は、彼を引き離そうと頑張っているが、巨漢の男はビクともしない。


 「 おう! 聞いてるのか?」

 巨漢の冒険者は、カエルの様に蹲り微睡むラインハルトに手を掛けようとした・・・・


 バシ!


 ラインハルトが枕にしていたクマのポウさんが、男の手を払った。

 「 なっ! 縫いぐるみが?!」

 周辺が一気に騒がしくなる。

 「 ” 剛腕のバルザーク ”の腕をひゃじくとは・・・・きょ、きょう悔するなよ! 」

 呂律の怪しい、バルザークが両手を掲げ、縫いぐるみに迫る。


 その様子を、本当に眠そうな蕩けて見える片目を開けたラインハルトは内心・・・・テンプレの新人潰し?!きた!!!・・・・などと思いながら、ポウに命ずる。


 「 おっぱりゃって・・・・ 」


 その一言で、ポウの全身が魔法で強化された。

 日頃から常にラインハルトの身辺に居た縫い包みには彼の魔力が滲み込んでおり、傀儡術の影響で内包した魔力が陽炎の様に揺らめく。


 ガシ!


 ミトンのような縫いぐるみの手と巨漢の手が、がっちり組み合わさる。

 バルザークの筋肉が、ブルブルと震える。力が拮抗しているのだ。

 ・・・・だが、その拮抗もポウに軍配が上がる。

 

 ミシ、ミシシ!


 バルザーク拳から、骨の軋む音が聞こえ、男の顔が苦痛に歪む。

 そして手首を返され、只でさえ身長差のある縫いぐるみに圧し掛かるように、つま先立ちに成るとそのまま巨体が抱え上げられた。


 「「「「「 うそだろ・・・・」」」」」

 なんの変哲の名もない、只の縫い包みに抱え上げられる巨漢の男。


 ミルクを持ってきた受付嬢と、視線が交差する。

 彼女の表情は、血の気が引きミルクがカタカタとトレイの上で踊る。


 ミキバキ!


 ポウが、バルザークを頭から床に叩き落とすと、両腕が解放骨折し白い骨と大量の血液が一面に飛び散った。


 バルザークは白目を剥き、気を失って居る。

 仲間が必死に回復魔法を唱え、治療にあたっているが、首が変な方向に曲がっており重症なのは間違いない。


 ・・・・仕方ない、治癒・・・・

 ミルクが来たので、眠い目を擦りながら座りなおしたラインハルトが、男の治癒を行う。

 「 ・・・・な、何が起きた?!」

 バルザークが即座に意識を取り戻し立ち上がる。

 「「「「「 ・・・・・ 」」」」」

 開放骨折が即座に治療され、何事もなかったように立ち上がった巨漢に、周囲が静まり返った。


 「 くそぉ! 」

 バルザークが再びポウに向かう・・・・が、それは叶わなかった。


 ・・・・重力操作3倍・・・・


 ズン!ベキキ・・・・


 巨漢のバルザークが両膝と両手を地面に付き伏せる。

 今度は、膝と肘を壊したようだ。

 「 グハァ!!! 」大男が吠える。


 ・・・・重力操作:開放 治癒・・・・

 傷が瞬時に癒え、再び立ち上がろうとする。


 ・・・・重力操作5倍・・・・


 ドン!!バキバキバキ

 バルザードが倒れ込むと同時にギルドの床板にヒビが入る。

 中腰の状態から、床に叩きつけられ、腰骨とアバラが砕けたようだ。

 「 ゴフゥ・・・ 」バルザークが吐血する。

 折れたアバラが肺にでも刺さったのだろう。

 ・・・・重力操作:開放 治癒 ・・・・

 床に倒れ伏したままのバルザークを横目に、受付嬢が小走りにテーブルにミルクの入ったマグを置き走り去る。


 「 んしょ・・・・ 」

 ラインハルトは長椅子をおりてテーブルまでヨチヨチと歩き、マグからミルクを飲む。


 「 ・・・・何をした・・・・ 」

 バルザークが床に伏したまま、ラインハルトを睨む。


 ・・・・重力操作7倍!・・・・


 バキバキバキメキメキメキ・・・・

 ギルドの床が割れ、バルザークを中心に落ち窪むように沈んでゆく。

 彼の頭蓋が変形し、目の玉が飛び出す。失禁と脱糞、それ以外にも出てはいけない物が体内から噴き出す。


 ・・・・重力操作解除:治癒・・・・

 またもや瞬時に全快したが、今後のバルザークの目は恐怖に歪んでいる。


 「「「「「 ・・・・・ 」」」」」

 誰も声を発することが出来ない。

 

 そんな、大男にラインハルトがヨチヨチと近づく。

 そして、舌っ足らずの言葉を発した。

 「 わりゅいことしたら、め! ごめんなちゃいは? 」


 ラインハルトが近づくにつれ、遠目から分かるほどバルザークは震えあがる。

 「 ・・・・すまなかった、勘弁してくれ・・・・ 」


 周りから囁き声が聞こえる。「 大賢者・・・・ 」「 触れては成らない者・・・・」

 そんな雰囲気を一掃する声が聞こえた。


 「 査定が終わりました。 コボルト64匹+コボルトボス1匹 〆て 金貨5枚銀貨8枚大銅貨3枚です。魔核はお持ち帰りですよね? 」


 「「「「「 ・・・・・ 」」」」」

 「 あぃ! 」


 ポウさんを引きずりながら、カウンターに向かう。

 カウンターに置かれているのは大量の魔核と硬貨・・・・・


 「 かかえちぇ! 」

 私服の受付嬢に視線を合わせると、震えながら駆け寄りカウンターが見える高さに抱え上げてもらえた。 ラインハルトは手を伸ばし、金貨の内3枚を戻しながら 「 ゆか ちゅうりだい! あい! 」と声を掛け、カウンターに残された魔核と硬貨を異空間収納へ瞬時に収めた。

 ・・・・そんなに震えると、危ないなぁ・・・・などと思いながら、一応お礼を言う。


 「 あいがと! おろちて 」


 ヨチヨチとギルドの出口へと向かう。

 冒険者の一人が、さっと入り口を開けた。

 「 あいがと! 」


 ギルドを出ても誰も付いてこない。

 それどころか、ギルドの中から安堵のため息が聞こえてくる。

 そんなギルドを背に、ゲートで一気に寝室へと戻った。


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